トヨタ、新型スモールHV車を東北で生産 継続的な被災地支援活動を発表

2011年7月19日 18:08

印刷

 トヨタ自動車は19日、継続的な被災地支援活動「ココロハコブプロジェクト」のもと、東北におけるトヨタの取り組みを発表した。その中で同社は、「今後、東北を、コンパクト車に専門性を持つ『第3拠点』として、車両の開発から生産まで一貫して行う自立的な生産拠点にしていく」とし、同地域でエンジンなどユニットや部品の生産・調達を行うほか、コンパクト車強化の具体的な取り組みとして、トヨタの環境車のなかでも主力の一つとなる新型車「スモールハイブリッド車」を東北で生産する。

 また、東北の地での「モノづくり」を強化していくため、「モノづくりは人づくり」との理念に基づき、新会社に企業内訓練校を設立する。東北地域の工業高校の新卒者から生徒を募集するほか、近隣の関係会社からも人材を受け入れ、1年間の教育を行う。生徒の第一期生募集を2012年7月に開始し、合計10~30人程度で2013年4月から教育を開始する予定。なお、新会社の訓練校設立に先立ち、今年7月から、豊田市の「トヨタ工業学園 専門部」で、卒業後の新会社への転籍を前提とする2012年度生を、東北地域の工業高校の新卒者から募集している。

 さらに、生産拠点の災害対応力強化・地域の電力安定化を図るため、自家発電を拡充し、東北拠点の電力自給能力を高める。具体的には、まず2011年内に「セントラル自動車 宮城工場」に、消費電力の約9割をカバーする8000キロワット分程度の自家発電設備を導入する。また今後、自然エネルギー活用や、工業団地内でのエネルギーマネジメントなどについても検討を進めていく方針。

 そのほか、震災時の経験を活かした「災害時に役立つクルマ」として、ハイブリッド車(HV)への外部電源供給システムの導入を促進する。今回の震災の後、エスティマHVの外部電源供給システムに関して、「長時間の停電時に役立った」との声があったため、今後、他のHVモデルへも導入していくことを決定した。まずは1年後を目処に、プリウスに外部電源供給システムをオプション設定する。その後、その他のHVへも順次導入していく方針。

 「トヨタの外部電源供給システムは、1500ワットの最大出力で電力を供給できるため、テレビやパソコン、炊飯器やドライヤーなど家庭にあるほぼ全ての電化製品を動かすことが可能であり、合計1500ワット以内であれば複数の電化製品の同時使用もできる。また、バッテリー容量が減ると自動的にエンジンが始動して発電するため、ガソリン満タンの状態から2日間程度は最大出力での継続使用が可能である」と同社は説明している。

 また、今回、「緊急時の給電対応などで役立ててもらうため」との理由で、東北各県に外部電源供給システムを無償で提供することも決定した。今年8月から各県と協議のうえ、各県保有の公用車(現行型プリウス)合計40台程度に、改造対応で外部電源供給システムの取付けを行っていく予定。

  同社は、「今後とも継続的かつ長期的に東北の復興支援に取り組んでいく」とコメントしている。

関連記事