IoTネットワーク「SIGFOX」、国内パートナー企業100社越え

2017年8月9日 06:54

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(写真: ラピスセミコンダクタの発表資料より)

(写真: ラピスセミコンダクタの発表資料より)[写真拡大]

 ラピスは7日、IoTネットワーク「SIGFOX」準拠のLSIを開発したと発表した。ラピスは、京セラの主導するSIGFOXプログラムのパートナー企業の一員である。SIGFOXは、世界32カ国で使用されている低価格・低消費電力・長距離伝送を特長とするIoTネットワークだ。国内では、2月27日に京セラコミュニケーションシステムが、日本でのSIGFOXの独占展開を開始して以来、パートナー企業は100社を超えた。これまで、ミツウロコとNECのLPガス配送業務での協業、アドバンテックとの戦略的パートナー締結、MM総研大賞2017での最優秀賞の受賞、IoTプラットフォームのソラコムがSIGFOXに対応、西松建設のインフラ監視システム開発、SIGFOXとLINEをつなぐSIGLINES開発と成果を上げている。

【昨年11月に発表】IoTの通信費、年額100円以下の低価格ネットワークが日本上陸

 SIGFOXは、フランスのSIGFOX社が提供するグローバルなIoTネットワークである。低消費電力広域ネットワークに特化したグローバル通信事業者で、1国1事業者と契約し、その事業者がネットワークを構築運用する。つまり、実際にキャリアのビジネスの一つである。そのデータ量は、たったの12バイトである。この将来性から、NTTドコモは、SIGFOX社へ出資している。

●IoT向け通信の課題とニーズ

 様々な環境下で多数のデバイスが接続するIoTネットワークにおいて、データ量が非常に少ないセンサなどの用途では、既存のネットワークでは通信料金は高い。また、センサのデータを送るような場所に電源があることは稀であり、デバイスを低消費電力化して、電池で数年間稼働することが求められる。

 本格的なIoT展開には、既存の高速・大容量のネットワークに加えて、低速・小容量のセンサなどをターゲットとしたネットワークも併せた様々な組み合わせが必要である。

 加えて、IoTシステムを開発する上での簡便性やグローバルな展開も考慮する必要がある。その観点からは、キャリアのネットワーク利用やIoTプラットフォーム利用も判断材料となる。

●SIGFOXの特長

 SIGFOXは、国内では免許不要な920MHz帯域を利用して、低価格・低消費電力・長距離伝送の通信を実現する。IoT用途に適したプランで、1デバイスが年間100円~という。電池で数年の稼動が可能で、SIGFOXのクラウド活用でクイックスタートが可能となるようだ。

 通信速度は100ビット/秒で、転送容量は12バイト、上りのみに対応する。1日の通信回数も140回と制限がつく。なお、伝送距離は最大で数十キロメートルである。これらは、定期的なデータの収集やイベント発生に伴う通知に適している。

●活用例

 これまで、ガスや水道のメータの検針、販売機の補充通知、河川の水位通知、コンテナの位置情報通知、高齢者の転倒通知などSIGFOXに適したアプリケーションは多くある。SIGFOX提供半年後の今、着実にIoTは前進しているのであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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