なくならない審判批判 VTR導入は難しいのか

2017年4月21日 11:46

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■バイエルンの怒り

 欧州チャンピオンズリーグ準々決勝2ndレグ、レアル・マドリードVSバイエルン・ミュンヘンで不可解な判定があった。いずれもレアルに偏った判定となり、バイエルンの選手の怒りは収まらなかった。試合後審判団に詰め寄る選手たちに対して警察が出動するまで発展してしまった。

 ことの発端は後半39分。バイエルンのMFビダルに対してこの日2枚目のイエローカードが出された。ビダルのスライディングはボールを触っていたし、その後に足にかかりレアルのマルコ・アセンシオが倒れた格好となった。選手たちが詰め寄るも判定は覆らず、勝負は1stレグとの合計で3-3となり延長戦に突入した。

 延長に入るとさらに不可解な判定が加速した。延長前半14分、レアルのクリスチアーノ・ロナウドがゴールを決めたのだが、オフサイドポジションにいたように見えた。さらに延長後半4分も同じくロナウドがゴールを挙げたがこちらもオフサイドと取られてもおかしくなかった。結局バイエルンは力尽き2試合合計6-3で敗れた。

■試合後のコメント

 試合後バイエルンはチームの公式サイトで審判に対する不満を打ち明けたほどだ。アンチェロッティ監督も「ミスに対しては人間がジャッジするためあり得る」と答えた。さらに「そのミスが多く、欧州チャンピオンズリーグ準々決勝という大舞台でこのようなことがあってはいけない」とも言っている。

 対するレアルのジダン監督はミスジャッジについての言及はしなかったが、「バイエルンが不満に思うことは理解できる」と言った。要は、相手チームの監督でさえ偏ったジャッジだったと認識しているのだ。

■VTR導入について

 ではこのようなことを少なくするにはどうすればいいか。答えは決まりきっていて、VTRを導入するという結論は出ている。ではなぜそうしないのかというと反対意見があるからだ。

 例えば、南米のチームは「マリーシア」と言って審判にファウルだと見せるのも技術だと捉えている。そのためサッカーからそれらをなくしたら面白みも少なくなってしまうと言うのが彼らの持論だ。しかし、逆に彼らが「マリーシア」をやられたらどうなるか。これは当たり前のことながら相手を褒めたりはせず審判に文句を浴びせる。

 昨年のクラブワールドカップでVTRが導入されたがまだ浸透はしていない。少しの良さを残したいがために試合全体を壊すことがあってはいけない。VTRを導入してきちんと「判定に左右されないスポーツ」になってほしい。

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