【アナリスト水田雅展の銘柄分析】日本アジアグループは底打ち感、中期成長力を評価して出直り

2014年5月28日 09:29

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  社会インフラ関連やメガソーラー関連の日本アジアグループ <3751> (東マ)の株価は軟調展開が続いたが、5月19日に付けた安値から急反発して底打ち感を強めている。中期成長力や多彩なテーマ性を評価して出直り展開だろう。

  インフラ・環境・エネルギー関連にグループ経営資源を集中し、空間情報コンサルティング事業(国際航業の防災・減災・社会インフラ関連事業)、グリーンプロパティ事業(土壌・地下水保全コンサルティング、戸建住宅・不動産関連、太陽光発電施設設計施工など)、グリーンエネルギー事業(欧州と国内での太陽光発電所開発・運営・売電事業)、ファイナンシャルサービス事業(日本アジア証券などの証券業)を展開している。

  震災復興・防災・減災・社会インフラ更新関連、メガソーラー関連、環境・エネルギー関連などテーマ性は多彩である。傘下の国際航業は上下水道分野で13年6月にメタウォーター、13年11月に水道機工 <6403> と業務提携し、14年2月にはAMEC Asiaと業務提携して除染業務における放射線計測技術を強化した。

  国内メガソーラー開発・運営の動きも加速している。5月12日には和歌山県橋本市「和歌山・橋本ソーラーウェイ」完成を発表した。和歌山県が公募した「ダイオキシン類汚染無害化処理対策地における太陽光発電所設置事業者」に国際航業が選定されたメガソーラーだ。5月14日には北海道中札内村「中札内Ⅱソーラーウェイ」の建設開始を発表した。当グループとして北海道内で6カ所目のメガソーラーとなる。

  5月13日に発表した前期(14年3月期)の連結業績(5月9日に売上高と営業利益を3回目の増額、経常利益を2回目の増額、純利益を増額)は、売上高が前々期比15.5%増の743億46百万円、営業利益が同3.0倍の44億78百万円、経常利益が同5.6倍の37億77百万円、そして純利益が同2.4倍の25億07百万円だった。空間情報コンサルティング事業の受注拡大と生産性向上、国内外の株式市場の活況を背景とするファイナンシャルサービス事業の収益拡大が牽引した。営業外収益での為替差益6億32百万円計上も寄与した。

  セグメント別に見ると空間情報コンサルティング事業は売上高が同5.4%増の403億48百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同66.6%増の11億71百万円だった。公共投資増加など良好な事業環境で公共インフラ安全対策関連の受注が増加し、高水準の稼働率や生産性向上効果が寄与した。グリーンプロパティ事業は売上高が同20.9%増の212億69百万円、営業利益が同8.6%減の8億47百万円だった。太陽光発電設備関連が好調だったが、資材費や人件費の高騰で減益だった。

  グリーンエネルギー事業は売上高が同89.5%増の13億26百万円、営業利益が2億08百万円の赤字(前々期は3億43百万円の赤字)だった。国内メガソーラーの稼働・竣工が進展して赤字幅が縮小した。ファイナンシャルサービス事業は売上高が同45.7%増の113億71百万円、営業利益が同4.0倍の31億07百万円だった。国内外の株式市場の活況が追い風で、外国株式関連が一段と拡大した。

  今期(15年3月期)連結業績見通しは売上高が前期比0.9%増の750億円、営業利益が同6.2%減の42億円、経常利益が同33.8%減の25億円、純利益が同0.3%減の25億円としている。ファイナンシャルサービス事業での市場鎮静化を想定して売上高は前期比横ばい、営業利益は微減益、経常利益は営業外収益での為替差益を見込まず大幅減益見通しとしている。純利益は連結納税制度に伴って税負担が軽減するため、前期並みを確保する見通しだ。また大型投資に向けた資金調達を行うため資産売却予定としている。

  空間情報コンサルティング事業は、公共投資の増加を追い風として受注残高が高水準であり、中期的にも事業環境は良好だ。グリーンエネルギー事業は、国内メガソーラーの稼働・竣工が進展して、今期営業黒字化の可能性が高まっている。通期上振れ余地がありそうだ。

  なお中期経営計画では、重点戦略を主要会社の収益体質強化、エネルギー関連事業の領域拡大などとして、目標数値に17年3月期売上高866億円、営業利益73億円、経常利益48億円、純利益36億円を掲げている。また16年3月期に初配当を目指すとしている。

  株価の動きを見ると、新興市場全体の地合い悪化も影響して軟調展開が続いた。5月9日には前期業績増額修正を好感して500円近辺から600円近辺まで急伸する場面があったが、買いが続かず5月19日には3月安値462円を割り込んで435円まで下押す場面があった。しかし足元では490円近辺まで戻す場面があり、売り一巡して5月19日安値で底打ちした可能性がありそうだ。

  5月27日の終値484円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS95円58銭で算出)は5倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS823円96銭で算出)は0.6倍近辺である。週足チャートで見ると13移動平均線が戻りを押さえる形だが、500円割れ水準では下げ渋り感を強めている。底打ちを確認して出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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