坂元裕二脚本のドラマ「anone」、前半戦を振り返ってみる

2018年2月25日 08:43

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■独特の世界観が話題の「anone」

 2018年1月10日にスタートした「anone」だが、すでに6話を終えて折り返し点に到達した。脚本は昨年「カルテット」で注目された板元裕二氏のもので、主演には広瀬すずが起用されている。彼女以外にも阿部サダヲや小林聡美、瑛太、田中裕子などベテラン陣がそろっており、非常に見ごたえのある内容になっている。

【6話は】ついに瑛太が動き始める!「anone」第6話

 独特な世界観と台詞回しはSNSを中心に話題となっており、各台詞がツイッター上でも飛び交うことがしばしばみられる。そんな「anone」の第6話までの魅力を、ここで振り返ってみたいと思う。

■「はずれ」と呼ばれた少女が名前を取り戻す、それが「anone」

 辻沢ハリカ(広瀬すず)は家族がおらず、学歴もお金もないためにネットカフェでの生活を余儀なくされていた。そんな彼女はSNSにて「ハズレ」という通称を使っており、重い病気に掛かって入院している「カノン(清水尋也)」という人物と会話を交わすことだけが楽しみだった。

 実は、このカノンはハリカと同じ施設で育った「彦星」という少年であったことが判明。彼から「ハリカ」と呼ばれることで自分を取り戻した彼女は、どうしても彦星を助けたいという気持ちが大きくなる。

 そこで、ハリカは大量の偽札を持っていた林田亜乃音(田中裕子)に接触を試みることにする。彼女は血のつながらない娘を持っていたが、不仲であるのが悩みであった。しかし、その解決の糸口をハリカが見つけ出したことで、奇妙な共同生活がスタートする。その中で、亜乃音とハリカは親子のような関係を築くことになる。

■偽札を巡り、多くの「はずれ」が亜乃音の元に集まる

 ハリカだけでなく、亜乃音の偽札に惹かれた人物がいた。それが持本舵(阿部サダヲ)と青羽るい子(小林聡美)である。舵は末期がんに掛かっており、死に場所を探していたがひょんなことからるい子と偽札の作り方を探すことになる。そこで、2人はハリカと亜乃音からその情報を割り出そうとするも、舵の友人が介入することで誘拐事件にまで発展する。

 この誘拐事件の中、結局はるい子が本物の1000万円を盗んで姿をくらますことになる。るい子は実の家族と不仲になっており、彼らを見返すためにどうしてもお金が必要だったのだ。しかし、舵とハリカに居場所を突き止められたるい子は、きちんと家族と向き合うことを決意。そして、自分が昔流産してしまった女の子の幽霊「あおば」とも別れを告げ、自分の人生を歩み出すのだった。

 亜乃音のお金を盗んだ舵とるい子は謝罪に向かうも、彼女はもうすでに終わったことだとすべてを水に流そうとする。しかし、納得できない2人は図々しくも亜乃音の家に居座り、ハリカも混ざっていつの間にか家族のようになっていた。

■そして、ついに理市が動き出す

 偽札騒動が終わり、亜乃音たちに平穏が訪れそうになったときだった。以前から偽札の件に何かと絡んできた理市(瑛太)が4人の元へ突然やってくる。そして彼は「偽札作りを協力してほしい」と言ってのける。

 今までストーリーテラーのような存在に止まっていた理市だが、そのベールを脱いで様々な新事実を語っていく。特に6話では衝撃的な事実を亜乃音に突き付け、物語を一気に加速させた。

 「anone」には絶対的な正解はない。しかし、それぞれの人間が各々の「覚悟」やポリシーに基づいて生きている。これだけの群像劇は他のドラマでは見られないだろう。ぜひ、今からでも1~6話をチェックして7話に挑んでもらいたい。

 「anone」は水曜22時、日本テレビ系列にて放送中。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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