【株式市場フューチャー】来週はボックスレンジを上放れるかが焦点

2010年11月13日 16:13

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■相場展望:中国市場も波乱要因

  前週(11月8日~12日)の日本の株式市場では、米FOMC(連邦公開市場委員会)通過後の流れを引き継いで、概ね堅調な展開だった。米国株式市場では利益確定売りが優勢だったようだが、外国為替市場で円高一服感を強めたため、出遅れ感の強い日本の株式市場では買い安心感が広がったようだ。ただし週後半には、欧州で財政不安問題が再燃し、中国の株式市場が金融引き締め観測で急落したため、警戒感も強まっている。

  来週(11月15日~19日)の日本の株式市場では引き続き、米国株式市場、そして外国為替市場の動向を睨みながらの展開となりそうだ。また、前週末に急落した中国株式市場の動向も、波乱要因となる可能性があるだろう。

  米国の株式市場では前週後半に、利益確定売り、欧州の財政不安再燃、中国の金融引き締め観測などで、調整色を強めてきた。一方、外国為替市場では、米長期金利の上昇を背景として日米の金利差拡大観測が強まり、ドル・円相場は概ね1ドル=81円台後半~82円台半ばで推移している。週初の日本の株式市場では、どちらを材料視してスタートするかが注目点だろう。

  また前週末には、中国の株式市場が金融引き締め観測で急落し、その流れを受けて、商品先物市場で金、銅、原油などの相場が急落し、米国の株式市場も下落した。中国が世界経済の牽引役だけに、金融引き締めが世界経済を減速させかねないとの警戒感が強まった形だろう。来週も、中国の株式市場の動向が波乱要因となる可能性があり、注意が必要だろう。

  ただし日本の株式市場は、11月4日以降の大幅な上昇で、短期的な過熱感が警戒されるものの、投資マインドが改善してリスク許容度は増しているだろう。外国為替市場で米長期金利の上昇を背景として、ドルを買い戻す動きが強まれば、ドル・円相場はドル高・円安方向に振れる可能性が考えられる。このため日本の株式市場は、大幅上昇後の短期調整はあっても、大きく崩れる可能性は小さいと考えられる。流動性相場への期待などを背景として、出遅れ修正で戻りを試す展開も期待されるだろう。

■トレンド好転に期待

  来週のスケジュールとしては、国内では15日発表予定の10年7~9月期GDP(国内総生産)1次速報値、海外では15日発表予定の米小売売上高などが注目されるだろう。

  3月期決算企業の上期(10年4~9月期)決算発表はほぼ一巡した。来週以降は、下期(10年10月~11年3月期)の景気や企業業績の見極めが焦点となる。為替の円高影響や政策効果の剥落により、10年10~12月期が減速することは織り込み済みで、過度な警戒感は後退していると考えられる。当面は、11年1~3月期に再浮上するかどうかの見通しがポイントになりそうだ。

  日経平均株価を週足チャートで見ると前週末12日の終値は9724円81銭となり、終値ベースでの8月の高値9694円01銭、9月の高値9626円09銭、10月の高値9691円43銭を上回った。7月の高値9795円24銭も明確に突破すれば、7月以降の9000円~9800円のレンジ相場から上放れて、トレンドが好転する可能性も期待されるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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