政府、自衛隊輸送機C-2の輸出を検討

2017年8月28日 07:17

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C-2輸送機。(画像:川崎重工業発表資料より)

C-2輸送機。(画像:川崎重工業発表資料より)[写真拡大]

 日本政府が、航空自衛隊が擁する最新鋭の輸送機である「C-2」を、アラブ首長国連邦(UAE)に輸出することを検討しているという。日本経済新聞が報じた。

【17年3月に開発完了】航空自衛隊の次期輸送機「C-2」、16年の時を経てついに開発完了

 C-2は、防衛省技術研究本部と川崎重工業が共同開発し、2010年に初飛行となった機種である。量産初号機が納品されたのが2016年6月のことで、最終的には30機以上を生産する予定であるとはいうがまだ製造数は少ない。

 ちなみに日本はもともと、「武器輸出三原則」なるものを掲げ、武器や軍事関連技術の輸出は原則的に禁じていた。しかし2014年に方針が転換され、「防衛装備移転三原則」が代わって採用された。これにより、紛争当事国ではない、国連安保理決議に違反しないなどのいくつかの条件を満たせば、兵器の輸出を行ってもよい、ということになったのである。

 とはいえ防衛装備移転三原則に基づく完成品の兵器の輸出例はまだなく、この取引が成立すれば、初の事例となる。

 UAEへの売り込みは以前から進められていた。2016年6月、つまりC-2の初号機が納品されたばかりの時のことであるが、同国の空軍司令官アルアラーウィ空軍少将が来日して、C-2に試乗するなどし、日本の防衛装備品への関心を表明している。

 なお、2017年1月にはニュージーランド空軍とも交渉が進んでいる旨が日本経済新聞によって報じられている。

 C-2は大搭載量、長航続距離、高速巡航性能を誇る輸送機であり、既存の輸送機とは一線を画する性能を持つ。水陸両用車や機動戦闘車の搭載も可能であり、離島防衛も可能だ。

 なお、契約成立までには政府同士の協議、国家安全保障会議(NSC)の閣僚会合での審査など様々な路程があるため、最終決定までには4~5年の期間を要すると見られるという。航空自衛隊向けのC-2の価格は、量産初号機が約188億円だった。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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