ワールドカップ初出場を果たしたアイスランド 人口わずか33万人

2017年10月13日 18:20

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■アイスランド、ワールドカップ出場決定!

 ロシアワールドカップ欧州予選で死のグループと呼ばれていた組は2つあった。一つはグループA。フランス、スウェーデン、オランダというワールドカップに出場すればベスト8は狙える国が3チームも名を連ねた。この組は序盤で苦戦したオランダが敗退することになった。
 
 そしてもう一つはグループI。こちらはグループAほどの強豪国が集まったわけではないが、アイスランド、クロアチア、ウクライナ、トルコ、フィンランドと言った中堅どころのチームが集まり、ヨーロッパで見ても弱小国なのはコソボしか存在しなかった。そしてこのグループを1位で突破したのがアイスランドである。

 アイスランドの成績は7勝2敗1分け、16得点7失点という好記録で終始安定した力を見せた。

■奇跡の国アイスランド

 アイスランドについて特筆すべき点は、人口が極端に少ないことだ。全人口が約33万5,000人。日本で人口が一番少ない県である鳥取県の6割程度。中規模市くらいの数だ。言ってみればその「市選抜チーム」でワールドカップ出場を成し遂げたという感じだ。

 今まで一番少ない人口でワールドカップに出場した国は、2006年のドイツ大会に出場したトリニダード・トバコの130万人。いきなり100万人も少ない記録を打ち立てた。しかしそれほどの奇跡を起こせたのには訳がある。その一つが、UEFAコーチングライセンス取得率が非常に高いことだ。国民の500人に1人はライセンスを持っているのである。

 例えば日本の場合、ライセンスのレベルでは単純な比較は出来ないが、JFAの指導者ライセンス登録者数はS~D級合わせて約8万人。この10年間で約2倍に増えてはいるものの、それでも日本の人口では、約1,500人に1人という計算になる。

 アイスランドでは、どのカテゴリーにいても、どんなチームにいてもしっかりとしたコーチにサッカーを教わる土壌が備わっているとも言える。家族の誰かがコーチングライセンスを持っており、ボールの蹴り方や戦術を夕食時に話すと言う光景が当たり前のように繰り広げられるかもしれない。

■日本は見習いたい

 このアイスランドのサッカー育成は日本が見習いたい点である。選手だけを鍛えても必ず限界が来る。しかし盤石なコーチ陣がどこにでもいる環境であれば選手の潜在能力を引き出すことが出来る。壁にぶち当たった選手をうまく覚醒することもできるかもしれない。何よりサッカーに対する哲学がなければ、新しい監督に「こうしろ」と言われた時に鵜呑みにしてしまうかもしれない。

 日本はアフリカや南米のように一人の突出したプレイヤーを出すタイプの国ではない。アイスランドのコーチング熱を取り入れ全体の底上げを図り、世界の強豪と渡り合ってほしい。

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