ガルパンから歴史を学ぼう!③ 秋山優花里 はなぜソウルネームに「モントゴメリー」を嫌がり「グデーリアン」で喜んだか?

2017年2月6日 08:39

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ガルパンから歴史を学ぼう!③ 秋山優花里 はなぜソウルネームに「モントゴメリー」を嫌がり「グデーリアン」で喜んだか?© GIRLS und PANZER Film Projekt © GIRLS und PANZER Projekt

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 読者の皆様、またまた覗いていただきありがとうございます。金剛でございます。

 今回題材にするネタは、劇中では非常に細かい部分なのですが、細かい部分にもミリタリーネタを組み込んでいるのがガルパンの素晴らしいところ(笑)

 今回はその細かい部分である、第7話での場面をご紹介します。名付けて「なぜ、ゆかりんはモントゴメリーと呼ばれるのを嫌がりグデーリアンで喜んだか?」です!

■ドイツ軍とイギリス軍の2人の将軍


 TVシリーズ第7話において、プラウダ戦を前にして、大洗の面々が新しい戦車を探すシーンがありましたね。結果的には、ルノーB1bis、ポルシェティーガー、そして、あんこうチーム4号戦車用の43口径75mm砲の砲身を見つけましたが、歴女チームのカエサル、エルヴィン、ゆかりんがルノー戦車を見つけたシーンを覚えていますでしょうか?ルノーを見つけた面々はこのような会話してしています。

 ゆかりん「見つけました!ルノーB1bisです!!」

 カエサル「流石モントゴメリー」

 ゆかりん「あの~それはちょっと…(・_・;)」

 エルヴィン「グデーリアンならどうだ?」

 ゆかりん「おお!!!(^^)!」

 という会話しています。ここでゆかりんが、ソウルネーム「グデーリアン」をもらい喜んでいたシーンがありますが、なぜモントゴメリーを嫌がったのか?という事です。これについて筆者のガルパン仲間からの方から以前

 「なんでモントゴメリー嫌がったの?てゆーか、それ誰?」みたいな質問をされたことがありました。そのような方も意外に多いこともありましたので、ここで軽く、イギリス軍の将軍「バーナード・モントゴメリー」そしてドイツ軍の将軍「ハインツ・グデーリアン」を軽く解説させていただきます

■砂漠のキツネ「ロンメル」を打ち破ったモントゴメリーは「名将」か「迷将」か?



 まず、ゆかりんが嫌がった方のイギリスの将軍、「バーナード・モントゴメリー」を紹介しますが、その前にモントゴメリーを語る上で、一人の天才ドイツ軍人の存在を語る必要があります。その辺の解説も、なるべく簡単にまとめるよう、努力します(笑)

 モントゴメリーが第二次大戦でその名をとどろかせたのは、欧州戦線から遠く離れた北アフリカ戦線でした。

 この戦線は元々、枢軸国の一国であったイタリアが1940年にエジプト侵攻を開始し、形成された戦線でしたが、当時この地域に軍を置いていたイギリス軍によってイタリア軍は早々に壊滅寸前に陥ります。(コンパス作戦)

 ドイツ第三帝国総統ヒトラーは、同時期にソ連侵攻作戦「バルバロッサ」を控え、余計な軍隊を割きたくなかったのですが、貴重な同盟国イタリアの離脱を恐れ、またイタリアの要請を受けたこともあり、一握りの部隊と一人の将軍を派遣しました。

 それがアニメガルパンにおいて歴女チームの「エルヴィンさん」の元ネタとなっている「エルヴィン・ロンメル」でした。かなり有名な名前なので、名前は聞いたことがあるという方もいるかと思われます。

 1941年に北アフリカに降り立ったロンメルは、すぐに反撃を開始。イギリス軍を早々に撃退します

 ロンメル率いる「ドイツ・アフリカ軍団」はイギリス軍と比べ、常に兵站や兵力、補給で劣勢でしたが、その作戦指揮で、イギリス軍の攻勢を幾度となく撃退し、一時はエジプト進攻等でイギリス軍を陥れ、ドイツ・アフリカ軍団優位で戦場を支配します。この活躍からロンメルは「砂漠のキツネ」の異名を持っています。

 一方、このように数々の攻勢をはねのけられ、大損害を受けたイギリス軍は、次から次と司令官が変わっていきますが、一人の将軍が、この「砂漠のキツネ」と決着を試みます。それが「バーナード・モントゴメリー将軍」でした。

 イギリス第8軍の司令として着任したモントゴメリーは、常に補給が厳しく、軍の増強もままならないドイツ・アフリカ軍団の状況を見て、自国軍の戦力が敵の数倍に増強されるまで攻勢に出ず、ひたすら増強を待ちました。そして、戦力差がドイツ・アフリカ軍団の数倍になった時、「ライトフット作戦」「スーパーチャージ作戦」と立て続けに攻勢に出ます。こうなると、兵力差で劣勢なロンメルも力押しで攻めてくる相手に対し撤退しか選択はなく、さらにアメリカ軍のアフリカ上陸により挟み撃ちに合い、1943年5月にドイツ・アフリカ軍団は降伏します。名将ロンメル率いるドイツ・アフリカ軍団をモントゴメリーが破った瞬間であり、「名将ロンメルを打ち破った将軍」として名を轟かせます

 つまり、モントゴメリーの知名度は「名将ロンメル」を打ち破った将軍として有名なのです。

 (余談ですが、ロンメル自身は、約17万名のドイツ・アフリカ軍団が連合軍に降伏した時、その直前でヒトラーより休養命令を受け本国ドイツに戻っていました。)

 しかし、このときがモントゴメリーの全盛期でした。モントゴメリーはその後、欧州戦線に戦場を移しましたが、連合軍の欧州上陸作戦「D-Day」後は目立った活躍は見せておらず、指揮自体がかなり慎重で、敵国のドイツ軍からも

 「全然怖くないよー」

 みたいな感じに思われていました。

 さらに、1944年9月にモントゴメリーが計画し強硬発動した、史上最大の空挺作戦で知られる「マーケット・ガーデン作戦」においては、ドイツ軍の大反撃に合い、大失敗に終わり、欧州戦線においてドイツ軍に最後の勝利を献上してしまいました。この辺はまた別の機会に詳しくお話いたします。

 この「マーケット・ガーデン作戦」の失敗で「迷将」というイメージがついていると思われますが、間違いなく劇中で、ゆかりんがモントゴメリーの名を嫌がる要因となっています。

■ドイツ機甲部隊(戦車隊)の生みの親「韋駄天ハインツ」こと「ハインツ・グデーリアン」



 対して、エルヴィンさんが

 「では、グデーリアンではどうだ?」

 と言った瞬間に、ゆかりんのテンションが上がり、その後歴女チームの面々にソウルネームとして呼ばれる「グデーリアン」こと、「ハインツ・グデーリアン」は、一言で言うと「ドイツ機甲部隊(戦車隊)の生みの親」と呼ばれる、ある意味歴史的な人物です。

 そもそも、第一次大戦に初めて登場した「戦車」の役割は、まさに当時の戦場を表した「塹壕戦」を打開するために投入された兵器で、あくまで主役は「歩兵」「騎兵」でありそれを支援するという立場が、当初の戦車の運用方法でした。

 しかし、一人の天才ドイツ軍人がこの戦車に着目し、戦場そのものを「戦車」で支配し戦線を突破するという構想を編み出しました。それが、このグデーリアンでした。

 この運用方法は、当時のドイツ国防軍上層部から非難が殺到しましたが、グデーリアンが実施した戦車部隊での演習を目にしたヒトラーがこの戦車の運用方法に興味を示し、すぐさま戦車部隊の増強を命じ、一躍脚光を浴びました。

 また、グデーリアンは元々、無線部隊出身という事もあり、戦車部隊の無線を指揮統制の重要性を唱え、戦車に無線通信設備を搭載するという当時としては革命的な試みを行い、その後のドイツの戦車戦にとって非常に大きな役割を持っていました。

 この無線通信の常時装備により、砲兵や空軍、そして味方戦車間での連携が可能になり、西方電撃戦やソ連侵攻作戦「バルバロッサ作戦」において、自軍の戦車を上回る戦闘力を持った相手でも、連携して打ち破ることができました。

 ちなみに、独ソ戦時のソ連軍戦車部隊では、無線は隊長クラスの戦車にしか搭載されておらず、連携した行動がとれませんでした。

 後にソ連軍もこの電撃戦を「パクッて」逆にドイツ軍を追い込み始めることを考えると、グデーリアンは「戦場を変えた」という革命を起こしたともいえます。

 グデーリアンは、自らが生み出した「電撃戦」を証明するように、1939年のポーランド侵攻において、第19装甲軍団を率いて、戦車を用いた戦線突破や優れた機動力によって敵を追い込むことを証明して見せました。このときのグデーリアンが育て指揮したドイツ機甲部隊の進撃のスピードがすさまじく、その様子からグデーリアンは「韋駄天ハインツ」と呼ばれています。

 そして、続く1940年の西方電撃戦においても、戦車での突破が不可能とされていた「アルデンヌの森」を戦車にて突破し、英仏連合軍の裏をかいて、英仏連合軍をダンケルクへ追い落とし、大国フランスを6週間で降伏させています。

 快進撃を続けるドイツ軍とグデーリアンでしたが、1941年のソ連侵攻作戦「バルバロッサ」では、当時のドイツ軍の主力である第2装甲集団を指揮して、各地でソ連軍を撃破するものの、広大なロシアの大地を駆け巡り、また舗装された道がほとんどないロシアの大地で補給が続かず、冬の到来、無尽蔵に出現するソ連兵によって、ついにモスクワ攻略作戦「タイフーン作戦」が失敗。

 ヒトラーの逆鱗に触れ、グデーリアンは司令官の職を追われます。これ以降、グデーリアンが現場で部隊を指揮することは無くなりましたが、1943年に装甲兵総監に就任し、消耗が激しい装甲部隊の再建に帆走。

 1944年には参謀総長に就任しましたが、ベルリン陥落直前の1945年3月 にヒトラーと衝突し参謀総長の職を追われています。最終階級は上級大将。戦後、アメリカ軍の捕虜となりましたが、戦犯として起訴はされず、以降他界するまで軍に戻ることはありませんでした。そして、軍における革命児となったグデーリアンは、1954年5月14日に西ドイツで他界します。

 このように、グデーリアン自身の経歴を見ると輝かしく見ますし、このソウルネームをもらった、ゆかりんの喜びもわかる気がします(笑)

■もし筆者がエルヴィンさんからソウルネームをもらえるなら・・・


 ちなみにですね、もし筆者がエルヴィンさんからソウルネームをもらえるなら、「エーリッヒ」もしくは「マインシュタイン」が希望ですね(笑)

 この名前もいずれ紹介したいと思いますが、気になる方は調べてみて頂けたらと思います(笑)

 このように、ドイツ軍人の名前をソウルネームとしてもらって喜び、また劇中、ゆかりんの「ドイツ軍贔屓」が所々に現れているところもあり、この辺の解説もいずれ書かせていただきたく思います。

 ↑(あ、次回はこれにしようかなとも思っています(笑))

 ご興味のある方は、また是非このページをご覧になっていただけたらと思いますので、今後もお付き合いのほど、よろしくお願いいたします

 ガルパン不動の主人公「 西住みほ 」のモデルは、実在した旧日本陸軍戦車兵だった!

(あにぶ編集部/金剛たけし)

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