経営の基礎と応用について

2011年7月6日 14:32

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■スポーツでは基礎練習が重要
 先日、クライアント先の執行役員の方と経営の考え方をお話している時に基礎と応用という話になった。サッカー、ゴルフ等どんなスポーツでも試合に出るまでに徹底的に基礎練習をして腕を磨く。中途半端な基礎練習では実際試合にでても勝てない。

 私ごとであるが学生時代スキーにこっていた。スキーツアーを企画し、スキー場でコーチもしていた。初心者からいきなりパラレル、ウェーデルンができるわけではなく、プルークボーゲンを徹底的に教える。雪面でのスキーの操作を体でおぼえるわけである。急斜面を自由に滑れる上級者になっても、調子が悪くなればプルークボーゲンで調整する。

 全てのスポーツは基礎がきちっとできて初めて上達できるわけである。一見基礎練習は面白くなく、すぐ本番に臨みたくなるが、基礎が身についていないとうまくならない。ゴルフをする方は多いと思うがまさに練習なしでコースに出ると良いスコアが出ない典型的な例だと思う。

■経営の基礎とは・・・
 経営もこれと同じで、基礎ができていない企業は何をやってもうまくいかず収益がでない。経営の基礎といえば典型的なものはPDCAサイクル、5S等がある。

 計画を立案し実行し、計画との差異を確認し、そのGAPに対策を実施する。当たり前の事であるがなかなかこれができていない企業が多い。計画を立案し、実行するまではいいがチェックができず、やりっぱなしで、結果として計画が達成できない場面を多々見る。

■基礎(PDCAサイクル・5S)は、必要であるか?
 多くの企業で経営幹部が集まって経営計画の進捗管理をしているが、売上数値、利益数値等の計画との数値の差異確認だけで、なぜこのGAPが発生しているのか、その為にどんな手を打つのか議論できていない場合が多いと感じる。本質的なPDCAが回っていないのである。

 5Sについてもしかりである。整理、整頓、清掃、清潔、躾の頭文字をとった活動である。整理は「必要なものと、不必要なものを区分し、不必要なものを捨てる」事、整頓は必要なときに必要なものが必要な量だけ取れるように、正しいおき方やレイアウトを決める」事、清掃は「ごみ、汚れ、異物などをなくし、きれいにする」事、清潔は「整理、整頓、清掃を徹底し繰り返して、衛生面・公害面も含めてきれいに保つ」事、躾は「きめられたことが守れるように習慣をかえる」事である。これができていない事務所、工場は不思議と不良が多く、経営状態も悪い企業が多い。

 事実、7年前に中国の家具関係の工場を指導したが、最初に訪問した時は5Sが全くでき ていなく、非常に汚い企業で不良、クレームが多発していた。ところが半年かけて5S活動を徹底的に実施したら不思議に不良がへり、品質レベルがあがり工場の収益性も良くなった。まさに5Sによって基礎体力が上がったのだと思う。ちなみに中国では5Sの内「躾」の言葉がなく、教育におきかえ4S1K活動をした記憶がある。

 まだ、このほかに経営活動で必要な基礎的に実施すべき内容は多々あるとおもう。経営コンサルタント業をしている中で、見せ掛けの経営手法を指導するのでなく、常に基礎ツールを大切にして今後も活動していきたいと思う。

著者プロフィール

中山 幹男

中山 幹男(なかやま・みきお) 株式会社A&Mコンサルト 代表取締役

大阪大学工学部機械学科卒業後、大手自動車メーカにおいて商品企画、設計・開発、品質管理、環境対策業務等に従事。その後大手コンサルティングファームの経営コンサルタントとして7年間勤務。
韓国の大手家電メーカを手始めに製造業を中心としたコンサルティングを実施する。1997年に「現場主義を貫き、行動的に活動して成果を出す経営コンサルティング」を目指し、A&Mコンサルトを設立し現在に至る。激変の環境変化の中で、企業の永続的な存続を前提に戦略構築、仕組改革、組織風土改革のトライアングル視点で企業の体質強化を図る。
会社URL  http://www.a-and-m.biz

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