日本初、縦型乾式メタン発酵施設が完成 NEDOが実証実験を開始

2018年6月10日 20:44

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縦型乾式メタン発酵施設の外観。(画像:新エネルギー・産業技術総合開発機構発表資料より)

縦型乾式メタン発酵施設の外観。(画像:新エネルギー・産業技術総合開発機構発表資料より)[写真拡大]

 国内で初となる縦型乾式メタン発酵施設が完成した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の発表によれば、富士クリーン社の施行のもと、NEDOプロジェクトに基づき、香川県綾川町の同社敷地内に作られたという。今後、実証実験のための運転が行われることになる。

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 乾式メタン発酵施設というのは、水分を多く含んだゴミからバイオガスを生成し、それをエネルギーとするバイオマスプラントのことである。生活ごみや食料残渣、家畜糞尿などの多様な廃棄物を活用することができる、と期待されている。

 今後まず試運転を行い、2018年10月から本格的な実証実験を開始するという。今後の取り組みとしては、廃棄物の資源化によってリサイクル率を向上し、温室効果ガス排出量の削減(年間1万トンのCO2削減が見込める)など、バイオマスエネルギーシステムの構築を目指す。

 また周辺地域に対しても、雇用の創出、産業の活性化、環境教育の推進など、地域の社会インフラサービスの充実への貢献を目指す。具体的には、「ゴミをエネルギーに変える」をテーマとした、幅広い環境教育の場として本施設を解放する予定であるという。

 さて、今回完成したプラントは、発酵施設が国内初であるだけでなく、廃棄物からバイオマスを高効率で分別回収する装置(高効率選別装置)などの前処理施設もまた国内初導入である。そのほかにバイオガス化設備、ガスエンジンなどのエネルギー変換設備が組み合わされて、一つのバイオマスプラントを構築するという形だ。

 近隣の生活ごみなどの一般廃棄物を受け入れるほか、食品残渣や家畜糞尿・下水汚泥・紙ごみおよび難処理古紙類などの産業廃棄物も受け入れ、その処理能力の規模は毎日73トンに及ぶ。

 この技術が広く実用化されれば、埋立処分場の延命、焼却炉燃料などの削減も可能である。是非、今後の進展を期待したい。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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