昆虫の脳と哺乳類の脳が共通祖先に由来する可能性について示唆が与えられる

2017年11月23日 06:44

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体性感覚神経の軸索の末端が胸腹部神経節に作る層状構造。(画像:東京大学分子細胞生物学研究所発表資料より)

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 東京大学分子細胞生物学研究所の研究チームは、キイロショウジョウバエの体性感覚神経回路の構造を解明し、それが哺乳類のものと極めて類似しているという事実を明らかにした。この事実は、哺乳類の脳と昆虫の脳が、共通の祖先に由来するものである可能性を、強く後押しするものである。

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 過去の研究において、視覚、嗅覚、味覚の神経回路が、昆虫と哺乳類においてほぼ同じであることを、研究チームは明らかにしてきた。さらに、数年前には、音を検知する中枢の構造、そして重力を検知する中枢の構造もまた、そのようであることを明らかにした。

 そして今回、体性感覚の構造もまた昆虫と哺乳類に共通であることが示された。つまり、五感すべての神経回路構造において、両者は共通性を持っている、ということだ。

 この事実から、先カンブリア紀に存在したわれわれの共通祖先において五感の基礎が確立され、そこから、哺乳類を含む脊椎動物と、昆虫を含む節足動物が枝分かれしたという可能性が、強く示唆されることになる。

 体性感覚は、目や耳や鼻や口に比べると、複雑な構造を持った感覚器官である。体じゅうに様々存在する感覚器官が、シンクロして脳に情報を送るという性質のものであるからだ。

 今回、ショウジョウバエを用いて、一部の細胞だけで遺伝子の発現を誘導できる遺伝子組み換えの系統を作成し、スクリーニングと解析が行われた。この研究技法そのものは、今後とも応用が可能であるという。

 もろもろ考え合わせれば、哺乳類と昆虫の共通性はわれわれが直感的に感じるよりも遥かに高く、偶然に似通った進化が生じた(つまり、収斂進化が生じた)という可能性は、排除するのが妥当であると考えられる。われわれの祖先はみな共通だ、というわけだ。

 なお、研究の詳細は、Science11月3日号に発表されている。(藤沢文太)

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