従来1600m以上の装置が6mに、そんなまさかを実現するデバイス

2014年10月17日 09:47

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記事提供元:エコノミックニュース

ロームと新会社「福島SiC応用技研」が、科学技術振興機構の支援を受けて共同開発したSiC-MOSFETを搭載した高電圧半導体スイッチモジュール

ロームと新会社「福島SiC応用技研」が、科学技術振興機構の支援を受けて共同開発したSiC-MOSFETを搭載した高電圧半導体スイッチモジュール[写真拡大]

 半導体メーカーのロームとSiCパワー半導体の実用化に向けた新会社「福島SiC応用技研」が、科学技術振興機構の支援を受けて共同開発したSiC-MOSFETを搭載した高電圧半導体スイッチモジュールを世界で初めて発表した。

 「CEATEC JAPAN2014」のローム・ブースで展示されたのは、ベアボード(基板)とともに、32kV/240A-peakPeak超高耐圧NチャンネルSiC-MOSFET搭載ユニットのモックアップだ。

 このSiC-MOSFETを搭載した高電圧半導体スイッチモジュールは、加速器やプラズマ発生器に必要な「高電圧のパルス発生器」をこのモジュールを組み合わせることで作成できる。電力損失が少なく高速スイッチングが可能なSiC-MOSFETの特性を活かすことで、従来のSi搭載品では達成できなかった高性能を達成したという。また、最終的なアプリケーションの大幅な小型化をも実現する。

 例えば、この高電圧のパルス発生器を加速器の加速電極管部に搭載すると、従来数1600m以上も必要だった電極管を飛躍的に短く(6mほどに)することができ、装置の大幅な小型化を実現できるという。

 福島SiC応用技研は、ロームや京都ニュートロニクスやロームなどが共同出資し、「福島の復興をSiCという最先端半導体技術で支援する」活動の一環として福島県内に立ち上げた会社。来年、県内に工場を新設する。SiCパワーデバイスを搭載した高電圧パルス発生器の実用化は世界初だ。

 電圧パルス発生器は加速器中性子源の小型化とコストダウンを実現する。加速器中性子源は大量の中性子を発生させる装置で、がん治療など医療用分野での応用・実用化が期待され、世界の研究機関が競って開発している。(編集担当:吉田恒)

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