14年度の円安倒産は401件、前年比で2.2 倍に急増 

2015年4月14日 10:50

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記事提供元:エコノミックニュース

2014年度の「円安関連倒産」は401件判明し、前年度の178件に比べて223件上回り、125.3%の大幅増加となった。

2014年度の「円安関連倒産」は401件判明し、前年度の178件に比べて223件上回り、125.3%の大幅増加となった。[写真拡大]

 昨年3月末に103円前後だった円ドル相場は、この1年で約17円も円安が進んだ。4月2日の円相場は1ドル=119円台半ばにとどまるなど、年明け以降、急速な円安進行には歯止めがかかったものの、依然として円安基調が続いている。この間、各種食料品や繊維・アパレル関係の業者を中心に影響が広がっており、「円安関連倒産」は年度下半期にかけて増加基調を強めているという。

 帝国データバンクは、2013年1月から2015年3月までの倒産企業(負債1000万円以上、法的整理のみ)の中から、円安の影響を受けて倒産した企業を抽出し、件数・負債推移、地域別、業種別、負債規模別に集計・分析した。

 その結果、2014年度の「円安関連倒産」は401件判明し、前年度の178件に比べて223件上回り、125.3%の大幅増加となった。また、3月単月でも48件判明し、15カ月連続の前年同月比増加となった。この結果、2014年12月の44件を上回り、2013年1月の集計開始以降で月間最多件数を更新した。円安の影響を受けた関連倒産は、年度下半期にかけて増加基調を強めており、中小・零細企業を中心に全国各地で判明しているとしている。

 地域別に見ると、2014年度は「関東」が東京都を中心に140件(構成比34.9%)となり、前年度比154.5%の大幅増加となった。業種的には、運輸業や繊維・衣服・繊維製品卸売業、食料品・飼料・飲料製造業などが目立つ。次いで、「近畿」(69件)、「中部」(60件)、「九州」(41件)の順となっており、いずれの地域でも前年度を大きく上回っている。

 業種別に見ると、「卸売業」が105件(構成比 26.2%)で最も多い。このうち、繊維・衣服・繊維製品卸売(39件)と飲食料品卸売(24件)の2業種で6割を占めるなど、とくに発生が目立った。次いで、「運輸・通信業」(99件=すべて運輸業、構成比 24.7%)、「製造業」(91件、同22.7%)が続いた。各業種で前年度の2倍超の件数となるなか、年度下半期にかけての原油価格下落の影響もあり、「運輸業」の前年度比増加率が唯一 20%台にとどまった。

 負債規模別に見ると、「1億円以上5億円未満」が178件(構成比44.4%)で最も多く、「5000万円以上1億円未満」(61件、構成比15.2%)と「5000万円未満」(60件、同15.0%)と合わせて、負債5億円未満の中小企業が全体の約4分の3を占める結果となった。このほか、「100億円以上」は1件にとどまり、1月に民事再生法の適用を申請したスカイマーク(負債710億8800万円)が最大の倒産となった。

 これら「円安関連倒産」は年度下半期にかけて増加基調を強めるなか、3月は集計開始後最多の件数を記録した。現在の円安傾向は当面続くとみられるなか、4月以降も引き続き、円安の影響を受けた関連倒産は高水準で推移する可能性が高い、と帝国データバンクでは予測している。(編集担当:慶尾六郎)

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