栃ノ心が初優勝!千秋楽も勝ち14勝達成

2018年1月30日 16:21

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■栃ノ心初優勝

 27日、ジョージア出身力士である栃ノ心が同期の松鳳山を破り幕の内で優勝を果たした。まだ見ぬ自身の娘に最高のプレゼントを届けた形となった。取組前は緊張の面持ちを見せていた栃ノ心は画面上からは今にも胃液を出してしまうのではないかというほど正常でないように見えた。

 しかし取り組みが始まると落ち着いた相撲を見せ、張ってから捕まえるという当初の作戦通りの展開で松鳳山を寄り切りで下した。栃ノ心を追う横綱鶴竜、大関高安は星2つの差だったため栃ノ心が勝った瞬間に優勝が決まった。

 栃ノ心が松鳳山を寄り切った瞬間、館内から惜しみない拍手が送られ、まるで栃ノ心のホームグラウンドのような歓喜の声が上がった。相撲ファンは日本人力士が優勝すると喜ぶというが今回の栃ノ心の初優勝を見て「誰が勝っても称賛し喜ぶ姿」はすがすがしいものがあった。

■栃ノ心の苦労

 栃ノ心のパワーは力自慢がそろう角界の中でも最高峰であり、力だけで言えば、いつ優勝してもおかしくはなかった。2010年7月場所には小結に昇進し、いよいよ大関も視野に入れられるというところまで番付を上げた。しかしケガをし、一度は幕下にまで番付を下げた。

 小結という頂点がうっすら見えてからの幕下陥落は絶望といってもいいだろう。肉体的にも精神的にもダメージは計り知れない。それどころか相撲界では十両以上でなければ給料が出ないので金銭的にも厳しかったはずだ。

 それでも腐らずけいこを続け2014年3月場所から幕下優勝、幕下優勝、十両優勝、十両優勝と4場所連続で優勝を果たした。まさに不屈の精神力といっていいだろう。

 徐々に番付を上げていき2016年7月場所には関脇にまで番付を上げた。

■今場所の栃ノ心

 今場所の栃ノ心は自身が「よく稽古ができていた」といっていた言葉通り力強く、盤石な相撲が多かった。7日目に鶴竜に黒星を喫し、「このまま鶴竜が優勝するのではないか」という見方が強くなった。

 それでも栃ノ心の集中力は切れることなく、それどころか一層研ぎ澄まされ、中日以降は全く隙を見せない相撲により、破竹の勢いで白星を重ねた。優勝を決めた翌日の千秋楽でも見事勝利し14勝1敗という好成績で幕を閉じた。

 過去の暴力問題が明るみに出てしまった春日野部屋の力士ではあるが、土俵上では勝負に集中しファンに対して「相撲で魅せた」。祖国ジョージアでは早くも栃ノ心に対し、日本の国民栄誉賞にあたる章を与えようかという議論までなされている。昨年末から暗いニュース続きだった相撲界に新たな光をさしたといっても過言ではないだろう。そして相撲界の救世主の一人となってくれることを切に願う。

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