経営の想いとは~経営戦略の成功に必要なもの~

2013年1月17日 13:58

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■戦略の成功には、経営者の「想い」が必要 
 クライアント先で経営トップと一緒に経営戦略を議論、立案する場面がたびたびあるが戦略は経営者の「想い」がないと立案できないと常々考えている。経営者の「想い」とはどんな事業をしたいか、顧客に何を提供したいか、世の中の為に何をしたいのか、自社の強みは何か、従業員をどう育てたいのか等、が必要である。

 この「想い」がない金儲け主義だけの経営では長続きしない。特に収益を気にしすぎるあまり、本業ではない色々な事業に手を出して失敗するケースを多々見てきている。経営とは外部環境の変化に柔軟に適応しながら、自社の強みを活かし、顧客が期待する価値を提供し、結果として対価を得、収益を上げることである。この基本原理に沿ってどんな事業をするのか、強い「想い」を持つ事が重要である。

■経営者が持つべき「想い」とは
 長年、経営コンサルタントとして色々な企業のトップとお付き合いをしていると、下記のような経営者の想い、思想、行動の違いを感じる。

1.関心事が売上、利益の結果のみで、事業の関心度が低く部下にまかせっきり
2.顧客満足が最重要課題で顧客との面談に時間を使い、会社にほとんどいない
3.社内の事ばかりが気になり、顧客とはほとんど面談せず、社内の仕組みづくり、組織改善等に没頭する
4.従業員満足がもっとも大切で顧客満足は二の次
5.新しい仕掛けが最重要課題で攻めの姿勢が強すぎ、守りの経営が弱い
6.経営成果の売上、利益を達成する為に外部環境変化に適応しつつ、常に顧客満足、従業員満足を図りながら事業をバランスよく推進し、世の中の為に事業を展開する事に強い想いをもつ

 この中で私が考える理想の想い、思想は当然ながら6番目の経営者の想いである。このような想いを強くもった先人の商人、経営者は多くいる。

■何のために経営をしているのだろうか
 滋賀県の近江商人の言葉に「3方よし」という言葉がある。近江商人の行商は、他国で商売をし、やがて開店することが本務であり、旅先の人々の信頼を得ることが何より大切であった。そのための心得として説かれたのが、売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」である。取引は、当事者だけでなく、世間の為にもなるものでなければならないことを強調した。

 松下幸之助が水道哲学という考え方を唱えた。「産業人の使命は貧乏の克服である。その為には、物資の生産に次ぐ生産を以って、富を増大しなければならない。水道の水は価ある物であるが、通行人が之を飲んでも咎められない。それは量が多く、価格が余りにも安いからである。産業人の使命も、水道の水の如く、物資を無尽蔵たらしめ、無代に等しい価格で提供する事にある。それによって、人生に幸福を齎し、この世に楽土を建設する事が出来るのである。松下電器の真使命も亦その点に在る」

 物資を潤沢に供給することにより、物価を低廉にし、消費者の手に容易に行き渡るようにしようという思想である。

 経営者は業績結果を出すことは大切であるが、近江商人、松下幸之助のように世の中の為に事業を進めるという前提で「想い、思想」を持ち経営を推進すべきと考える。経営者兼経営コンサルタントという立場であるが、私もこのような「想い」を強く持ち、日々精進したいと考える。

著者プロフィール

中山 幹男

中山 幹男(なかやま・みきお) 株式会社A&Mコンサルト 代表取締役

大阪大学工学部機械学科卒業後、大手自動車メーカにおいて商品企画、設計・開発、品質管理、環境対策業務等に従事。その後大手コンサルティングファームの経営コンサルタントとして7年間勤務。
韓国の大手家電メーカを手始めに製造業を中心としたコンサルティングを実施する。1997年に「現場主義を貫き、行動的に活動して成果を出す経営コンサルティング」を目指し、A&Mコンサルトを設立し現在に至る。激変の環境変化の中で、企業の永続的な存続を前提に戦略構築、仕組改革、組織風土改革のトライアングル視点で企業の体質強化を図る。
会社URL  http://www.a-and-m.biz

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