ここがポイント-会社を伸ばす中小企業の採用戦略:第6回 会社を理解してもらうために(2)(2/2)

2011年6月23日 12:27

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■情報提供のいろいろなスタイル
 情報提供の方法は、その会社によって千差万別です。
 会社説明会を例にとり、以下のように分類してみました。(私の勝手な観点なので、単なる一例として見て下さい。)

誰が: 経営者主体型、人事部主体型、現場社員主体型 など
何を: 理念アピール主体型、事業アピール主体型、社風アピール主体型 など
どのように: 講義・プレゼン型、体験・ワーク型、対話型、映像・ビジュアル活用型、
パネルディスカッション型 など

 これをご覧になって、「うちはこのタイプだ」とか、「これはやっているけど、こっちはやっていない」など、感想はいろいろあると思います。

 私がお勧めしたいのは、この中のどれかではなく、できれば全部やっていただきたいという事です。いろいろな人が、いろいろな内容で、いろいろな方法を使って、それぞれ異なる切り口で伝える取り組みをして欲しいのです。人によって理解しやすい表現も共感しやすいツボも違います。だから「どのやり方が良い」ではなく「いろんなやり方が良い」のです。

 ・・・とは言っても人手が限られた中小企業、説明会に会社の主要人材が一堂に会するのは難しいでしょうし、どんなやり方でも相応の手間と準備が必要ですから、そう簡単にはできません。 

 理解していただきたいのは、話の中身や伝えたい内容は同じでも、誰が話すのか、見せ方や体験のさせ方をどうするのかで、受け止めが大きく異なるということです。ですから、いろいろな角度で見せるということを、意識的に行う事が重要になります。その上で、実際に全部やるには何かと困難が伴いますから、それぞれできる範囲で、次善の策を考え、異なる場を使いながら取り組むということになります。

 例えば、
・経営者の話を聞かせたいが、その場には出席できないので、簡単なビデオ、またはメッセージテープを作成する。
・選考過程が進んだ段階で、面接以外の経営者懇談の機会を設ける。
・現場の様子を伝えるために、面接に若手社員も参加させ、その場で現場の仕事のことを語らせる。
・口頭では伝えきれない仕事内容を、現場体験ワークなどで疑似的に体験してもらう。
・社員の日常を知ってもらうため、ある社員の一日をスライドなどのビジュアルを使って見せる。

 これ以外にもたくさんありますが、要は「誰が」「何を」「どのように」の組み合わせパターンを網羅して、いろいろな方法を考えていくという事になります。

 皆さんの会社でも、自社の良さが伝わる、自社なりのやり方を工夫してみてはいかがでしょうか。

 次回は、選考プロセスについて、考え方やポイントなどをお伝えしようと思います。

著者プロフィール

小笠原 隆夫

小笠原 隆夫(おがさわら・たかお) ユニティ・サポート代表

ユニティ・サポート 代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社 取締役

IT企業にて開発SE・リーダー職を務めた後、同社内で新卒及び中途の採用活動、数次にわたる人事制度構築と運用、各種社内研修の企画と実施、その他人事関連業務全般、人事マネージャー職に従事する。2度のM&Aを経験し、人事部門責任者として人事関連制度や組織関連の統合実務と折衝を担当。2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表。

以降、人事コンサルタントとして、中堅・中小企業(数十名~1000名規模程度まで)を中心に、豊富な人事実務経験、管理者経験を元に、組織特性を見据えた人事制度策定、採用活動支援、人材開発施策、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務の支援など、人事や組織の課題解決・改善に向けたコンサルティングを様々な企業に対して実施中。パートナー、サポーターとして、クライアントと協働することを信条とする。

会社URL http://www.unity-support.com/index.html

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