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ソニー新型シネマカメラ「FX5」、注文殺到で納品遅延の可能性 16ビットX-OCNの実力を検証

(Sony.com)[写真拡大]
ソニーが7月28日に受注を開始した新型シネマカメラ「FX5」が予想を大幅に上回る注文を受け、商品のお届けまでに時間がかかる可能性があると同社が発表した。ボディ単体モデルの国内価格は81万2,900円(税込)で、外部レコーダーを使わずに16ビットのシーンリニアRAW形式「X-OCN」を内部記録できる。予約受付初日から強い需要が示されたFX5について、その技術的な特徴と映像制作における位置づけを検証する。
■受注初日に供給案内が出た背景
ソニーは7月22日にFX5を発表し、日本では7月28日午前10時に予約販売の受付を開始した。同日、ソニーは、予想を大幅に上回る注文を受けており、商品のお届けまでに時間がかかる可能性があると案内した。
日本の家電市場で供給に関する案内が出ること自体は珍しくなく、注目度の高いカメラの発売時にも見られる。しかし、受注を開始した当日に案内が出された点は異例である。ソニーは、顧客の要望に応えるため鋭意努力していると説明し、商品が届くまでしばらく待つよう理解を求めた。Newsshooterなどの海外メディアも、この供給案内について報じている。
米国ではB&HとAdoramaが予約を受け付けている。原記事の公開時点で、ソニーは米国で8月中旬の出荷を予定し、B&Hは8月18日を出荷予定日としていた。日本での発売日は8月21日である。日本で示された供給上の懸念が、海外向けの出荷にどの程度影響するかは確認されていない。
■FX5の立ち位置と、FX3との違い
ソニーのCinema Lineにおいて、FX5(モデル名:ILME-FX5)はFX3とFX6の間に位置する。現在のラインアップは、FX2、FX30、FX3、FX5、FX6、BURANO、VENICE 2で、このほかにPTZカメラのFR7がある。
FX5は、FX3に近いコンパクトなフォームファクターを採用し、ソニーEマウントレンズを使用できる。一方、操作体系や記録機能は、本格的な映像制作を前提とした設計になっている。ソニーは、VENICEやBURANOなどの上位Cinema Lineで培った操作性や映像制作のワークフローをFX5に取り入れている。
FX5は動画撮影に特化したカメラで、静止画撮影モードは搭載していない。センサー、記録方式、操作画面などが、静止画と動画を兼用するハイブリッドカメラではなく、シネマ制作のワークフローに合わせて構成されている。
日本でのメーカー希望小売価格は、ボディ単体のILME-FX5Bが73万9,000円(税別)、81万2,900円(税込)である。XLRハンドルユニットを同梱するILME-FX5は81万9,000円(税別)、90万900円(税込)となる。
米国で発表された価格は、ボディ単体が4,899ドル、XLRハンドルユニット付属モデルが5,499ドルである。欧州での価格はVAT込みで、ボディ単体が5,399ユーロ、XLRハンドルユニット付属モデルが5,999ユーロ。英国での価格もVAT込みで、ボディ単体が4,699ポンド、同梱モデルが5,199ポンドとなっている。
■バックパックサイズのボディで5K RAWを可能にする積層型センサー
FX5は、新開発の有効最大約1660万画素フルサイズ積層型Exmor RS CMOSイメージセンサーを搭載する。FXシリーズとして、フルサイズ積層型センサーを採用する初のモデルである。これに対してFX3は、非積層型の裏面照射型Exmor R CMOSセンサーを採用している。
積層型センサーは、センサーからの高速なデータ読み出しに適した構造を持つ。FX5では、新しい積層型センサーと高速画像処理エンジンBIONZ XR2を組み合わせることで、最大5K 60p、4K 120p、フルHD 240pの記録や、X-OCNの内部記録に対応する。高速なセンサー読み出しは、カメラを素早く動かした場合などに生じるローリングシャッター歪みの低減にも寄与する。
有効最大約1660万画素のセンサーは、3:2の領域を利用するイメージセンサー全面読み出し、いわゆるOpen Gate撮影に対応する。Open Gateでは通常の16:9より上下に広い範囲を記録できるため、撮影後に16:9、縦長動画、シネマスコープなど、複数のアスペクト比へ切り出しやすくなる。
発売時点では、3:2のOpen Gate撮影を利用できるのはX-OCN記録時に限られる。XAVC S-Iでの3:2 Open Gate記録は、2027年8月以降に予定されているソフトウェアVer.2.00で追加される予定である。
画像処理は、AIプロセッシングユニットの機能を画像処理エンジン内に統合したBIONZ XR2が担う。AIによる姿勢推定技術を用いた被写体認識では、人物の瞳だけでなく、体や頭部の位置も認識し、被写体を自動で追尾するリアルタイムトラッキングに対応する。
FX5は、X-OCN記録時に3:2のOpen Gateで最大5K 60pを撮影できる。このほか、最大4K 120p、フルHD 240pの記録にも対応する。FX3も4K 120pとフルHD 240pの内部記録に対応するが、FX5は5K Open Gate、X-OCN内部記録、3つのベースISOなどを新たな特徴としている。
■X-OCNがプロ向け機材の構成を変える理由
X-OCNは、FX5を代表する仕様の一つである。正式名称は「eXtended tonal range Original Camera Negative」で、ソニー独自の圧縮RAW動画フォーマットだ。
X-OCNは、センサーが捉えた情報を16ビットのシーンリニアデータとして保持する。カメラ内で完成映像に近い状態まで処理して記録する一般的な動画フォーマットと比べ、撮影後に露出、ホワイトバランス、色、階調などを調整する余地を多く残せる。
16ビットのデータは、数値上65,536段階の値を表現できる。10ビットの1,024段階と比較すると、表現可能な値の段階数は64倍となる。ただし、これはカメラのダイナミックレンジ自体が64倍になるという意味ではない。センサーが記録した情報を、より細かな精度で保持、処理できることを示している。
そのためX-OCNは、ハイライトやシャドウに記録された階調をカラーグレーディングで細かく調整する場合や、HDR制作、VFX合成など、複数の処理工程を経る制作で有利になる。制作工程や納品仕様によっては、16ビットのシーンリニア素材が求められる場合もある。
FX5は、従来から存在するX-OCN LTに加え、新しいX-OCN C1とX-OCN C2に対応する。C1とC2は、16ビットの情報を保持しながらX-OCN LTよりデータ量を抑え、保存、転送、編集時の負担を軽減することを目的とした記録方式である。
これまでソニーのカメラでX-OCNを本体内部に記録できる機種は、VENICE 2やBURANOなどの上位モデルが中心だった。FX5は、国内価格81万2,900円(税込)のボディ単体モデルでX-OCN内部記録に対応し、より小型で導入しやすい構成を実現している。
FX3もHDMI経由でRAW映像を出力できるが、外部収録には対応レコーダー、接続ケーブル、電源、取り付け機材などが必要になる。また、実際に保存される形式やビット深度は、接続するレコーダーと収録コーデックに依存する。
FX5はX-OCNをカメラ内部に記録できるため、外部レコーダーを使わずにRAW収録ワークフローを構成できる。外部機器が不要になることで、カメラリグの小型化、配線の簡素化、電源管理の負担軽減などが期待できる。FX5の経済的な価値は、単純な機材価格の比較だけでなく、RAW収録時の機材構成を簡素化できる点にもある。
■3つのベースISOがもたらす撮影上の柔軟性
シネマカメラのベースISOは、カメラが一定のダイナミックレンジやノイズ特性を発揮するための基準感度である。撮影環境に応じて適切なベースISOを選ぶことで、ハイライトとシャドウのバランスを保ちながら撮影しやすくなる。
FX3は、Cine EIモードでISO 800とISO 12,800の2つのベースISOを選択できる。FX5ではISO 800、ISO 4,000、ISO 12,800という3つのベースISOから選択できる。
FX5では、ISO 4,000が中間のベースISOとして加わったことで、FX3のISO 800とISO 12,800の間に新しい選択肢が設けられた。撮影環境に応じて基準感度をより細かく選択でき、幅広い条件下でノイズを抑えた映像表現が可能になる。
低感度側のISO 800は、照明を制御できる撮影や明るい環境に適している。ISO 4,000は、照明条件が限られる屋内や夕方などで、ISO 800では感度が不足する一方、ISO 12,800を選ぶ必要まではない状況に対応しやすい。ISO 12,800は、暗所や利用できる照明が限られる撮影で有効になる。
ドキュメンタリー、結婚式やイベント、コンサート、少人数でのラン&ガン撮影など、照明環境を自由に整えられない制作では、3つのベースISOから撮影条件に合った感度を選べることが実用上の利点となる。
なお、3つのベースISOとは別に、FX5はFXシリーズで初めてデュアルゲイン撮影機能にも対応する。ソニーによると、この機能はイメージセンサーの性能を引き出し、通常時より広いラチチュードで滑らかな階調を表現するとともに、シャドウのディテールを保ちながらノイズを低減する。デュアルゲイン撮影には設定上の条件があり、撮影設定によっては利用できない場合がある。
■サードパーティ製アクセサリとソフトウェア更新
サードパーティー各社もFX5向けアクセサリの展開を始めている。SmallRigは2026年7月29日、FX5専用に設計したHawkLockケージとアクセサリシステムを発表した。
ソニーは、FX5の発売後に追加する予定の機能も明らかにしている。2027年8月以降に予定されているソフトウェアVer.2.00では、XAVC S-Iによる3:2 Open Gate記録、X-OCNでのハイフレームレート記録、縦位置撮影用のユーザーインターフェース、動画クリップから静止画を切り出すフレームグラブ機能などが追加される予定である。
これらは将来のソフトウェア更新として予定されている機能であり、発売時点では利用できない。追加時期や仕様は変更される可能性があるため、導入判断では現在利用できる機能と将来の予定を区別する必要がある。
■競合機や中古市場との比較におけるFX5の立ち位置
FX5の登場と供給案内は、FX3の購入や売却を検討しているユーザーの判断にも影響を与える可能性がある。FX5の供給が限られる場合、より早く入手できるコンパクトなCinema LineとしてFX3を選ぶユーザーがいる一方、FX5の供給が安定するまでFX3を売却せず保有するユーザーも考えられる。
新品の競合機と比較すると、原記事は米国価格4,899ドルのFX5に対し、3,899ドルのキヤノンEOS C50を近い価格帯の競合機として挙げている。両機はコンパクトな業務用シネマカメラという共通点を持つが、記録方式やセンサー解像度、ベースISOなどの設計が異なる。
原記事によると、EOS C50は最大12ビットのCinema RAW Lightを記録し、7KのOpen Gateに対応する。一方、FX5は5KのOpen Gate、16ビットX-OCN内部記録、ISO 800、ISO 4,000、ISO 12,800の3つのベースISOを特徴とする。
ビット深度や解像度の数字だけで、実際の画質や制作上の優劣が決まるわけではない。ローリングシャッター、ノイズ、ダイナミックレンジ、記録時間、必要な記録メディア、編集環境、オートフォーカス、消費電力なども含め、実際の制作条件に基づいて比較する必要がある。
すでにFX5を予約したユーザーについては、注文時期、販売店への入荷数、選択したモデルなどによって納期が異なる可能性がある。ソニーは、予想を大幅に上回る注文により、お届けまでに時間がかかる可能性があるとしているが、すべての注文が遅れるとは明言していない。
■注目ポイントQ&A
●なぜソニーはFX5の受注初日に供給案内を出したのですか?
ソニーによると、2026年7月28日の受注開始後、同社の予想を大幅に上回る注文が入ったためです。ソニーは、商品のお届けまでに時間がかかる可能性があると案内し、顧客の要望に応えるため鋭意努力していると説明しています。供給不足やすべての注文の遅延が確定したという発表ではありません。
●FX5の日本での価格はいくらですか?
XLRハンドルユニットを同梱しないボディ単体モデルのILME-FX5Bは、81万2,900円(税込)です。XLRハンドルユニットを同梱するILME-FX5は、90万900円(税込)です。発売日は2026年8月21日です。
●X-OCNとは何ですか?
X-OCNは、ソニー独自の圧縮RAW動画フォーマットです。センサーが捉えた情報を16ビットのシーンリニアデータとして保持するため、撮影後に露出、ホワイトバランス、色、階調などを調整しやすい特徴があります。FX5はX-OCN LT、X-OCN C1、X-OCN C2の内部記録に対応します。
●16ビットなら白飛びした映像を復元できますか?
完全にクリップし、記録情報が失われたハイライトを復元できるわけではありません。16ビットの利点は、センサーが記録できた範囲の情報を細かな精度で保持し、カラーグレーディングやVFX処理で生じる階調の劣化を抑えやすいことです。
●FX5のOpen Gateは発売時からすべての記録形式で使えますか?
いいえ。発売時点で3:2のOpen Gate撮影を利用できるのはX-OCN記録時のみです。XAVC S-Iでの3:2 Open Gate記録は、2027年8月以降に予定されているソフトウェアVer.2.00で追加される予定です。
●FX5の3つのベースISOは、FX3とどう違いますか?
FX3はCine EIモードでISO 800とISO 12,800の2つのベースISOを選択できます。FX5はISO 800、ISO 4,000、ISO 12,800の3つで、中間のISO 4,000が追加されています。このため、撮影環境に合わせて基準感度をより細かく選択できます。
●FX5と、FX3に外部RAWレコーダーを組み合わせた場合とでは、どのような違いがありますか?
FX3はHDMI経由でRAW映像を出力できますが、収録には対応する外部レコーダー、ケーブル、電源、取り付け機材などが必要です。保存される形式やビット深度は、使用するレコーダーとコーデックによって異なります。FX5は16ビットのシーンリニアRAW形式であるX-OCNをカメラ内部に記録できるため、外部レコーダーを使わずにRAW収録ワークフローを構成できます。
●FX5はFX3の後継機ですか?
FX5はCinema LineでFX3とFX6の間に位置するモデルで、FX3を単純に置き換える製品ではありません。FX3も4K 120p、フルHD 240p、HDMI経由のRAW出力などに対応します。一方、FX5は5K Open Gate、X-OCN内部記録、3つのベースISO、デュアルゲイン撮影機能などを備え、本格的な映像制作向けの機能を強化しています。
元記事: Sony FX5 Day-One Supply Warning: What Its Internal RAW Codec Means for Filmmakers
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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