京都の電子部品関連4社、中間決算は好調 通期業績の上方修正相次ぐ

2017年11月13日 11:22

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記事提供元:エコノミックニュース

京都市や、その近郊に本社を置く日本電産、京セラ、村田製作所、ロームの電子部品セクター「京都4社」は、日本を代表する電子部品メーカーである

京都市や、その近郊に本社を置く日本電産、京セラ、村田製作所、ロームの電子部品セクター「京都4社」は、日本を代表する電子部品メーカーである[写真拡大]

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 京都市や、その近郊に本社を置く日本電産<6594>、京セラ<6971>、村田製作所<6981>、ローム<6963>の電子部品セクター「京都4社」は、日本を代表する電子部品メーカーである。11月1日に出揃った4~9月期(第2四半期)の中間決算は非常に好調で、通期業績の上方修正が相次いだ。前期、前々期が減収や減益で不振だった企業はその落ち込み分を埋め、通期でさらに上積みを見込んでいる。

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 ■日本電産、京セラ、ロームは通期業績を全面上方修正。だが村田製作所は売上高のみ。

 日本電産の4~9月期決算は、売上高は前年同期比26.9%増の7158億円、営業利益は前年同期比19.8%増の826億円、税引前利益は前年同期比15.6%増の766億円、四半期純利益は前年同期比19.9%増の600億円という2ケタ増収増益。中間配当は前年同期から5円増配して45円。連結売上高、営業利益、四半期純利益は当初予想を上回り、売上高、営業利益、税引前利益、四半期純利益の全項目で中間期ベース過去最高を更新した。4~9月期最終利益の通期見通しに対する進捗率は46.9%である。

 カテゴリー別ではこれまで、主力のHDD用などの「精密小型モータ」と、重点2事業と位置づけ安定成長が続いている「車載」「家電・商業・産業」の合計の差が縮まりつつあったが、4~9月期で初めて、営業利益の額で追い越した。

 通期業績見通しを上方修正し、売上高は当初予想を750億円上回る前年同期比20.9%増の1兆4500億円、営業利益は当初予想を50億円上回る前年同期比21.9%増の1700億円、税引前利益は当初予想を20億円上回る前年同期比15.3%増の1630億円、当期純利益は当初予想を10億円上回る前年同期比15.3%増の1280億円とした。5期連続の最高益になる見込み。期末配当予想も上方修正している。当初予想を5円上回る前期比5円増配の50円で、予想年間配当は当初予想を5円上回る前期比10円増の95円とした。

 上方修正の理由として同社は、4~9月期に主要4部門全ての部門業績で増収増益を達成したことを挙げている。想定為替レートはドル円105円、ユーロ円110円のまま変更していない。配当については連結純利益の30%をメドとしている。

 日本電産は自動車の電動化の加速によって、車載用モーターの市場は2030年までに2倍強、6兆円規模へ急成長すると見込んでいる。2020年度を最終年度とする中期戦略目標「Vision2020」では、連結売上高2兆円、車載売上高7000億円~1兆円、連結営業利益率15%以上、ROE(株主資本利益率)18%以上と、グローバル5極経営管理体制の確立を掲げている。

 京セラの4~9月期決算は、売上高は前年同期比13.0%増の7383億円、営業利益は前年同期比105.7%増(約2倍)の695億円、税引前四半期純利益は前年同期比80.8%増の878億円、四半期純利益は前年同期比69.8%増の613億円で、2ケタの増収、最終増益、3ケタの営業増益という好調ぶり。売上高は中間期としては過去最高で、利益も大幅に伸びた。中間配当は前年同期比10円増の60円。4~9月期最終利益の通期見通しに対する進捗率は51.5%である。

 事業セグメント別の売上高は2本柱の部品事業が16.5%増、機器・システム事業が7.9%増でともに増収で、産業・自動車用部品21.6%増、電子デバイス20.2%増、デジタル複合機などドキュメントソリューション16.7%増が大きく寄与した。事業利益は部品事業が87.0%増、機器・システム事業が200.8%増でともに大幅増益。部品事業の全セグメントとドキュメントソリューションで2ケタ以上の増益率になった。

 通期業績見通しを上方修正し、売上高は当初予想を600億円上回る前年同期比9.6%増の1兆5600億円、営業利益は当初予想を150億円上回る前年同期比29.1%増の1350億円、税引前当期純利益は当初予想を200億円上回る前年同期比23.3%増の1700億円、当期純利益は当初予想を140億円上回る前年同期比14.6%増の1190億円とした。期末配当予想は前年同期と同じ60円だが、予想年間配当は当初予想を10円上方修正し前期比10円増配の110円とした。

 業績上方修正の理由として4~9月期の業績が部品事業を中心に想定を上回って推移し、下半期も産業機械、自動車関連市場向けの各種部品の需要増が見込まれ、さらに為替レートが期初予想に比べ円安で推移している点を挙げている。スマホ、産業機械、自動車向けを中心に部品受注が想定を上回って推移しており、それを受けて前期以上に積極的な生産能力の増強を実施。原価低減、生産性向上による各事業の収益性改善など経営基盤の強化も順調だという。

 2021年3月期には過去最高の売上高2兆円と、税引前利益率2ケタを達成するのが、京セラの中期目標である。

 村田製作所の4~9月期決算は、売上高は前年同期比10.3%増の6196億円、営業利益は前年同期比8.2%減の995億円、税引前四半期純利益は前年同期比0.1%増の1098億円、四半期純利益は前年同期比7.5%増の910億円。2ケタ増収でも営業減益で、最終1ケタ増益という内容だった。中間配当は前期比20円増配の130円。4~9月期最終利益の通期見通しに対する進捗率は63.2%である。

 売上高は、自動車の安全性や利便性の向上による電装品搭載数の増加、スマホの高機能化によるコンデンサー、フィルター、高速通信用のLTE通信モジュールなど1台あたりの部品数の増加、パソコンの薄型化、高機能化、ネットワーク接続ができるAV機器や家電の普及などが相まって電子部品需要が拡大し、為替の円安の効果もあり増収となった。一方、営業利益は製品価格の低下、新製品の生産拡大に伴う建物、生産設備の減価償却費、投資関連費用の増加を原価低減の努力や新製品の投入でカバーできず、減益となった。税引前四半期純利益はソニーからの電池事業取得に伴う「負ののれん代」が寄与してわずかながら増益で、四半期純利益は増益だった。

 通期業績見通しを修正したが、売上高は上方修正し、利益は3項目とも下方修正した。売上高は当初予想を1370億円上回る前年同期比19.9%増の1兆3620億円、営業利益は当初予想を560億円下回る前年同期比15.5%減の1700億円、税引前当期純利益は当初予想を500億円下回る前年同期比10.2%減の1800億円、当期純利益は当初予想を300億円下回る前年同期比7.7%減の1440億円とした。通期で増収減益を見込んでいる。予想期末配当は前期比20円増配の130円、予想年間配当は前期比40円増配の260円で、修正はなかった。

 売上高を上方修正した理由として、中国スマホの需要回復はいまだ緩慢でも、スマホ自体の高機能化、自動車の電装化の進展で電子部品需要が好調に推移していること、ソニーからのリチウムイオン二次電池事業の取得が9月に完了し、下半期にその分が加わることを挙げている。

 一方、利益を下方修正した理由としては、アップルの新型iPhone向け部品のような技術難易度の高い新製品の不良率改善の遅れに伴う製造費用の大幅増加、新製品の生産能力増強のための減価償却費や投資関連費用の増加、収益性の高い製品の需要回復が想定よりも遅れたことによる品種構成の悪化を挙げている。なお、通期の想定為替レートを変更しており、ドル円は108円から110円に、ユーロ円は115円から130円へ、それぞれ円安方向に修正した。

 ロームの4~9月期決算は、売上高は前年同期比16.6%増の2004億円、営業利益は前年同期比88.5%増の297億円、経常利益は前年同期比278.4%増(約3.8倍)の312億円、四半期純利益は前年同期比183.9%増(約2.8倍)の231億円で2ケタ増収・営業増益、3ケタ最終増益。中間配当は前期比70円増の120円とした(記念配当55円を含む)。4~9月期の最終利益の通期見通しに対する進捗率は63.3%である。

 自動車関連は「安全」「環境」へのニーズの高まりでエレクトロニクス製品の実装率が上がり、大規模集積回路(LSI)、半導体素子などの需要が高まった。産業機器関連はIoT(モノのインターネット)化の進展でFA機器向けが大きく伸びている。その他、任天堂が3月に発売した「ニンテンドースイッチ(Nintendo Switch)」などゲーム機向けや、省エネ型のエアコンなど家電向けの半導体、電子部品も堅調だった。

 通期業績見通しを上方修正し、売上高は当初予想を220億円上回る前年同期比10.8%増の3900億円、営業利益は当初予想を110億円上回る前年同期比54.0%増の490億円、経常利益は当初予想を95億円上回る前年同期比34.9%増の480億円、当期純利益は当初予想を85億円上回る前年同期比38.1%増の365億円とした。予想期末配当は前期比40円増の120円(記念配当55円を含む)、予想年間配当は前期比110円増の240円(記念配当110円を含む)で、修正はなかった。

 上方修正の理由として、売上高については車載向け、産機向け、ゲーム機向けなどの計画を上回る好調さと、為替レートが想定よりも円安に推移したことを、利益については売上増と固定費の抑制を挙げている。自動車関連と産業機器関連は中・長期的に成長が期待される事業分野で、製品ラインアップの強化、海外顧客への販売強化を引き続き進めていく方針である。下半期の想定為替レートはドル円105円で据え置いた。

 ■設備投資にもM&Aにも積極的な姿勢をみせる京都4社

 電子部品セクターの「京都4社」は、M&Aも、新工場建設や設備の増強のような設備投資も、戦略的に、活発に行っている。その積極姿勢は今期下半期、さらに来期にかけて業績に寄与しそうだ。

 日本電産には、国内外での積極的なM&Aの寄与により、2020年度までに売上高を5000億円上積みするという中期戦略目標がある。直近では8月、子会社の日本電産リードによるSVプローブ社(シンガポール)の買収を発表している。同社は半導体の検査に使われるプローブカードのメーカーである。国内では子会社の日本電産サンキョーを通じ、車載向け電気接点材料の製造、接点プレス組付加工の技術を持つ東京丸善工業(本社:千葉県佐倉市)の事業承継を8月に完了した。

 国内の設備投資では10月31日、子会社の日本電産シンポが長野県上田市に上田工場を開設すると発表した。総投資額は約150億円で、2018年4月からロボット用精密制御減速機「FLEXWAVE」の生産を開始する予定である。

 京セラもM&Aを積極化している。インパクトドライバ、グラインダー、刈り込み機など電動工具事業の取得でリョービと基本合意し、2018年1月に取得を完了する予定。切削工具から空圧・電動工具まで展開する総合工具メーカーとしての態勢を整える。8月にはアメリカのDataBank IMXを約100億円で買収。そのECM事業、ドキュメントBPO事業を複合機、プリンター機器事業と融合させ、新たなビジネスモデルの構築を目指す。10月には英国のTT Electronicsの輸送、センシングコントロール事業を約350億円で取得し、温度計測、スピード計測のセンサーなど製品ラインナップを拡充。欧米、アジアの自動車市場での売上拡大が期待されている。

 設備投資では、半導体製造装置用セラミック部品に関し4月にアメリカ・ワシントン工場の新棟が稼働を開始し生産能力が1.5倍に拡大したのに続き、2018年10月稼働開始、生産能力倍増を目指して鹿児島国分工場の新棟建設に着手した。デジタル複合機向けのトナーコンテナは三重玉城工場の第7工場が6月に稼働を開始し2020年には生産能力が倍増する見込みで、OPC感光体ドラムは中国の第2工場が2018年5月に稼働を開始し、2020年には生産能力が2.5倍になる見込みとなっている。

 R&D投資も、横浜中山事業所内にAIラボ、大阪大東事業所内にロボット活用センター、滋賀県野洲工場内にメディカル開発センターを設けるなど、活発化している。

 村田製作所には、既存製品の部品からその周辺の部品に向かって領域を拡大していく「にじみ出し戦略」と呼ばれる独自の事業戦略があり、それに沿ってM&A、設備投資の戦略を進めている。今年は昨年10月に発表したソニーのリチウムイオン電池事業の取得が完了したのに続き、10月にはアメリカのヘルスケアITベンチャー、Vois Medical社を約114億円で買収した。同社はベッドサイドで心拍数、呼吸数、心電図などを計測するチェストセンサや、そのモニタリング用のソフトウェアなどを提供する。村田製作所は2015年12月の「中期構想2018」で、ヘルスケア・メディカルの分野を自動車、エネルギーと並ぶ注力市場の一つと位置づけている。

 ロームでは「アナログソリューション」「パワーソリューション」「センサソリューション」「モバイルソリューション」の「4つのソリューション」で重点的に、新製品、新技術の開発や、それらを組み合わせたソリューション提案の強化に動いている。M&Aや設備投資もその戦略に沿っている。

 設備投資では「生産革新」に重点を置いている。生産改善の「RPS(Rohm Production System)活動」や、「Zero Defect(不良ゼロ)」の実現を目指す品質管理体制の構築、生産設備をネットで相互接続するスマートファクトリー化の推進などがその内容で、それは4~9月期決算や通期業績見通しの利益面での好調さにつながっている。

 電子部品セクター「京都4社」の好調な業績を支えるのは「スマホと自動車」。それは最近、何年も続いているが、自動車については今年、フランス、英国、インド、中国の各国政府が相次いでガソリン車、ディーゼル車の販売禁止、いわゆる「EV(電気自動車)シフト」の政策目標を打ち出した。大気汚染を起こさず、地球温暖化の原因といわれるCO2を排出しない自動車の「ゼロ・エミッション化」の流れはいま、世界的な潮流になりつつある。

 その原点は、1997年に京都国際会議場で採択され2005年に発効した「京都議定書(気候変動枠組条約に関する議定書)」である。電子部品メーカーにとって、車載用途の需要拡大につながるEVシフトは、まさにビジネスチャンス到来を意味する。京都から始まった地球環境を守る世界の流れがいま、京都の企業にメリットをもたらそうとしている。京都議定書のおひざ元に拠点を置く京都4社の存在感は、ますます大きくなるだろう。(編集担当:寺尾淳)

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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

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