ジャガイモの生育は回復も大根や白菜の高値が続く 農林水産省調査

2017年12月31日 17:31

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 農林水産省の調査によると、秋から初冬にかけての天候不順により、大根、白菜、キャベツ、レタスで高値が続く一方、昨年同時期に不作だったジャガイモが平年並みの価格見通しとなっていることが分かった。

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■台風により野菜の生育が遅れ気味

 28日、農林水産省が2018年1月の「野菜の生育状況及び価格見通し」を発表した。これは日常的に馴染みの深い14品目の野菜を対象として、主産地、卸売業者、中間事業者などから聞き取りを行った結果を発表したもの。

 ニンジンや玉ねぎ、ジャガイモなどの生育が平年並みの一方で、10月に2度日本を襲った台風や11月の低温により、大根や白菜の生育が良くないことが分かった。

■ジャガイモの出荷は平年並み

 こうした野菜の出荷で話題になったのがポテトチップスの材料となるジャガイモだ。資料によると、「北海道産の在庫数量が平年並みであるため、出荷数量、価格ともに平年並みで推移する見込み」とある。

 春先には、カルビーや湖池屋がホテトチップスの一部商品を出荷停止として大きな話題となったことを覚えている人もいるだろう。今冬から来春にかけては、そうした騒動を心配する必要は無さそうだ。またニンジン、キュウリ、トマト、里芋、玉ねぎも、生育が順調なことから、1月以降も平年並みの価格で推移すると見られている。

■ほうれん草、ネギ、ナス、ピーマンは価格が戻り傾向

 2017年10月の台風上陸は、2度の週末と重なったことからレジャー産業を中心に打撃を受けたが、曜日に関係なく農業作物にも大きな影響があった。

 ただし複数の産地における生育状況が異なることで、高値から戻りつつあるのが、ほうれん草、ネギ、ナス、ピーマンだ。例えば、ピーマンは茨城において10月が日照不足となったため、12月の出荷数量が平年を下回ったものの、1月の主産地となる宮崎、高知、鹿児島での生育が平年並みであることから、1月以降の価格が平年並みに戻ると見られている。

■白菜は茨城産が生育遅れ

 しかし価格が高値で推移しそうな野菜もある。大根、白菜、キャベツ、レタスだ。こうした野菜に共通してるのは、限定した主産地が天候の影響を受けている点だ。例えば、白菜は2017年1月における東京都中央卸売市場の入荷シェアで、茨城産が83%を占めている。そのため、茨城県の生育状況が直接影響を受けることとなる。

 発表では、「茨城県での10月中下旬の長雨や11月中旬以降の低温により生育が低下し、小玉傾向となった」とあり、これが1月以降も続くため、高値から戻らないと見ている。大根、キャベツ、レタスも生産地域こそ白菜と異なるものの、同様の見通しだ。

 東京都中央卸売市場における指定野菜価格の平年比を見ると、12月の価格は大根やレタスでは200%(平年の2倍)を超える日が珍しくない。白菜は180~190%、キャベツも12月の上・中旬こそ150%前後で推移していたが、下旬には180%前後となっている。

 家計を考えて鍋物をするのであれば、大根ではなくニンジンや芋に、葉物は白菜からネギやほうれん草にした方が良さそうだ。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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