三菱重工、世界初の洋上LNG生産・貯蔵・積出施設向けコンプレッサと発電設備を受注

2012年1月12日 11:53

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LNGプラント向けコンプレッサ・蒸気タービン(画像:三菱重工業)

LNGプラント向けコンプレッサ・蒸気タービン(画像:三菱重工業)[写真拡大]

 三菱重工業は11日、同社が100%出資する三菱重工コンプレッサ(略称MCO)が、オランダのシェル社(Royal Dutch Shell plc)がオーストラリア北西沖での運用を目指す世界初の洋上浮体式液化天然ガス生産・貯蔵・積出施設(以下FLNG:Floating Liquefied Natural Gas facility)向けに、コンプレッサおよび発電システムを受注したと発表した。

 今回MCOが受注したコンプレッサは3種類で、ガス井戸からのガス回収、ガス処理プロセスにおけるガスの搬送・圧縮、および安定化に使われる。発電システムは出力4万kWの蒸気タービン発電設備3セットで構成する。いずれもフランスのエンジニアリング大手テクニップ社(Technip)が発注元で、取扱商社である三菱商事の協力を得て受注した。テクニップ社は、韓国の三星重工業(SHI)とコンソーシアムを組み、FLNG施設のEPCI(設計・調達・建設・据付)を実施する。

 シェル社のFLNGは、同社が進める海底天然ガス田開発事業「プレリュード(Prelude)プロジェクト」の中核施設で、長さ488m、幅74mと洋上浮体施設としては世界最大。オーストラリア西部の海岸から約200km離れた洋上に係留される。

 LNGの生産はこれまで、陸上ないし比較的沿岸部のガス田を対象に、陸上の液化基地により行われてきた。これに対し今回のプロジェクトは、これまで開発が進んでいない沖合ガス田の利用に道を開く革新的な技術として期待されている。

 世界に先駆けての稼働を目指す今回のFLNGでは、駆動源として蒸気タービンが採用されており、従来のLNG生産施設で一般的に使われるガスタービンと比べ、長期連続運転が可能でプラント生産性向上に寄与するとともに、保守の手間が減少し生産量の変動にも柔軟対応できることになる。MCOは機械駆動用の蒸気タービンでは世界トップのメーカーであり、コンプレッサとあわせ豊富な実績が受注の決め手となった。

 MCOは、昨年5月にシェル社とLNGプラントの心臓部を担う主要コンプレッサに関して包括購買契約(EFA:Enterprise Frame Agreement)を結んでおり、今後もシェル社の戦略サプライヤーとして長期的かつ安定的な取引関係を築いていく。また、今回の受注を契機に工場の生産設備を増強することとし、昨年10月より機器の手配を開始している。

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