HIVとエイズの意味、理解していたは2割 政府世論調査

2018年3月12日 16:51

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記事提供元:エコノミックニュース

2日、内閣府は「HIV 感染症・エイズに関する世論調査」の結果概要を公表した。「同じ意味と理解」が36.9%で最多。「正しく理解」していたのは19.8%。若い世代ほど「正しく理解」している傾向。

2日、内閣府は「HIV 感染症・エイズに関する世論調査」の結果概要を公表した。「同じ意味と理解」が36.9%で最多。「正しく理解」していたのは19.8%。若い世代ほど「正しく理解」している傾向。[写真拡大]

 今年1月、厚生労働省はエイズの知識の普及啓発や治療に関する指針を改正した。エイズとは後天性免疫不全症候群という疾患名のことで、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が免疫細胞に感染することで発症する。

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 日本でのはじめての感染は1985年である。当時、エイズは不治の病として世界中を震撼させた。それから30年以上の年月が経ちエイズ治療の技術も格段に進歩し、「エイズは不治の病」という表現は適切ではなくなったようだ。

 内閣府は厚労省の指針改正を受け、今年1月、全国の18歳以上の日本国民3000人を対象に「HIV 感染症・エイズに関する世論調査」を実施し、1671人から回答を得た。

 3月に公表された調査結果の概要によると、「HIVとエイズの関係の認識」については、「関係ないものだ」が11.3%、「同じことを意味する」が36.9%、「違うものであるが、詳しくはわからない」が26.0%、「正しく理解」は19.8%で、両者を混同していた者が4割近くで最も多く、正しい理解は2割程度にとどまった。

 年代別に「正しく理解」の割合を見ると、18~29歳で27.8%、30~39歳で26.3%、40~49歳で26.6%、50~59歳で23.0%、60~69歳で17.5%、70歳以上が11.2%と18~39歳の若い世代で正しく理解している者が多い傾向がある。

 エイズの印象を複数回答で答えてもらったところ、「死に至る病である」が52.1%と最も多く、次いで「原因不明で治療法がない」が33.6%、「特定の人達にだけ関係のある病気である」19.9%、「不治の特別な病だとは思っていない」15.7%、「毎日大量の薬を飲まなければならない」13.8%、「通常の社会生活をあきらめなければならない」11.0%の順になっている。

  HIV・エイズの最新情報の認知度については、「適切な治療で感染の危険性を減らせる」が33.3%、「適切な治療で平均的寿命を生きることが可能」が26.5%、「治療方法は進歩しているが、完治は不可能、継続的服薬が必要」が22.0%となっている一方、「全て知らない」が35.1%で最も多くなっている。

 保健所での匿名・無料のHIV検査の認知度については、「知っている」は52.0%にとどまり、「知らないが」48.0%と約半数が検査制度のことを知らない現状である。

 厚労省は、今回の調査結果を踏まえながら、様々な機会・媒体を通じて正しい知識の普及に努めていく方針である。(編集担当:久保田雄城)

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