吉之助と篤姫の一瞬の邂逅が美しい!「西郷どん」12話レビュー

2018年3月27日 20:19

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■篤姫の姿に涙を誘われる12話

 2018年大河ドラマ「西郷どん」の第12話が3月25日に放送された。ついに篤姫の輿入れが決まる中、彼女のたどる運命に成す術もない吉之助の姿が描かれた。主人公ながら辛い立場が続く吉之助だが、その中でさまざまな人間と確かな絆を結んでいるのが見て取れる。

【前回は】斉彬の見据える未来に吉之助が驚愕!「西郷どん」11話レビュー

■篤姫の輿入れに力を入れる斉彬一同

 篤姫(北川景子)が江戸に来て2年経つ。それでも将軍・家定(又吉直樹)との婚儀が決まらず、斉彬(渡辺謙)と幾島(南野陽子)は焦りを見せ始めていた。そこで、幾島は大奥から輿入れの件について積極的に働きかける作戦を持ち掛け、斉彬はこれに賛成。吉之助(鈴木亮平)と幾島の2人は篤姫の輿入れを遮ろうとする井伊直弼(佐野史郎)の動向を探りながら、将軍家への輿入れのために奔走する。

 吉之助が磯田屋での情報収集に力を尽くす中、幾島は大奥に入り家定の母である本寿院(泉ピン子)と面会することに成功していた。斉彬は本寿院に貢物を繰り返していたこともあり、幾島の面会はいとも簡単に叶うこととなった。そこで幾島は本寿院が求める姫の理想を聞き、「篤姫は身体だけでなく運の強さも持つ女子です」と言ってのける。

 その言葉を受けた本寿院は、家定の前に輿入れの候補である姫の姿絵を並べていく。その絵を見ても興味を示さない家定は、自分よりも先に死なない姫はいないかと本寿院に聞く。すると、彼の足元にたまたま篤姫の絵が落ち、本寿院は「その姫は運の強い」と助言する。この一言により、家定は篤姫を嫁として選ぶことを決めるのだった。

■ついに輿入れとなる篤姫に待つ現実

 幾島の努力もあり、ついに篤姫の輿入れが叶うこととなる。斉彬の悲願達成に篤姫は喜ぶも、身体の弱い家定では子を残すことができない現実を告げるかどうか迷っていた。その迷いを斉彬に見抜かれるも、吉之助は篤姫をどうしても守りたいと思い続ける。

 そして、ついに輿入れとなる日。斉彬は篤姫に家定の事実を告げる。さらに、斉彬は篤姫に将軍家へ輿入れする真の目的を告げると、篤姫はキッと唇を結んで「斉彬のために尽くす」とだけ答えた。その姿には幾島だけでなく、吉之助も涙する。

 その夜、江戸では大きな地震が起きてしまう。すぐに斉彬の元に駆け付けた吉之助は、彼の身の安全を確認するとすぐに篤姫の元へ駆け寄る。彼女の身に迫る危険を寸前のところで防ぎ、2人は久々に顔を近づけて話すことになる。そのとき、篤姫は吉之助に弱音を吐くも、すぐに姫として気丈に振る舞うのであった。その姿を見た吉之助も、自分の気持ちを整理するのだった。

 篤姫の輿入れが決まるも、さらに問題は山積みであることがわかった12話。その現実に敢然と立ち向かうように見えた篤姫だが、唯一心を許せる吉之助の前で涙するシーンは見ごたえがあった。

 「西郷どん」はNHKにて毎週日曜日20時から放送中。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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