アニメ映画「 銀河鉄道999 (The Galaxy Express 999)」の魅力

2017年1月12日 09:34

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アニメ映画「 銀河鉄道999  (The Galaxy Express 999) 」の魅力 (C)松本零士・東映アニメーション

アニメ映画「 銀河鉄道999 (The Galaxy Express 999) 」の魅力 (C)松本零士・東映アニメーション[写真拡大]

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 さて今回ご紹介したい「銀河鉄道999」とは、あの日本SF漫画の巨匠である松本零士氏が手掛けた、銀河を駆け巡る列車999を舞台に、数多の星々を巡る、主人公──星野鉄郎(ほしの・てつろう)と、彼を導く謎多き美女メーテルの物語です。

■日本のアニメに深く携わるりんたろう監督が、アニメ映画の在り方を変えた


 この作品はテレビアニメから劇場版作品ともなり、劇場版アニメ作品「銀河鉄道999 (The Galaxy Express 999)」は、当時、その完成度の高さと精密な世界観と精巧な物語の展開などが話題を呼び、興行収入16億円を記録し、当時のアニメ映画興行成績を記録した、初のアニメ映画が世に認められた作品として知られています。

 この作品を手掛けたのは、あの日本アニメ界の重鎮とも知られている、りんたろう氏。

 初の日本国産アニメ作品である「鉄腕アトム」などの初期作品から、日本のアニメに深く携わる監督が、アニメ映画の在り方を変えたのです。

 その当時まで、アニメ映画は邦画では無いと見られていた時代でしたが、1979年度の映画興行成績を変えた今作は、それまでのアニメ映画の在り方を変え、新しい見方を創り出した作品とも言えます。

■テレビシリーズや漫画と異なる、劇場版「 銀河鉄道999 」


 この劇場版「銀河鉄道999」制作において、りんたろう監督氏は、テレビシリーズや漫画の「銀河鉄道999」ではなく、映画だけの「銀河鉄道999」としての制作を試みた事が、このアニメ映画作品の完成の秘訣だったとも言われています。

 このアニメ映画を語る上で最初に挙げらるのが、主人公の星野鉄郎の設定年齢を引き上げる事にありました。

 星野鉄郎の年齢は10歳の少年だったのですが、それが思春期に入ろうとする15歳へと引き上げられたのは、母親の死から成長し、メーテルとの出会いまでの年月による成長のタイムラグが必要とされたからです。

■劇場版「 銀河鉄道999 」のメーテルは、「母性」から「女性」へ


画像引用元:(C)松本零士・東映アニメーション

 漫画・アニメ版の鉄郎はメーテルに母親のような想いを抱いていますが、劇場版の15歳の
鉄郎は、メーテルに異性の魅力を感じている若者の力強さを求め、瞳の大きさに顔立ちや背格好など、全体に凛々しい雰囲気を持たせる少年から青年へと変わろうとする鉄郎の成長を取り入れた事が、この映画の一つの目的でもありました。

 何故に成長する必要があったのか、それは当時の「銀河鉄道999」のテレビ版の視聴者などが16歳から20歳と、子供向けではなく、若者向けの作品として独り立ちしていた為、劇場版の「銀河鉄道999」は冒険長編アニメだけではなく、鉄郎の青春ドラマである要素も盛り込み、より深い物語として追求が成されたためです。

 またこの映画では星野鉄郎の青春の一大を描く計画が成され、物語の終盤まで描く事が計画されていました。

 これは当時まだ銀河鉄道999は原作は連載中であり、またテレビアニメは放映中と、まだ最終回を向かえていない作品にも関わらず、勝手に終わらせる事は許されないのでは、制作側では、旅は続くのだと言う終わりで幕を閉じるべきだと言う意見が占めていましたが、りんたろう監督氏は、あくまでも主人公の物語を終える事こそに意味があるのだと、青春群像劇をアニメ作品として折り込み、その終わりを作る事で、鉄郎は新しい一歩を進むのだと、その意味合いを込めて制作されました。

 この時りんたろう監督氏は、原作者である松本零士氏と話し合い、鉄郎の出逢いこそが大切なのだと言う承諾を貰い、この映画は作られました。

■声優の野沢雅子氏や池田昌子氏も思わずに泣いたラストシーン


画像引用元:(C)松本零士・東映アニメーション

 物語の終盤である、鉄郎とメーテルの別れは、この作品の最大の見せ場でもあり、彼女との別れを受け入れようとも、受け入れられない鉄郎の葛藤や、またメーテルの持つ想いと、永遠の別れを受け入れようとしている彼女の寂しさなど、物語の終焉と鉄郎の青春の終焉と、色深く、そして鮮やかに演出された、その別れのシーンは、演じていた声優である野沢雅子氏や池田昌子氏も思わずに泣き出してしまう程に想い入れが強く、スタッフもこのシーンの収録に涙していたのだと言う逸話もあります。

 冒険SF活劇ではなく、青春群像劇の色合いを入れ、一人の人間の成長を描き、多くの若者達に共感性を生みだし、アニメ映画の在り方を変えた今作「銀河鉄道999 (The Galaxy Express 999)」は、アニメが世に認められる切っ掛けの作品だったのです。

 感動の基礎が込められた、アニメを感動の出来る作品として描いた「銀河鉄道999 (The Galaxy Express 999)」のちのアニメの見方を変えた傑作とも言えます。

 『四月は君の嘘』青春の悲しく切ない、しかし前に向かう希望

(あにぶ編集部/あにぶ編集部)

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(C)松本零士・東映アニメーション

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