株式投資はリスキーだが丁半博打などではない (2)

2017年9月21日 06:34

印刷

 ダウ工業株30種平均やS&P500種株価指数に比べると、日本での知名度は劣るが米国の株価指数の一つに通称『配当貴族株指数』がある。S&P500種株価指数の構成銘柄を更に「25年以上に亘り連続増配を続けている」ことを基準に絞り込んだ企業(銘柄)からなる株価指数である。50余社に及んでいる。日本でも馴染みの深いところでは、コカ・コーラ、ジョンソン&ジョンソン、P&G、スリーエム、ペプシコーラ、ウォルマートなどが対象企業として見当たる。

【こちらも】株式投資はリスキーだが丁半博打などではない (1)

 25年以上も連続増配を続けるとなると、増配原資とに繋がる着実な利益の積み重ねが必要となる。「優良企業」と呼ぶに、まさにふさわしい。2008年9月のリーマンショック後、世界の株式市場は大幅な下落局面となった。その後、リーマンショック前の水準をいの一番に回復した指数が「配当貴族株指数」であったことには、頷かされるものを感じざるをえない。

 株式投資における利益が「値上がり益」「配当」を軸としていることを勘案すると、「長期連続増配」企業に照準を当てるのも一策であろう。

 日本の場合はどうか。前期までの実績で最長不倒の連続増配を続ける企業は、花王(12月期決算)である。27期連続。20期を超えているのは同社ただ一社のみ(ちなみに今期も増配計画)。「花王の連続増配も22期で終止符か」と指摘された時期がある。2012年12月期、傘下に入れていたカネボウ化粧品の「白斑」問題にさすがの花王も「対応/補償金」で大きく揺さぶられたからである。だがこの期も同社は連続増配を実現した。

 花王は連続増配に強いこだわりを持っている。毎期の利益剰余金は「1番目が更なる成長のための投資、2番目が安定かつ継続した配当原資」という優先順位まで公にしている。

 さて花王の株式を15年1月の初値(4,707円)で購入し、配当取りの用意(名義書き換え)をして今日まで持ち続けていると投下資本はどうなっているか。今期の下半期の配当も取りに向かうという前提で算盤をはじくと、資金は48%強増幅している。

 長期連続増配企業という8文字から「資産株候補」探しにウノ目タカノ目になるのも一法といえよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事