ティア:冨安 徳久社長に『葬儀ビジネスへの熱い思い』を聞く

2011年12月7日 14:31

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

「感動」による葬儀で、心から「ありがとう」といわれ、高成長を続けるティア<2485>(名2)。ブランド力のアップに伴い中部、関西地区から「関東」への展開を計画している。

「感動」による葬儀で、心から「ありがとう」といわれ、高成長を続けるティア<2485>(名2)。ブランド力のアップに伴い中部、関西地区から「関東」への展開を計画している。[写真拡大]

  「感動」による葬儀で、心から「ありがとう」といわれ、高成長を続けるティア <2485> (名2)。ブランド力のアップに伴い中部、関西地区から「関東」への展開を計画している。「一雫の涙を和らげる」思いを社名に込めたティア。創業者である冨安徳久社長に「葬儀ビジネスへの熱い思い」を聞いた。

★遺族の流す「一雫の涙」(TEAR)を和らげる

――本社のある名古屋をはじめ中部地区では高い知名度とお聞きします。全国の投資家の皆さんに、まず、社名についてお願いします。「ティア」には、どのような思いが込められていますか。

  【冨安社長】 ティアという社名は、英語の涙を意味します。正しくは「TEAR’S」なのですが、「S」をつけた複数形にしないのは、あくまで「一雫(ひとしづく)の涙」という意味を込めているからです。愛する家族の突然の死に直面されたご遺族の精神的なショックは計り知れないほど深く悲しいものです。残されたご遺族の悲しみ全てを癒すことは出来ませんが、「一雫の涙だけでも和らげてあげたい」という想いを込めています。私が葬儀業に携わった30年前は、ご遺族の心痛を無視するどころか、足許に付け込んで商売する風潮がありました。私は、旧態依然の業界を変革することを社会的使命として「ティア」を創業しました。日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社になること、そして、全国初のデファクト・スタンダード(業界基準)としてのセレモニーブランド『ティア(TEAR)』の確立を目指しています。さらに、当社は、社名への想いと同じように「コーポレート・カラー」にもこだわっています。

★「ティア・ブランド」と「紫のコーポレート・カラー」で関東進出へ

――どのような「色」ですか。

  【冨安社長】 名刺をご覧いただく通り「紫」色です。会社案内資料など、目につくものは、ほとんど紫の色で統一しています。中部、関西地区の葬儀会館を展開する上で、「紫」色の葬儀社=ティアというイメージを確立する大切な戦略的な意味を持っています。

――なぜ、「紫」色ですか。

  【冨安社長】 若い頃、葬儀社でアルバイトをしていたころ、仏教会で地位が二番目に高い僧侶の袈裟が紫色だったことが印象に強く残っています。将来、葬儀社を創業したら「紫」色を前面に出した会社にしようと決めていました。

――早くから、このお仕事を目指していらしたのですか。少し、ご経歴をお願いします。

  【冨安社長】 私は、1960年(昭和35年)に現在の愛知県豊川市で果樹園農家の長男として生まれました。大学の入学式直前に葬儀のアルバイトに感動して、18歳で葬儀業界に入りました。小さい頃から、祖母にどのような職業でもよいから世の中で役立つ人になりなさいと言われ続けていたことも影響しています。葬儀で悲しみに沈んでいる遺族の方の気持ちを少しでも和らげてあげられる仕事はこれだ、私の仕事は葬儀をやることだと、そのときに心に決めていました。最初は山口県の葬儀社に勤務、父親の病気のため愛知県に戻り東海地方の大手葬儀社に勤めました。天職と決めていましたから夢中で働き、店長もまかされました。しかし、生活保護者の葬儀を切り捨てる会社の方針に納得できず、独立を目指し、1997年(平成9年)にティアを設立しました。37歳でした。2006年にセントレックスに上場、中部圏初の葬祭上場企業となり、2008年に名古屋証券取引所2部へ市場を変更しています。

――「日本で一番、ありがとうと言われる葬儀社」を目指すという、お話です。少し、具体的にお願いします。

  【冨安社長】 ティアの葬儀は、ご遺族の方に心から「ありがとう」と言っていただける、「感動」を基本としています。葬儀において、「感動」とはどんなことだろうと思われるでしょう。通常の葬儀ではマニュアルに従って進められます。当社の場合は、故人がどのような日々の生活を過ごしておられたか、どのような人柄だったか、どのような生活習慣を持たれていたかを知ることに努めています。たとえば、ある故人の方の場合、毎日、馴染みの喫茶店でモーニングに行かれる習慣のあることをご家族の会話から知り、葬儀の日に喫茶店にお願いし、モーニングセットを用意してもらい、お供えさせて頂きました。ご遺族の方には「そこまで気をつかってくれるのか」と喜ばれ、感動していただきました。感動の気持ちがこもった「ありがとう」といわれることが当社の基本です。決して自分たちの都合ではなく、ご遺族の気持ちを汲むことのできる社員が多くいることが当社の最大の強みです。「感動」は強く心に残り、リピータに結びつきます。

――現在、葬祭会館はいくつお持ちですか。

  【冨安社長】 今年9月末で名古屋市を中心に愛知県で28店舗のほか、大阪府門真市に1店舗を直営店として運営しているほか、大阪府に8会館、和歌山県に1会館、三重県に2会館、岐阜県に6会館、愛知県に5会館をフランチャイズ展開しています。店舗はドミナント展開が基本です。

――それは、なぜですか。

  【冨安社長】 日本の社会で少子高齢化が進んでいるためです。故人様は高齢で亡くなる場合がほとんどですから、葬儀に参列される方も高齢の方が多くなる傾向にあります。当然、できるだけ生活圏に葬儀会館があることが利便性の面で重要です。このため、豪華な葬儀会館より、それほど規模は大きくなくても人口密度の高い地域にドミナント方式で展開しています。投資額を抑えて早く回収することに経営の主眼を置いています。

――料金体系にも特徴を打ち出されているようですね。

  【冨安社長】 そうです。普通一般に商売というものは値段・価格は消費者が判断して決めるものです。しかし、ティアを創業したころの葬儀は、遺族の悲しみのなかで業者の一方的に近い形で価格が決まっていました。当社は設立当初から葬儀価格を明示しており、生前見積りも推奨しています。また、当社は入会金1万円のみで、月々の掛け金や年会費は不要の独自の会員制度「ティアの会」を設けています。会員の方には葬儀に関する様々な特典が受けられる制度で、会員数は今年9月期末で17万人を超えています。

――「日本一ありがとうといわれる葬儀社を目指す」という、お話です。当然、中部、関西以外にも展開をお考えですか。

  【冨安社長】 考えています。関東に進出したいと思っています。社員の力も充実してきましたし、ブランド力もついてきました。関東進出の機は熟したと思っています。近い将来、出店する計画です。ただ、関東進出に際しては、葬儀会館「ティア」を出店しますが、早期にブランドを確立するためには、徹底したプロモーション(宣伝)活動が必要であると思っています。現在、「ティア」というセレモニーブランドをどのように打ち出していくか詰めの検討を行っています。

――葬儀件数はどのくらいですか。

  【冨安社長】 今年9月期で6021件(2010年9月期は5867件)です。日本一「ありがとう」といわれる葬儀社の企業理念が評価され、年々、件数は増えています。たとえば、4年前の2007年9月期の3680件に比べ約7割の増加です。

――今期(2012年9月期)の見通しをお願いします。

  【冨安社長】 売上は10.1%増の86億2000万円、営業利益6.0%増の7億7900万円、純益13.0%増の4億円、1株利益175.5円の見通しです。配当は年30円を予定しています。これからも、死亡者数は30年間に亘り増加すると予想されています。当社は葬祭ビジネスに特化した経営に取組んでいきます。

――ありがとうございました。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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