ホンダと日立がEV用の電動モーター事業で新会社設立

2017年2月11日 21:53

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記事提供元:エコノミックニュース

ホンダ技研工業と日立製作所が、電気自動車(EV)の駆動に使う電動モーター事業で提携すると発表した。ホンダにとって遅れていたEV分野の巻き返しの一歩になる

ホンダ技研工業と日立製作所が、電気自動車(EV)の駆動に使う電動モーター事業で提携すると発表した。ホンダにとって遅れていたEV分野の巻き返しの一歩になる[写真拡大]

 ホンダ技研工業と日立製作所が、電気自動車(EV)の駆動に使う電動モーター事業で提携すると発表した。ホンダにとって遅れていたEV分野の巻き返しの一歩になる。一方、日立にとっては、自動車ビジネスの拡大につなげるビッグチャンスだ。自動車産業をエレクトロニクス技術で支える「日立モーターズ」が動き出したともいえる。

 先日、ミシガン州デトロイトでホンダとゼネラルモーターズ(GM)が共同会見して公表した内容は、燃料電池生産をデトロイト近郊に立地するGMのバッテリー工場内にラインを新設して行ない、それぞれの燃料電池車(FCV)に搭載するというものだった。共同開発を進めている車載用の燃料電池システムを米国ミシガン州のGM部品工場を活用し、2020年から合弁で量産すると発表したばかりで、多角的な提携交渉が矢継ぎ早にまとまってきたようだ。

 今回の日立とホンダが発表した提携は、日立で自動車事業を担っている日立オートモティブシステムズとホンダ技研が、電動車両用モーターの開発・製造・販売会社を7月に共同出資で設立するというものだ。資本金は50億円で、日立オートモティブシステムズが51%、ホンダが49%出資する。

 ホンダはしばらくの間、「自前技術にこだわる孤高の独立系事業者」と言われたが、多種多様な技術を自社だけでこなすことには限界もある。米テスラをはじめ、日米欧のライバルたちが競ってEVに本腰を入れるいま、自前主義にこだわらず、日立やGMと組むことを選択しはじめたといえる。

 今回の日立との新会社は「米国と中国にモーターの製造と販売を行なう子会社を設立する」というもの。「ホンダを含めた自動車メーカー各社からの需要に広く応える」としており、ホンダだけに供給するわけではない。もちろんGMへの供給も視野に入る。EVを駆動するモーター事業を世界規模で育てるという野望が新会社に設立に滲む。

 1999年からEV用のモーターを市場に投入し、技術力と商品力をアップさせてきた日立オートモティブシステムズは、これまで小型・軽量化、高出力化を推し進めた電動車両用モーターを国内外の自動車メーカーに数多く納入してきており、その製品性能や生産技術は業界から高い評価を得ている。

 また、ホンダは1999年に同社初のハイブリッド車となる「インサイト」を発売した。以来、電動車両ラインアップ拡充をめざすと共に、EVを含めた電動車両の基幹部品であるモーターの自社技術力と生産力の向上を図ってきた。

 今後、グローバルで進む環境保全対策や環境規制の潮流で、EV関連市場はさらなる拡大が見込まれる。そのため、日立とホンダは自動車メーカーとサプライヤーという立場における協業により、技術的な相乗効果やスケールメリットを生み出していく考えだ。電動車両システムの中核を構成するモーターの競争優位性と事業基盤を堅固とすることを目指す。(編集担当:吉田恒)

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