地域デザインオフィス採択経緯の徹底究明を

2014年3月15日 10:20

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記事提供元:エコノミックニュース

国民の復興増税を財源に生まれた津波・原子力災害地域雇用創出企業立地補助金の基金(基金総額は1730億円)の基金設置法人の採択に経緯に大きな疑義が14日の参議院予算委員会で提起された

国民の復興増税を財源に生まれた津波・原子力災害地域雇用創出企業立地補助金の基金(基金総額は1730億円)の基金設置法人の採択に経緯に大きな疑義が14日の参議院予算委員会で提起された[写真拡大]

 国民の復興増税を財源に生まれた津波・原子力災害地域雇用創出企業立地補助金の基金(基金総額は1730億円)の基金設置法人の採択に経緯に大きな疑義が14日の参議院予算委員会で提起された。

 民主党の蓮舫議員の追及で不可思議な事実が浮き彫りになったもので、徹底究明を求める声が広がっている。基金設置法人の名は「一般社団法人地域デザインオフィス」。公募に対する応札時には「実際の事務所スペースもなく、ポストのみ。しかも、採択後に事務所を借りた」という。

 加藤洋一地域経済産業審議官は「新たに事務所を借りるとのことだったので、それを含めての評価だった」と驚きの答弁。茂木敏充経済産業大臣に至っては、公募から採択までの検証により透明性を求める蓮舫議員に対し「事業はすでにスタートしている。いたずらに時計の針をもどすかのような対応ではなく、指導監督を徹底しながら、事業をさらに進める」と検証する気は全く見せず。「被災地の皆さんは待っている。無責任にそういう話をしないでください。事業は今年から始まる。選定は適正にやられた」などと開き直りともとれる答弁を国会の場で行った。事業はスタートしていても、この不透明さは見過ごせないのは当然で、基金利息の運用の透明性も含め、徹底究明していくことが望まれている。

 この日、蓮舫議員は公募条件について質した。これに加藤審議官は復興庁と執行する経済産業省で公募した。「公募要領に基づき平成25年4月に基金設置法人の公募を行った。3社から応札があり、外部の審査委員会で厳正な審査により25年5月、一般社団法人地域デザインオフィスが採択された」と説明。

 採択に必要な条件として加藤審議官は議員の質問に答え(1)基金管理が適正に行えるか(2)実務を行う事務局の指導・監督を適正に行えるか(3)これらの事務を適正に行うために事務・管理体制を整えられるか(4)法人の信頼性・公益性の観点で採択すると答えた。

 蓮舫議員は一般社団法人地域デザインオフィスは「4つのすべての条件を満たしているか」と質した。

 加藤審議官は「審査委員会で最も高い評価が得られたので採択した」と責任を審査委員会に全面転嫁する回答。

 そこで、蓮舫議員は地域デザインオフィスの所在地について、写真を示して指摘。「オフィスはシェアオフィスのビルだった。実際の事務所スペースはなかった。ポストだけだった」と驚くべき内容を語った。

 茂木経済産業大臣が席を立ち「その写真は間違っている。千代田区に占有スペースの事務所があり、事業を行っている」と反論。ところが、公募時の4月10日の事務所はシェアオフィスのビルであったことが暴かれ、茂木大臣の指摘するレンタルオフィスは5月20日に借りられていた。

 茂木大臣は「5月16日に採択の内示をした。その際に適切な事務所を構えるということだった」とまるで採択するから、それで事務所を構えろとでもいうような馬鹿げた公募と応札の図式だ。不可思議な採択と思わない人がいるのだろうか。

 蓮舫議員は「公募で審査する段階で適切な事務所があることと公募要領に書かれているのに、あなたに落とすからちゃんと借りてくださいというようなことを言えば、どんな法人にでも1730億円の膨大な国民の税金を預けるところとして適切なのか」と当然の疑問を投げた。

 茂木大臣は「外部審査委員会が最も高い評価だった。コストも最も安い、地域の立地などに知見のある人物が事業に携わっているとの評価だった」と最後は加藤審議官同様に審査委員会に転嫁した。

 ならば、外部の審査委員会を参考人聴取し、国会の場で、最高の評価をした根拠を明らかに示して頂きたいものだ。

 蓮舫議員は「ほかの2社は事務所がなかったのか」と質すと加藤審議官はあろうことか「新たに事務所を借りるとのことだったので、それを含めての評価だった」と答えた。

 地域デザインオフィスにはホームページがない。透明性に疑問が最初からあるのに、加藤審議官は「資金は入札で選定した信託銀行に信託するとし、信託された資金の引き出しには経済産業大臣の了解がなければ引き出せないので、保全措置が図られているので安全確実な運用ができると考えている」と弁解とも取れる回答。

 茂木大臣は「いたずらに時計の針をもどすかのような対応ではなく、指導監督を徹底しながら、事業をさらに進め、被災地における企業立地を通じた新たな産業、雇用創出することが被災地の復興につながる」と主張。

 蓮舫議員が「不透明・不明朗な公募のやり方で、住所実態のないところに委託したのか。その流れを調査し、問題ないとの結果を出してもらえば納得する」と詰め寄ると茂木大臣は「被災地の皆さんは待っている。無責任にそういう話をしないでください。事業は今年から始まる。選定は適正にやられた」と最後は事業がスタートしているから、地域デザインオフィスの指導・監督を徹底するからとして、検証に触れず。やはり、検証はやって頂かなければ国民は納得できないだろう。

 疑わしい部分はすべてクリアに。自民党政権の復活で官製談合まで復活することは絶対許されないし、そうした素地はあってはならない。安倍政権の下で、疑義はないということを明確に示すことを求めたい。(編集担当:森高龍二)

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