来週の相場で注目すべき3つのポイント:25000円に向けていったん一服、海外勢の動向、中小型株へのシフト

2017年11月11日 20:33

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記事提供元:フィスコ


*20:33JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:25000円に向けていったん一服、海外勢の動向、中小型株へのシフト
■株式相場見通し

予想レンジ:上限23300-下限22300円

来週はやや方向感の掴みづらい相場展開になりそうだ。日経平均の9日の乱高下によって、いったんはピーク感が意識されやすい状況である。また、世界株高のなか、世界3位の再保険会社、ドイツのハノーバー再保険は、約9億5300万ユーロ(約126億円)に上る株式ポートフォリオを全て売却したと明らかにした。報道によると、株は売り時と判断、株価急落に備えた引当金は不要となり、保険金支払いに充当すると伝えている。弱気になる必要はないものの、こういった報道を受けて、瞬間的な調整局面においては、利益確定が強まる可能性もありそうだ。

米国では先週、トランプ政権が経済政策の柱に掲げる税制改革について、議会上院の共和党は、法人税の税率を20%に引き下げる時期を財政赤字の拡大を抑えるため1年先送りして、2019年とする下院とは異なる法案をまとめた。今後調整が難航することが予想されるなか、これまで世界株高をけん引してきた米国市場においても利益確定の流れが強まる可能性があり、注視する必要があるだろう。

とはいえ需給状況は良好であり、押し目買い意欲は強い。決算シーズン入り直後に決算を発表した安川電機<6506>が、10月24日発表の決算で利食いが強まったものの、その後は強いトレンドが継続しており、連日で高値を更新。需給状況が良好の中では、調整局面が押し目買いの好機になっている。成長期待の大きいソニー<6758>、東京エレクトロン<8035>なども、9日に乱高下をみせたものの、押し目買い意欲は強く、週末は5日線レベルでの底堅い値動きをみせている。

11月第1週(10月30日-11月2日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家による現物と先物合計の売買は、1561億円の買い越し(前週は8566億円の買い越し)だった。現物と先物合算では8連続で買い越している。これが先週後半の乱高下の時にどう変化が出ているかが注目されよう。市場観測では短期筋のヘッジファンドによる利益確定との見方も観測されていたが、買い越し基調に変化はないとしても、いったん売り越しともなれば、これまでのインデックス買いに伴う主力大型株主導の上昇には変化がみられるだろう。

相場のけん引役だった主力処には利益確定も出やすく、売り買いが交錯しやすいだろうが、先高観が後退した訳ではなく、一方で相対的に出遅れている中小型株を見直す流れが期待されそうだ。決算発表はピークを通過したものの、今週も500社近い企業の決算発表が予定されており、決算内容を手掛かりとした物色も活発だろう。決算ピーク通過で国内機関投資家は動きやすくなるため、押し目買い意欲の強さや物色対象の変化を見極めるところである。

■為替市場見通し

来週のドル・円はトランプ政策の柱である税制改革について、法人税減税の実施は2019年に先送りとなる可能性が浮上しており、法案審議の行方が注目される。2018年の施行が決まった場合でも税制改革が中身の乏しいものになった場合、株売り・ドル売りの展開となりそうだ。また、トランプ政権の求心力は弱まり、ドルについてネガティブな要因になりかねない。
ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)による12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げは確実視されており、リスク回避的なドル売りが大きく広がる状況ではないとみられている。15日発表の米10月消費者物価指数(CPI)や10月小売売上高などの経済指標が市場予想を上回る内容だった場合、ドル高・円安の基調は継続しそうだ。


■来週の注目スケジュール

11月13日(月):国内企業物価指数、米財政収支、ASEAN首脳会議など
11月14日(火):中鉱工業生産指数、独GDP速報値、ユーロ圏鉱工業生産指数など
11月15日(水):訪日外国人客数、米MBA住宅ローン申請指数、米小売売上高など
11月16日(木):英小売売上高指数、米鉱工業生産指数、米設備稼働率など
11月17日(金):米住宅着工件数、ドラギECB総裁講演など《TM》

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