米化学会、将来の排ガス基準をめぐり議論を展開

2016年8月30日 22:02

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記事提供元:Auto World News

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 昨年のフォルクスワーゲンの不正問題を受け、自動車メーカーの対応が問いだたされているなか、22日(現地時間)、アメリカ化学会主催の会議では、排ガス浄化機能が装備された比較的新しい車両にも目が向けられた。

 カリフォルニア大学バークレー校およびサンディエゴ校、カーネギーメロン大学、マサチューセッツ州工科大学の研究者らは、ロサンゼルスエリアの住人からガソリン駆動自動車25台(そのうち、ハイブリッド自動車は2台)を借り、ハーゲンスミットラボまで車を走行させることで、道路上を走行する自動車の排ガス状況を確認するという実験を行った。排ガスの測定に際しては、自動車の排気管から出る多種多様な物質を測定可能なプロトン移動反応質量分析計を使用した。

 自動車の排気管からはベンゼン、トルエン、キシレン、不完全燃焼ガス(アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトニトリル)などの化学物質が検出された。今回の実験対象となった車両の年数は2~20年と幅があったが、年数が経っていない車両ほど上記のような化学物質があまり排出されないという結果が示された。

 研究者らがさらに着目したのは、比較的新しい車両からの排ガスのタイミングだ。エンジンが冷えた状態で走行し始めた時に排ガスが集中的に出る傾向があるという。エンジンをかけてから最初の30秒間に出る排ガスの量は、例えば機能不良気味の車両や年季の入った車両を160~480キロ走らせた場合と同レベルであったという。

 とは言え、今回の実験対象となった車両はロサンゼルスエリアで走行している25台に過ぎない。また、車両の製造元については明らかにされていない。以上の結果が比較的新しい車両全般に当てはまることを立証するには、全世界で走行する車両をターゲットとする必要がある。

 同学会主催の会議では、それぞれテーマの異なる9000を超えるプレゼンテーションが用意され、将来の排ガス基準をめぐり議論が展開された。

 今回の研究報告がより環境負荷の少ない自動車を設計・開発するうえでのきっかけとなることを期待したい。

※この記事はAuto World Newsから提供を受けて配信しています。

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