むし歯菌が脳出血に関係することが判明――国立循環器病研究センター

2016年2月6日 05:20

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 国立循環器病研究センターは5日、大阪大学大学院、京都府立医科大学大学院と共同で、むし歯の原因菌が脳出血の発症に関与することを明らかにしたと発表した。

 脳出血は全脳卒中の20%程度を占め、比較的発症の年齢が若く、症状が重篤となりやすい。その主要な危険因子は過度な塩分摂取、高血圧や糖尿病など生活習慣病とされている。

 研究では、脳卒中で入院した患者から唾液を採取し、その中に含まれるミュータンス菌(むし歯菌)を培養し、そのなかでcnm遺伝子保有株の有無やはたらきと脳出血や脳MRI画像で見られる脳の変化との関係を調べた。

 その結果、cnm遺伝子保有株が唾液中から検出された患者では、検出されない患者と比較して脳出血を発症している割合が高く、さらに脳のMRI画像で観察できる微小な脳出血の跡も多いことがわかった。生活習慣や年齢の影響によって硬くなった脳血管に対してミュータンス菌が傷をつけ、血管が裂けて脳出血に至ると考えられるという。

 研究グループでは、「脳血管・脳神経内科と歯科が連携し、“脳口連関”を明らかにすることで脳卒中などの重篤な疾患の予防・治療に寄与できることを念頭に置いて研究を続ける」としている。(記事:阪木朱玲・記事一覧を見る

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