温泉が反対する?もう一つの再生可能エネルギー「地熱発電」

2014年7月26日 19:53

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

 再生可能エネルギーは太陽光発電だけではない。地熱発電だってあるのだ。地熱発電は、主に火山活動による地熱によって生成された水蒸気により発電機に連結された蒸気タービンを回すことによって電力を発生させる。世界各国で、導入が活発になっている。しかし、我が国では2010年段階で総発電量の0.2%を占める程度となかなか普及には程遠い状態だ。

 これは、計画された発電所周辺の温泉地からの反対が強いからだ。地熱発電の新設により、温泉の枯渇、湯量の低下、温泉の温度低下、景観を損なう恐れがあるからということらしい。このため、事業者は温泉と手を組んだ事業展開を図るのがほとんどだ。

 オリックス<8591>もその一つだ。同社23日、北海道函館市および青森県下北郡風間浦村にて、地熱発電の事業化に向けた調査を開始したと発表した。

 両地域では、出力2000kW (2MW)程度の小規模地熱発電所の建設を検討している。このたび、地元関係者の了承のもと、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による地熱資源開発調査事業費助成金の採択を受け、事業性の検証のための調査を実施する。北海道函館市では地熱発電調査の第一段階となる「初期調査」を、青森県下北郡風間浦村では第二段階となる「物理探査」を行う。

 北海道函館市では、調査場所は北海道函館市南茅部地域(泣面山周辺)、調査内容は初期調査(地表調査、文献調査、航空写真解析などにより、地熱資源の可能性を調査)である。調査期間は2014年6月~2014年10月の予定。

 青森県下北郡風間浦村では、調査場所は青森県下北郡風間浦村下風呂温泉周辺地域、調査内容は物理探査(磁気法探査、重力探査により地下の地熱貯蔵層の位置・深度などを調査)。調査期間は2014年6月~2015年2月の予定。初期調査はJOGMECの助成金を活用し2013年11月~2014年2月に実施済である。

 オリックスは、太陽光発電やバイオマス発電などの再生可能エネルギーを活用した発電事業を積極的に推進している。地熱発電については、再生事業としてグループで運営している温泉旅館「杉乃井ホテル」(大分県別府市)において自家用では国内最大規模となる最大出力1900kW(1.9MW)の地熱発電所を保有・運営している。今後も地熱発電事業については、温泉旅館の運営ノウハウを生かし、地域社会と共生した発電事業を目指すとしている。(編集担当:慶尾六郎)

■関連記事
ドイツで再生可能エネルギー法がリニューアル 新エネルギーは独り立ちできるか
伊藤忠など、大分市にメガソーラーを建設
再生エネ買い取り制2年 増える企業・家計の負担
太陽光と電気自動車と一般電力を「混ぜて」利用 三菱電機が家庭用電力変換装置を発表
シャープ、伊エネルとの合弁解消。保有株売却

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事