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BTS、グラミー賞へのエントリーを辞退 新設アジアン・ポップ部門の言語規定に異議
BTSは、第69回グラミー賞に作品をエントリーしないと発表した。新設された「最優秀アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス賞」の言語規定により、最新アルバムの主要な英語ヒット曲が対象外となることが背景にある。エントリー期間が8月28日までとなるなか、この決断はグラミー賞のカテゴリー分けのあり方に一石を投じるものとなっている。
■BTS、新設部門の言語規定を受けグラミー賞へのエントリーを辞退
BTSのメンバー7人全員は水曜日(2026年7月29日)、Instagramに韓国語で同一の声明を投稿し、記録的なカムバックアルバム『ARIRANG』をはじめ、いかなる作品も第69回グラミー賞の選考対象として提出しないと発表した。この動きは、レコーディング・アカデミーが新設した「最優秀アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス賞」に言語要件が設けられ、BTSを念頭に置いて作られたかに見えた同賞から、彼らの最大の英語シングル2曲が対象外となってから、ちょうど6週間後のことだった。
RM、JIN、SUGA、J-HOPE、JIMIN、V、JUNG KOOKが同時に共有した声明は、翻訳すると以下のような内容だ。「私たちは今年、グラミー賞の選考対象として作品を提出しないことを決めました。私たちの音楽が、地域や言語によって分けられるのではなく、ありのままに聴かれ、愛されることを願っています」。「地域や言語」という表現は、レコーディング・アカデミーが新部門に設けた参加資格基準と直接重なる。
■新ルールにより主要な英語シングルが対象外に
レコーディング・アカデミーは2026年6月16日、次回の第69回授賞式に向けて新設する5部門の1つとして、「最優秀アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス賞」を発表した。レコーディング・アカデミーのCEOであるハーヴェイ・メイソン・ジュニアは、これを「世界の音楽産業において最も重要かつ継続的な影響力の一つ」に対する評価だと説明した。しかし、この部門の参加資格規定には、発表直後から厳しい目が向けられた。
対象となるには、録音物に、アカデミーのルールブックが「1つ以上のアジア言語の意味のある使用」と呼ぶ要素が含まれていなければならない。具体的には、その言語が「二言語または多言語の構成の中で重要な役割を果たし、その録音物が当該言語を用いたものと認識できる」必要がある。全編が英語で歌われている録音物は明確に対象外となる。歌詞の少なくとも60%をスペイン語、ポルトガル語、または地域固有の言語とするよう定めたラテン・グラミー賞の枠組みとは異なり、レコーディング・アカデミーは新部門について具体的な割合の基準を公表していない。このため、基準が一貫せずに適用される余地が残されている。
BTSにとって、実際の影響は明白だ。『ARIRANG』のリードシングルで、Billboard Hot 100に初登場1位でランクインした「Swim」は全編英語で歌われているため、「最優秀アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス賞」にはエントリーできない。次のシングル「Normal」も英語曲であり、同様に対象外となる。両曲は、BTSが2026年に発表した作品の中で最も注目度が高い。つまり、アカデミーがBTSを想定して設けた部門でありながら、彼らの復帰を象徴する楽曲を受け入れられないことになる。この食い違いは、同部門の発表直後からファンや業界関係者の間で指摘されていた。
■グラミー賞の新部門に収まらないアルバム『ARIRANG』
2026年3月20日にリリースされた『ARIRANG』は、メンバー7人全員が韓国での兵役を終えてから初めてとなる、BTSの約6年ぶりのフルグループによるスタジオアルバムである。Billboard 200に初登場1位でランクインし、初週に64万1000アルバム相当単位を記録した。Billboardが2014年にアルバム相当単位に基づくチャート集計を始めて以降、グループのアルバムとしては最大の初週記録となった。また、BTSにとって米国チャートで7作目の首位獲得となった。
アルバムタイトルは、韓国の非公式な国歌として広く認識され、別離、忍耐、帰還といったテーマと結びついている伝統民謡「アリラン」に由来する。4年間の活動休止を経たグループの復帰を、文化的な意味を伴う帰郷として位置づけるための意図的な選択だった。
『ARIRANG』の制作陣には、ディプロ、ライアン・テダー、ケヴィン・パーカー、BTSの長年のコラボレーターであるPdoggが名を連ねている。全14曲を通じて、ヒップホップ、オルタナティブR&B、シンセポップ、韓国の伝統音楽の影響が融合されている。韓国語によるアルバム冒頭曲「Body to Body」など、一部の楽曲には新設部門の参加資格を満たすだけの韓国語が含まれている。それでもBTSは、いずれの楽曲もエントリーしないことを選んだ。
■HYBEは「会社レベルのボイコットではない」と説明
BTSの所属レーベルであるHYBEは、今回の辞退がグループ自身の判断であることを速やかに明らかにした。HYBEの担当者は水曜日の声明で、「これは会社レベルのボイコットではありません。当社に所属する他のアーティストがエントリーを希望する場合は、予定通り提出を進める方針です」と述べた。
HYBEは別の声明で、この決定を音楽業界全体の問題として位置づけた。「BTSが主要賞を受賞する可能性が最も高かった時期に、このようなグラミー賞の選考制度の変更が行われたことは受け入れがたい」としている。同レーベルは、グループが決断に至った経緯についても説明した。「BTSも今回の発表の直前まで参加すべきか検討していましたが、音楽業界とK-POP全体のためには慎重な行動が必要だとの考えから、この決定を下しました」
BTSもHYBEも、他のアーティストに辞退への追随を呼びかけてはいない。
■5度のノミネートと無冠、そして新部門の構造的課題
BTSは2021年、「Dynamite」が最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞にノミネートされ、K-POPアーティストとして初めてグラミー賞候補となった。2022年には「Butter」、2023年にはコールドプレイとのコラボレーション曲「My Universe」で同部門にノミネートされた。さらに、最優秀ミュージック・ビデオ賞と、コールドプレイの『Music of the Spheres』に参加したアーティストとして最優秀アルバム賞にもノミネートされた。ノミネートは計5回、受賞は一度もない。
この実績の背景には、グラミー賞の複数の選考サイクルを通じて、識者が指摘してきたパターンがある。非西洋圏のアーティストが商業的な成功を収め、主要部門(General Field)の有力候補になると、アカデミーが新たなサブカテゴリーを設け、将来の評価を別の枠へと誘導するというものだ。アカデミーは、ビヨンセが2025年に『Cowboy Carter』で受賞した後、最優秀カントリー・アルバム賞をトラディショナル部門とコンテンポラリー部門に分割した。また、バッド・バニーの『Debí Tirar Más Fotos』がスペイン語作品として初めて最優秀アルバム賞を受賞した後、最優秀ラテン・ソング賞を創設した。そして今回、BTSが兵役による活動休止から復帰し、今回の賞レースで商業的に最も成功したアルバムとも評し得る作品を発表した年に、「最優秀アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス賞」を新設した。
New Statesman誌は2026年6月の分析で、この動きを「権力を手放すことなく包摂性を演出する制度の手法、すなわち中心を守りながら周縁を拡大すること」と評した。Gold Derbyの音楽記事は、さらに直接的に批判している。「このような部門は称賛ではなく、周縁化である。アジアン・ポップは歴史的にグラミー賞から遠ざけられてきた。昨年まで、米国で最も商業的に成功したサブジャンルであるK-POPでノミネートされたのは、わずか1組だった」
■グラミー賞の構造における「隔離」の意味
BTSが提起し、その支持者たちが強調している構造的な議論は、グラミー賞の部門制度が威信をどのように配分しているかに基づいている。毎年授与される約100部門のうち、主要部門(General Field)に該当するのは、最優秀アルバム賞、最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀新人賞、最優秀プロデューサー賞、最優秀ソングライター賞の6部門のみである。これらは最も大きな文化的影響力を持ち、アカデミーの全会員による投票で決まり、テレビ放送の最後の1時間に登場する賞である。
「最優秀アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス賞」を含む、それ以外のカテゴリーはジャンル部門(genre field)に属している。ジャンル部門の受賞者は、テレビ放送に先立って行われる別の授賞式で発表される。ジャンル部門の賞も、そのコミュニティーでは確かな権威を持つ。しかし、グラミー賞を取り巻くより広い文化的な評価の中では、主要部門での受賞と同じ意味を持たない。批評家は、主にジャンル部門で競うアーティストは、事実上、別の大会で競わされていると主張している。
2024年の第66回グラミー賞で導入された最優秀アフリカン・ミュージック・パフォーマンス賞は、同じ力学を早くも浮き彫りにした。2026年の授賞式でタイラが「Push 2 Start」により同賞を受賞すると、彼女が「十分にアフリカ的か」をめぐる反発が起きた。これは、一般的なポップ部門では課されないような定義上の境界を、地域別の部門が設定することを示している。
BTSにとっての懸念は、とりわけ言語要件にある。現在の規定では、米国のチャートで首位を獲得した英語曲という、彼らの最も主流市場に浸透した作品が除外される一方、米国市場での商業的な注目度が大幅に低かった韓国語のアルバム収録曲は対象となる可能性がある。事実上、主流市場へのクロスオーバーを果たさないアーティストを優遇する規定であり、同部門の発表直後から音楽業界のアナリストが指摘していた構造的な問題である。
■東南アジアと南アジアの音楽をめぐる問題
批評家はまた、K-POP、J-POP、C-POPを明記した新部門の枠組みが、南アジアや東南アジアの音楽産業を定義上の曖昧な位置に置いていると指摘している。インドの活発な商業音楽市場や、タイ、インドネシア、フィリピンで急速に成長するポップ音楽産業は明記されていない。missingperspectives.comが6月に指摘したように、この部門には「アジア大陸の多様性を称賛するのではなく、アジア音楽に対する西洋の狭い理解を強化する」リスクがある。ある論者は、K-POP、J-POP、C-POPを「西洋の主流層の大半にとって受け入れやすい『東洋』」と表現した。新部門の設計に組み込まれた暗黙の選別を捉えた言葉である。
■新部門そのものへの影響
エントリーを拒否したことで、BTSは候補者が1組も発表されていない段階から、第1回「最優秀アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス賞」に信頼性をめぐる問題を突きつけた。業界アナリストの間では、同グループが最有力候補になるとの見方が広がっていた。対象期間における圧倒的な商業実績と、米国のポップカルチャーにおける同ジャンルの代表的存在としての歩みを考えれば、BTSは、その存在によって部分的に定義されたともいえる新部門の明白な中核候補だった。
BTSがレースに参加しないことで、第1回の受賞者は、米国市場における商業的な知名度がBTSより低いアーティストになる可能性が極めて高い。これは、ほかのアーティストの才能を否定する議論ではない。しかし、新部門が、最も有力だった参加候補による公然の辞退の影に包まれた状態で始まることを意味する。
レコーディング・アカデミーは水曜日午後の時点で、BTSの辞退に対して公に反応していなかった。グラミー賞のエントリー期間は8月28日までとなっている。第69回授賞式の候補者は2026年11月16日に発表される見通しだ。授賞式は2027年2月7日にロサンゼルスのCrypto.comアリーナで開催され、ABCで放送される予定である。
一方、BTSは23カ国で85公演を行う「Arirang World Tour」の最中にある。7月19日には、ニュージャージー州イーストラザフォードのMetLifeスタジアムで開催されたFIFAワールドカップ2026決勝のハーフタイムショーに出演した。Varietyの報道によると、グループは将来のグラミー賞選考へのエントリーを排除していないという。
■注目ポイントQ&A
●BTSがグラミー賞へのエントリーを辞退した理由は何ですか?
BTSは、レコーディング・アカデミーが新設した「最優秀アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス賞」の参加資格として、アジア言語の「意味のある使用」を求めていることに異議を示しました。この規定により、アルバム『ARIRANG』から発表された主要な英語シングル「Swim」(Billboard Hot 100で1位)と「Normal」は、新部門の対象外となります。BTSは声明で、音楽は「地域や言語によって分けられるのではなく、ありのままに聴かれ、愛される」ことを願うとの考えを示しています。
●BTSはこれまでにグラミー賞を受賞したことがありますか?
いいえ。BTSはこれまでに計5回グラミー賞にノミネートされています。内訳は、2021年、2022年、2023年の最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞への3年連続ノミネート、最優秀ミュージック・ビデオ賞、参加アーティストとしての最優秀アルバム賞です。しかし、競争部門で受賞したことはありません。今回の辞退により、2027年2月の第69回授賞式では選考対象になりません。
●「最優秀アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス賞」とは何ですか?なぜ議論を呼んでいるのですか?
第69回グラミー賞で新設される部門で、アジア言語の「意味のある使用」を含むK-POP、J-POP、C-POPの録音物を対象としています。批評家は、アジアのアーティストを最優秀アルバム賞など6つの権威ある主要部門から遠ざけ、アジアのアーティスト同士で競う別の枠へ誘導する構造的な迂回路として機能すると主張しています。その結果、グラミー賞における文化的評価を左右する、主要部門での幅広い評価を得る機会が減るという批判です。一方、支持者は、世界的に大きな影響力を持つジャンルに対する、遅ればせながらの評価だとしています。
●他のK-POPアーティストもBTSに続いてグラミー賞へのエントリーを辞退するのでしょうか?
BTSは他のアーティストに追随を呼びかけていません。HYBEも、所属する他のアーティストについては、本人たちが希望すれば予定通りエントリーを進めると確認しています。SEVENTEENやaespaなどのグループ、HYBEや他のレーベルに所属するソロアーティストが新部門にエントリーするのか、それともBTSに倣って辞退するのかは、エントリー期間が終了する8月28日まで未確定です。
元記事: BTS Withdraws From Grammys Over Asian Pop Rule That Bars Its English Hits
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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