徴兵制、政府と石破氏の解釈 違いはっきり

2015年6月21日 18:03

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記事提供元:エコノミックニュース

 徴兵制について、石破茂地方創生担当大臣は政府の憲法違反とする考えに『違和感を覚える』と異論を唱える一方、19日のブログでは「内閣の一員として政府見解に従うことは当然のこと」とし「私自身が日本において現在も将来も徴兵制をとるべきではないと思っていることは2010年に当欄にも記した」と徴兵制は別の理由でとるべきでないとの考えを紹介した。

 理由について石破大臣は「陸・海・空とも現在の自衛隊は複雑かつ精密なコンピューターの塊のような装備・システムで運用されており、適切な人員で相当に高い錬度を維持しなければ、その能力を発揮することは不可能。徴兵制となれば、玉石混交様々な人が入隊し、その教育訓練だけで機能はたちどころに麻痺してしまいかねない」としている。しかし、この論理では存立危機事態には導入の余地が残されていることを示す。

 石破大臣は2010年3月12日の自身のブログで、徴兵制について自身の考えを示している。まず政府見解について「昭和55年8月、政府は答弁書で『徴兵制度は我が憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものではないのに、兵役と言われる役務の提供を義務として課されるという点に本質があり、平時であると有事であるとを問わず、憲法第13条(個人的存立条件の尊重)、第18条(奴隷的拘束・苦役の禁止)などの規定の趣旨から見て、許容されるものではない』としている」と紹介。

 「私は防衛庁長官・防衛大臣在任中、国会でこの条文解釈について問われた際に『違和感をおぼえる』と答弁した記憶があります。もちろん政府解釈は知っていましたし、関係大臣がそのような答弁をすること自体、議論を呼ぶことは覚悟していたのですが、結局何の問題にもなりませんでした。違和感をおぼえていたのは私だけではなかったようです」と複数いたとの受け止めだ。

 そのうえで、石破大臣は「第13条について、外部からの侵略から国の独立と平和を守ることこそ最大の公共の福祉です。国の独立と平和無くして、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利の尊重などありえません」と自身の考えを示し、18条についても「兵役を『奴隷的拘束』と同一視するのはいかがなものか。さらに志願制ではなく徴兵制である点を『意に反する』ことにウエイトを置いて否定的に解釈していますが、兵役に『犯罪に因る処罰』と同じ評価がなされていることは極めて問題です」とし、要するに、徴兵制が憲法違反になるとすることには反論している。

 このことから、徴兵は苦役にあたるため、憲法改正をしない限り現行の憲法下では「とれない」とする現行政府と「内閣の一員として政府の見解に従うことは当然のこと」と閣僚でいる限りにおいて政府見解に従うという石破大臣の徴兵の捉え方に違いのあることは明らかで、「違和感をおぼえていたのは私だけではなかったようです」との受け止めにもあるように、党内には苦役にあたるとする考えに疑問を有している議員が複数いるようだ。

 「2010年3月4日の自民党憲法改正推進本部会合では『民主主義国家における兵役義務の意味や軍隊と国民との関係について、更に詰めた検討を行う必要がある』ことが論点として提示された」という。当時、「自民党の大島理森幹事長が記者会見し、自民党として徴兵制導入を今後検討する意図は全くない旨説明した」ので、当時、大きな問題にならなかったというのだが・・・。(編集担当:森高龍二)

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