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フーシ派、サウジへの海上封鎖を宣言 世界の石油供給を脅かす恐れ、ヨルダン基地では米兵2人死亡
イエメンの親イラン武装組織フーシ派は20日、サウジアラビアに対する即時の海上封鎖を宣言した。アナリストや当局者は、米国とイランの戦争に危険な「第二戦線」が開かれたとみている。フーシ派が封鎖を実行できれば、サウジアラビアのアジア向け石油輸出の大半が通過する紅海ルートが遮断され、世界の石油供給がさらに約7%減少する可能性がある。一方、米国防総省は同日、17日にヨルダンの米軍基地に対するイランの攻撃で死亡した米兵2人の身元を公表した。
■ヨルダン米軍基地で死亡した米兵2人の身元が判明
日本経済新聞を通じて配信されたロイター通信の報道によると、フーシ派が宣言した海上封鎖は、サウジアラビアのアジア向け石油輸出の大半を運ぶ紅海ルートを遮断する恐れがある。すでに供給が減少している世界の石油市場から、さらに約7%の供給が失われる可能性があるという。
封鎖が宣言された20日朝、米国防総省は、17日にヨルダンのムワッファク・サルティ空軍基地に対するイランのミサイルおよびドローン攻撃で死亡した米兵2人の身元を公表した。死亡したのは、テキサス州キャロルトン出身のイザベラ・ゴンザレス二等兵(19)と、ハワイ州エワビーチ出身のタイラー・ジェームズ・フィーハン中尉(25)である。
国防総省の声明によると、両兵士は防空砲兵部隊に所属していた。つまり、2人は自らの命を奪ったイランのミサイルを迎撃する任務を担う部隊に所属していたことになる。
CNNによると、マルコ・ルビオ国務長官は19日夕方、マニラへ出発する前に記者団に対し、イランの弾道ミサイル1発が基地の多層防衛システムを「すり抜けた」と説明し、2人の死について「胸が張り裂ける思いだ」と述べた。「究極の犠牲を払った英雄たちの家族に、心から哀悼の意を表する」とも語った。攻撃については現在も調査が続いている。
■ムワッファク・サルティ空軍基地で何が起きたのか
アンマンの東約100キロ、アズラク市近郊に位置するムワッファク・サルティ空軍基地には、米空軍第332航空遠征航空団が駐留している。2026年初頭以降、同基地は中東で米軍の戦術航空機が最も集中する拠点となっている。
2月の衛星画像では、米軍が同基地に通常の約3倍となる60機以上の戦闘機を配備していたことが確認された。内訳には約30機のF-35A多用途戦闘機と36機のF-15Eストライクイーグルが含まれ、このほかMQ-9リーパー無人機や多層防空システムも配備されていた。
国防総省によると、7月17日夜、イランのイスラム革命防衛隊は、継続中の米軍による攻撃作戦への報復として、同基地に向けて弾道ミサイルと自爆型ドローンを発射した。
この一斉攻撃は、弾道ミサイルと低速のドローンを組み合わせ、高高度を担当するTHAADと、より短距離を担当するパトリオット迎撃システムの双方に同時に負荷をかける典型的な飽和攻撃だった。ルビオ国務長官によると、飛来したミサイルやドローンの大半は迎撃されたが、ミサイル1発が防空網を突破した。
ゴンザレス二等兵は7月17日に戦死し、フィーハン中尉は翌朝、負傷が原因で死亡した。NPRによると、3人目の米軍関係者が依然として行方不明となっている。米軍関係者は19日、現場で身元不明の遺体を発見しており、現在、身元確認が進められている。ほかに4人がヨルダンの病院へ搬送されたが、その後退院した。
アルジャジーラによると、18日にはイラク北部で別の事故が発生した。クルディスタン地域で撃墜されたイランの自爆型ドローンを制御爆破していた際、米軍関係者1人が死亡した。CNNによると、これらの死者を含め、イランとの戦争で死亡した米軍関係者は少なくとも17人に達した。
■THAADの死角:ヨルダン攻撃が浮き彫りにした米国のミサイル防衛の課題
ゴンザレス二等兵とフィーハン中尉の死は、米軍の前方基地防衛体制に以前から知られていた脆弱性を示す具体的な事例である。ムワッファク・サルティ基地の防空網が突破されたのは、今回が初めてではない。
CNNが衛星画像に基づいて報じたところによると、戦争初期の3月1日から2日ごろ、イランの攻撃により、同基地に配備されていたAN/TPY-2前方配備型Xバンド移動式レーダーが破壊された。このレーダーは、同基地のTHAAD(終末高高度防衛)部隊を構成するセンサーである。
AN/TPY-2はTHAADシステムの主要な識別センサーで、1,000キロを超える距離から飛来する弾道ミサイルを探知し、その軌道を追跡する。さらに、THAAD迎撃ミサイルが弾頭とデコイ(おとり)、破片を区別するために必要な交戦データを提供する。
米当局者はCNNに対し、このレーダーが失われたことを認めた。CNNは、5台のトレーラーで構成されるレーダー設備が黒焦げの残骸となった様子を示す衛星画像も公開した。
国防総省ミサイル防衛局の予算資料によると、このレーダーの価格は約5億ドル(約810億円、1ドル=162円換算)に上る。レーダーはその後、交換のためヨルダン国外へ搬出された。
Defence Security Asiaによると、その結果、防衛上の負担は、より低い高度で運用されるパトリオットPAC-3システムへ移った。ただし、パトリオットの迎撃ミサイルについては、供給が限られているとアナリストらが繰り返し指摘している。
兵器研究サービス(Armament Research Services)のディレクター、N.R.ジェンゼン=ジョーンズ氏は、Defence Security Asiaが最初に報じた発言で、「AN/TPY-2レーダーは、実質的にTHAAD部隊の心臓部だ。この種のレーダーを1基でも失えば、作戦上、重大な事態となる」と述べた。
米軍が基地の防衛態勢を部分的に再構築した後に起きた7月17日の攻撃は、THAAD級とパトリオット級の多層防空システムを備えた、強固かつ多重に防衛された前方拠点であっても、イランによる継続的な一斉攻撃に対して防空網の突破を完全には防げないことを示している。
TRT Worldが引用したブルームバーグの報道によると、民主主義防衛財団(FDD)の軍事・政治力センター副所長、ライアン・ブロブスト氏は、3月にレーダーが破壊された際、「米軍とそのパートナーには、防空・ミサイル防衛の範囲を維持できるほかのレーダーがあり、単一のレーダーを失った影響を軽減できる」と指摘していた。
CNNによると、米軍は世界で8個のTHAAD部隊を保有し、韓国、グアム、中東に分散して配備している。
■9夜連続となる米軍の対イラン攻撃
米中央軍(CENTCOM)は20日早朝、米軍が19日夜にイランの軍事目標を攻撃し、9夜連続の攻撃を完了したと発表した。
CENTCOMの公式発表によると、作戦では、イランの指揮統制インフラ、防空・沿岸監視ネットワーク、海上戦力、ミサイルおよびドローンの発射施設が継続的に攻撃されている。公式に掲げられた目的は、ホルムズ海峡を通る商船を脅かすイランの能力を低下させることである。
CENTCOMは公式声明で、「CENTCOMの部隊は、イランの軍事指揮センター、防空・沿岸監視施設、海上戦力、ミサイルおよびドローンの発射施設、通信ネットワークを標的とした」と説明した。
19日には、イランのバンダル・アッバースとゲシュム島で爆発が報告された。UPI通信によると、国際原子力機関(IAEA)は、米軍の攻撃が建設途中の原子力発電所に命中したとするイラン側の主張を確認している。ただし、この主張は独立した情報源によって確認されていない。
CENTCOMによると、この作戦の一環として、5万人以上の米軍関係者が引き続き中東各地に展開している。
トランプ大統領は19日、FIFAワールドカップ決勝からジョイント・ベース・アンドリュースに戻った際、記者団に対し、犠牲者が増えていることを認めながら、作戦の目的を核不拡散の観点から説明した。
CNNによると、トランプ氏は「あの偉大な人々、偉大な愛国者たちは、イランが核兵器を保有できないようにするため、現地で戦っていた」と語った。さらに、米軍が「今夜も彼らを非常に激しく攻撃した」と述べ、その攻撃を戦死した兵士たちにささげるものと位置づけた。「イランには、もうほとんど何も残っていない」とも語った。
■フーシ派が第二戦線を開く:サウジ海上封鎖がもたらす脅威
20日の最も重大な動きは、テヘランではなくサヌアからもたらされた。日本経済新聞を通じて配信されたロイター通信によると、フーシ派の軍事報道官ヤヒヤ・サレア准将はテレビ演説で、「『目には目を』という原則に基づき、犯罪的な敵であるサウジアラビアに対する海上封鎖を即時発効で宣言する」と発表した。
アルジャジーラによると、フーシ派は、この封鎖をサウジアラビアによる「約12年にわたる、われわれの愛する人民への不当で抑圧的な包囲、資源の略奪、陸海空からの港湾および空港に対する全面的な封鎖」への報復と位置づけている。
この位置づけは重要である。米国とイランの戦争とは異なり、フーシ派とサウジアラビアの対立は、2014年から続くイエメン内戦に根差している。現在の米国とイランの紛争よりも前から存在し、そこからおおむね独立した二者間の対立である。
ロイター通信を引用したNBCニュースによると、イランはフーシ派に対し、米国がイランの電力インフラへの攻撃を続けた場合には、バブ・エル・マンデブ海峡を封鎖する準備を整えるよう求めていたと報じられている。
しかし、フーシ派が宣言した封鎖はそれよりも踏み込んでおり、サウジアラビアを明確な標的としている。その背景には、米国とイランが停戦しても解消されないフーシ派独自の対サウジアラビア問題がある。
バブ・エル・マンデブ海峡は、イエメンとアフリカの角の間に位置する幅18マイル(約29キロ)の海峡で、紅海とアデン湾を結んでいる。サウジアラビアによるアジア向け石油輸出の大半がこの海峡を通過する。
日本経済新聞を通じて配信されたロイター通信によると、フーシ派が封鎖を完全に実行できた場合、世界の石油供給の約7%が失われる可能性がある。ホルムズ海峡の混乱と湾岸地域での紛争によって、すでに世界市場から失われている約10%に上乗せされる形となる。
石油市場は発表を受けて一時急騰したものの、その後は上昇幅を縮小した。市場参加者は、フーシ派に封鎖を実行する能力があるのかという問題と、ワシントンから発せられている外交上のシグナルを比較検討しているとみられる。
サウジアラビアは直ちに公式な反応を示さなかった。フーシ派が海峡を通るすべての商船を対象に完全な封鎖を実行できる海上戦力を持っていることを示す兆候は、現時点ではない。それでも、封鎖宣言そのものによって、サウジアラビアの石油輸出は現実的な脅威にさらされている。
■ヨルダンの困難な中立
ムワッファク・サルティ基地への攻撃は、ヨルダン政府が公には認めにくい矛盾を浮き彫りにした。
ヨルダンは米国とイランの戦争で中立を宣言している。一方、ヨルダン軍の公式発表によると、紛争開始から最初の1週間に同国領空へ侵入したイランのミサイルとドローン計119発のうち、推定108発をヨルダンの防空部隊が迎撃した。ヨルダン軍は米軍と緊密に連携し、24時間態勢で活動している。
基地は、米軍にヨルダン国内の軍事施設の使用を認める、長年にわたる米国・ヨルダン間の防衛協力の枠組みの下で運用されている。この枠組みによって、ムワッファク・サルティ基地は中東で最も戦略的に重要で、繰り返し攻撃対象となる米軍基地の一つになった。
同基地は1981年に建設され、1966年にイスラエルとの戦闘で死亡したヨルダン空軍のパイロットにちなんで命名された。
在アンマン米国大使館は19日、アカバの空港と港に対する具体的で信頼性のある脅威があるとして、セキュリティー警報を発出した。ヨルダン政府は避難命令が出されたことを否定し、両施設は通常通り稼働していると説明した。
ハアレツによると、その後、イランのミサイルがアカバに向けて発射されたが、米軍とイスラエル軍により迎撃された。この出来事は、ヨルダン政府が置かれた立場の難しさを示している。ヨルダン国民の間では米軍駐留への強い反対がある一方、同国の防空部隊は、米軍機を狙って飛来するイランのミサイルやドローンへの対応を迫られている。
軍事計画の担当者にとって、中東で最も厳重に防衛された前方基地の一つで防空任務に就く兵士2人が死亡したことは、今後の態勢を見直す必要性を示している。
ムワッファク・サルティ基地に集中する重要な装備をさらに分散させ、航空機やシステムをイタリアのシゴネラ海軍航空基地など、より遠方の拠点へ移すか、あるいはイランに対する地域的な攻撃圧力を維持する代償として、継続的な損耗を受け入れるかの選択を迫られることになる。
■狭まる外交の余地
ミサイル攻撃と封鎖宣言が続く中でも、ルビオ国務長官は19日、米国は「常に外交的解決に開かれている」と改めて述べた。CNNを引用したBenzingaによると、ルビオ氏は、イランが外交への扉を開けば「喜んで応じる」と語った。
ルビオ氏は、米軍への攻撃を続ける強硬派と、米軍の攻撃と長期的な制裁の組み合わせで深刻な打撃を受けたイラン経済を懸念する勢力との間で、国内の「亀裂が広がっている」と説明した。
CNNによると、6月に合意された米国とイランの覚書(MOU)は、4月の停戦を拡大し、ホルムズ海峡の船舶通航を回復させることを目的としていた。しかし、この合意は現在、事実上崩壊している。
ルビオ氏は、「条件に違反しているのであれば、MOUが有効なままとはいえない」と述べた。イランが協議再開への関心を示す一方、19日までの数日間に船舶3隻を攻撃したことも指摘した。
現在の状況が示していること、そしてフーシ派の封鎖宣言を特に重大なものにしているのは、ワシントンとテヘランをつなぐ外交的枠組みが、フーシ派とサウジアラビアの紛争には及ばないという点である。
米国とイランが全面的な停戦に合意しても、バブ・エル・マンデブ海峡の脅威は残る。フーシ派には独自の戦争とサウジアラビアに対する独自の不満があり、海上交通の要衝を交渉材料として利用する意思もあるためだ。
■注目ポイントQ&A
●イランとの戦争で死亡した米軍関係者は何人ですか?
CNNによると、2026年7月20日現在、イランとの戦争で少なくとも17人の米軍関係者が死亡しています。
この人数には、7月17日から18日にかけて、ヨルダンのムワッファク・サルティ空軍基地に対するイランの攻撃で死亡したタイラー・ジェームズ・フィーハン中尉とイザベラ・ゴンザレス二等兵、さらに7月19日にイラク北部で、撃墜されたイランのドローンを制御爆破していた際に死亡した米兵1人が含まれます。
ムワッファク・サルティ基地では、さらに1人が死亡した可能性も残されています。19日に現場で身元不明の遺体が発見され、現在、米軍の法医学担当者が身元を調べています。militaryspend.orgが集計したデータによると、この紛争では427人を超える米軍関係者が負傷しています。
●バブ・エル・マンデブ海峡とは何ですか? フーシ派の封鎖が世界のエネルギー供給に影響するのはなぜですか?
バブ・エル・マンデブ海峡は、イエメンとアフリカの角の間にある幅18マイル(約29キロ)の海峡です。紅海とアデン湾を結び、サウジアラビアがアジアの買い手へ石油を輸出する主要な海上ルートとなっています。
日本経済新聞を通じて配信されたロイター通信によると、フーシ派が宣言した封鎖を実行し、海峡を閉鎖できた場合、世界の石油供給は約7%減少する可能性があります。ホルムズ海峡での紛争による混乱で、すでに失われている約10%に上乗せされる形です。
2つの海上交通の要衝が同時に混乱すれば、過去数十年で最大規模の供給ショックの一つとなる可能性があります。
●なぜフーシ派はサウジアラビアを封鎖しようとしているのですか? 米国とイランが停戦すれば封鎖も終わりますか?
アルジャジーラによると、フーシ派は20日に宣言した海上封鎖を、サウジアラビアによるイエメンへの「12年にわたる包囲」への報復と位置づけています。これは、2015年に始まったサウジアラビア主導の連合軍によるイエメン内戦への軍事介入を指しています。
フーシ派とサウジアラビアの対立は、2026年の米国とイランの戦争よりも前から続いており、米国・イラン間の問題からおおむね独立しています。
イランは米国への圧力手段としてバブ・エル・マンデブ海峡を閉鎖するようフーシ派に求めたと報じられていますが、フーシ派はさらに踏み込み、サウジアラビアを直接の標的としました。
この違いは重要です。フーシ派は米国とイランの交渉の当事者ではなく、サウジアラビアとの対立も残るため、ワシントンとテヘランが停戦しても、フーシ派に封鎖の終了を義務づけることはできません。したがって、この封鎖宣言は、米国とイランの外交だけでは解消できない新たなエスカレーション要因となっています。
●イランによるムワッファク・サルティ基地への攻撃は、この地域における米国のミサイル防衛について何を示していますか?
7月17日の攻撃は、THAAD級とパトリオット級のシステムを含む多層防空を備えた強固な前方基地であっても、弾道ミサイルとドローンによる同時一斉攻撃を完全には迎撃できないことを示しました。
同基地の防空網が突破されたのは初めてではありません。CNNによると、2026年3月、イランはムワッファク・サルティ基地のAN/TPY-2 Xバンドレーダーを破壊しました。これはTHAAD部隊の主要センサーで、国防総省ミサイル防衛局の予算資料によると、約5億ドル(約810億円、1ドル=162円換算)の価値があります。
このレーダーの喪失により、レバントおよび湾岸地域における高高度ミサイルの監視能力が低下し、パトリオットPAC-3迎撃ミサイルへの依存が強まりました。パトリオットの迎撃ミサイルについては、防衛分野のアナリストが備蓄の制約を指摘しています。
基地をミサイル攻撃から守る任務に就いていた防空兵士2人の死は、ミサイル防衛の計画担当者が長年指摘してきた未解決の問題を、具体的な被害として示す結果となりました。
元記事: Houthis Declare Saudi Naval Blockade, Threatening Global Oil as Jordan Toll Rises
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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