札幌アジア大会開幕で鮮明になる、日本アイスホッケー界の「明と暗」

2017年2月18日 17:15

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 札幌冬季アジア大会の開幕を迎えた。

 来年、韓国・平昌で行われるオリンピックを前に、14年ぶり日本で行われる今大会。中でも注目は先日、二大会続けての五輪出場権を獲得したばかりのアイスホッケー女子日本代表・スマイルジャパン。苫小牧で繰り広げられた五輪予選ではヨーロッパの大柄な選手を相手に、果敢に立ち向かいチーム力の高さを見せつけた。その光景は記憶に新しく、それゆえ札幌での戦いぶりにもより多くの関心が寄せられるだろう。

 そして今回、アイスホッケー競技においてもう一つ、視線を送らなければならないチームがある。アイスホッケー日本男子代表である。

■揺らぐアジア内での立ち位置


 昨年、平昌オリンピック最終予選を三戦全敗で終え、五大会連続、自力での五輪出場を逃した男子代表。だが冬季アジア大会においてもさらに残酷なシチュエーションが訪れるかもしれない。

 今回の札幌大会よりアジア大会の開催時期が変更され、冬季オリンピックの一年前に行われることとなった。これにより今後は、アイスホッケーのみならず各競技とも、オリンピックの試金石としての意味合い強い大会になって行く筈だ。

 その意味では、平昌五輪を来年に控え札幌に乗り込んでくる、隣国であるアイスホッケー・韓国代表は過去最強であると言えるだろう。これまで、アジアでは『強国』であった日本ではあるが今回、アジア大会史上ではじめて韓国の後塵を拝することになることになったとしても、それは決して驚く出来事ではない。5年前のソチオリンピック一次予選、同グループに組み込まれ直接対決では勝利を納めたものの、最終順位ではグループ三位となり韓国を下回った。アジアリーグでともに凌ぎを削ってきた隣国はすでに与しやすい相手ではなくなっている。

■女子代表以上に求められる「結果」


 女子代表・スマイルジャパンとは国内の関心・注目度では大きく水をあけられ、韓国をはじめ、アジア近隣国との実力差も無くなりつつある男子代表。昨年一杯で前監督のグレッグトムソン氏の辞任に伴い、鈴木貴人新監督の発表があったのが今月の1日、つまり札幌大会開幕の直前だった。新体制の元、巻き返しを図らなければならない大会である中、約二週間という短期間で十分な強化が行われたとは到底思えず、今大会に向け、取り巻く環境はこの上なく厳しいと言わざるを得ない。

 それでも、開催国である以上、女子代表の様に国民の目を向けさせ、アイスホッケーファンに気持ちが伝わる戦いを見せなければならないだろう。五輪には遠く及ばなくとも、国内における競技の発展のためにも、札幌大会で無様な姿は見せられない。

 果たして、浮上のきっかけを掴むことが出来るのか。それとも他国の勢いにのまれ、凋落の一途へ加速する大会となってしまうのだろうか。

 日本の初戦は2月22日。四カ国総当たりで競うトップディビジョンの戦いの最初の相手はこちらも冬季五輪・2022年の開催国、中国だ。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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