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アルツハイマー病の血液検査、無症状者でも脳スキャンに匹敵する陽性確認性能か JAMA研究では将来リスクも示す
アルツハイマー病の兆候を、症状が現れる前に血液検査で検出できる可能性を示す新たな研究結果が発表された。米国医師会雑誌(JAMA)に掲載された研究では、血液中のバイオマーカー「p-tau217」の値から、認知機能に問題のない高齢者が将来、認知機能障害へ進行するリスクを予測できる可能性が示された。国際アルツハイマー病会議(AAIC 2026)では、同じバイオマーカー検査が、無症状者のアルツハイマー病病理を陽性と判定する性能でアミロイドPET検査に匹敵するとの研究結果も報告された。ただし、無症状者を対象とする臨床検査としては承認されておらず、陽性だった場合の標準的な対応もまだ確立されていない。
■血液検査で10年以内の認知機能障害リスクを予測
簡単な採血によって、言葉が出にくくなったり、約束を忘れたりする兆候がこれまで一度もなかった健康な高齢者に、10年以内に認知機能障害へ進行するリスクが約78%あると示せる可能性が出てきた。2026年7月16日付の米国医師会雑誌(JAMA)に掲載された新たな研究が示した結果である。同じ日の朝には、イーライリリーの研究者がロンドンで開かれた世界最大規模のアルツハイマー病研究会議で、同じ血液検査が、症状のない人のアルツハイマー病病理を検出する上で、ゴールドスタンダードとされる脳スキャンに匹敵する陽性確認性能を示したと報告した。
この検査は「p-tau217」(スレオニン217リン酸化タウ)と呼ばれるタンパク質を測定するものだ。アルツハイマー病を特徴づける脳内のアミロイドプラークや神経原線維変化の形成が、症状のないままゆっくり進み始めると、血液中のp-tau217濃度が上昇する。長年、こうしたプラークを検出するには、高額で実施できる地域も限られる脳画像検査か、侵襲性のある腰椎穿刺による脳脊髄液検査が必要だった。今回ロンドンで発表されたデータは、採血が同様の役割を果たし、本人が病気に気づく前に病理を捉えられる可能性を示唆している。
■AAIC 2026とJAMA掲載研究が示したデータ
2026年7月12日から15日までロンドンのExCeL Londonで開催されたアルツハイマー病協会国際会議(AAIC 2026)で、イーライリリーのシニアリサーチサイエンティスト、サマンサ・バーナム博士は、血漿中のp-tau217バイオマーカー検査が、アルツハイマー病病理を陽性と判定する「ルールイン」性能に優れ、アミロイド陽電子放出断層撮影(PET)に匹敵したとする研究結果を口頭発表した。重要なのは、この結果が、認知機能障害のない人、すなわち症状が全くない人にも当てはまった点である。
発表の抄録タイトルは「Blood Biomarker Assays Demonstrate Strong Rule-in Performance for Identifying Cognitively Unimpaired AD」で、会場S11において午前8時から8時45分まで行われた。これは、診断、治療、研究手法にまたがるイーライリリーの計16件の抄録のうち、同社の科学プログラムの柱となった3件の口頭発表の一つだった。
同時に、アルツハイマー病協会は、同日JAMAに掲載された別の研究に関するプレスリリースを発表した。この研究では、6つの主要なアルツハイマー病研究コホートに参加した、平均年齢70歳の認知機能障害のない成人2,705人のデータを分析した。平均追跡期間は約5年で、一部は10年以上に及んだ。その結果、p-tau217レベルが非常に高い健康な成人では、10年以内に認知機能障害へ進行するリスクが約78%だった。認知機能障害には、軽度認知障害(MCI)、認知症、または臨床認知症評価尺度(CDR)0.5が含まれる。5年以内に進行する確率も約3分の1だった。
p-tau217レベルが平均をわずかに上回る程度でも、無視できないリスクが示された。この層では、認知機能障害へ進行するリスクが5年以内で15%、10年以内で45%だった。
■p-tau217とは何か、なぜ血液から検出できるのか
通常のタウは、神経細胞内で栄養や信号を輸送する「レール」の役目を持つ微小管を安定させる構造タンパク質である。しかしアルツハイマー病では、認知症状が現れる何年、場合によっては何十年も前から、異常に折りたたまれたタンパク質の塊であるアミロイドベータ・プラークが脳内に蓄積し始める。これが一連の反応を引き起こし、タウのスレオニン217を含む特定部位に化学基が結合する異常なリン酸化が生じる。
過剰にリン酸化されたタウは微小管から外れ、神経細胞内で凝集して神経原線維変化を形成し、最終的に細胞死に関与する。その断片は脳脊髄液へ漏れ出し、さらに少量が血液中へ移行する。したがって、血液中のp-tau217濃度は、脳内のアミロイド蓄積量を間接的に反映する分子指標となる。アミロイドプラークが形成されると血液中のp-tau217が上昇し始め、場合によってはアミロイドPET検査で脳の変化を捉えられるようになる前から上昇する。
2025年に学術誌『Alzheimer's & Dementia』に掲載された、30研究を対象とする系統的レビューおよびメタアナリシスでは、血漿p-tau217はアミロイドPET陽性の検出において、約82%の感度と86%の特異度を示した。これは、実際に陽性の100人中82人を正しく陽性と判定し、実際に陰性の100人中86人を正しく陰性と判定したことを意味する。『Lancet』に掲載された、113研究、約3万人を対象とする別のメタアナリシスでは、p-tau217はアルツハイマー病の血漿バイオマーカーの中で最も高い性能を示し、統合感度、統合特異度ともに88%を超えた。
p-tau217単独よりも、p-tau217とアミロイドベータ42の比率を用いた方が高い性能を示すことがあるのは、その仕組みに理由がある。アミロイドベータ42は、より短く、アミロイドを形成しやすい型である。脳内でアミロイドプラークが形成されると、アミロイドベータ42がプラークに取り込まれるため血中濃度が低下する一方、p-tau217は上昇する。2つのバイオマーカーが反対方向に動くため、比率にすることで双方の変化が診断シグナルとして強調される。
■高額な脳スキャンに代わる可能性
今回のデータが重要なのは、比較対象であるアミロイドPET検査にインフラ上の制約があるためだ。アミロイドPETでは、脳内のアミロイドプラークと結合する放射性トレーサーを注射し、プラークが集積している場所を画像化する。この検査は、認知症状が現れる何年も前からアルツハイマー病病理を検出でき、症状出現前の病理検出における現在の臨床的なゴールドスタンダードとされる。
問題は、検査に必要な設備である。アミロイドPETには、半減期が数分から数時間しかないサイクロトロン製造の放射性トレーサー、核医学部門、PETスキャナー、結果を読影する訓練を受けた放射線科医が必要となる。こうした資源は、主に富裕国の大学病院などに地理的に集中している。米国では、患者の自己負担額がかつて1回3,000ドル(約48万6,000円、1ドル=162円換算)以上に達することもあった。メディケアは2023年10月にアミロイドPETの適用範囲を拡大したが、地域や検査能力の制約は依然として大きい。
血液検査には、こうした設備は必要ない。p-tau217の検査では、中央検査施設にすでに設置されている全自動免疫測定装置を利用でき、必要なのは通常の静脈採血だけである。理論上は、地域検査ネットワークを通じて、米ミネソタ州の地方部、サハラ以南アフリカの遠隔地、東南アジアの郊外などのプライマリケア施設にも、専門的な医療インフラを必要とせず、PETより低いコストで検査を届けられる可能性がある。
2025年に『Nature Medicine』に掲載された研究では、スウェーデン、スペイン、イタリアを含む4カ国の患者1,767人を対象に、ルミパルスp-tau217検査を検証した。アルツハイマー病病理を検出する受信者動作特性曲線下面積(AUC)は0.93~0.96で、正確度は専門医療機関で89~91%、プライマリケアで85%だった。
■無症状者における検査性能
症状のない人に対してどこまで正確に機能するかは、現在の重要な研究課題であり、今回のバーナム博士の発表が新たな証拠を加えた部分である。
バイオマーカー検査の性能には、陽性結果が疾患の存在をどの程度確実に示すかという「ルールイン」性能と、陰性結果が疾患の不在をどの程度確実に示すかという「ルールアウト」性能がある。イーライリリーのデータでは、認知機能障害のない人において、強いルールイン性能が示された。この集団は、認知機能障害を診断の手掛かりにできず、生物学的シグナルもより微弱であるため、研究が難しい。
この特徴は、研究者らが構想する段階的検査モデルで重要になる。まず血液検査を行い、その結果から追加調査が必要と判断された人に対して、アミロイドPETまたは脳脊髄液(CSF)検査を実施して確認する2段階の流れである。
バナー・アルツハイマー研究所のマイケル・マレク=アフマディ博士らが主導し、『Neurology Today』で取り上げられた先行研究では、血漿p-tau217を単独検査として使用した場合、認知機能障害のない高齢者のアミロイド陽性を81%の正確度で検出した。効果量はHedgesのg=1.50で、統計学上「大きい」とされる一般的な基準の約2倍だった。確認のためのPET検査を組み合わせると、両検査による正確度は約91%へ上昇した。
マレク=アフマディ博士らの研究チームが述べたように、血漿p-tau217は、臨床医が長年必要としてきた集団規模の段階的スクリーニングにおいて、最初の検査として機能する可能性がある。
■脳の「コレステロール値」になるか
同日JAMAに掲載されたバックリー氏らの研究は、診断性能とは別に、将来のリスクを数値化するという重要な側面を加えた。
研究を率いたマス・ジェネラル・ブリガム神経科学研究所の研究担当副所長で、ハーバード大学医学部神経学准教授のレイチェル・F・バックリー博士は、「今回の知見は、p-tau217レベルの上昇が、目立った記憶や思考の問題がない成人でも、何年も前から認知症リスクを検出するのに役立つ可能性を示す、これまでで最も明確な証拠の一つだ」と述べた。
同研究所とハーバード大学医学部に所属する上席著者のレイサ・スパーリング博士は、「症状が現れる前に治療を始めれば認知機能低下を防げるという明確な証拠が現在の臨床試験から得られれば、この情報は一層重要になる可能性がある」と付け加えた。
アルツハイマー病協会の最高科学責任者であるマリア・C・カリーロ博士は、「これはアルツハイマー病ケアの未来であり、記憶の問題が現れる前の静かな段階を含め、疾患の最も早い段階を標的とするものだ」と述べた。
研究者らは明言を避けて慎重な姿勢を保っているが、今回の知見は、p-tau217が循環器医療におけるコレステロール値や血圧のような役割に近づいている可能性を示唆する。つまり、病気になる前に将来のリスクを血液中の数値として示し、将来的には予防的治療を検討する根拠となる可能性がある。総コレステロール値が示された人が、その時点ですでに心筋梗塞を起こしているとは限らない。同様に、p-tau217が非常に高い人が、その時点ですでに認知症を発症しているとは限らない。それでも、いずれも将来のリスクを数値化できる点に意義がある。
2026年2月に『Nature Medicine』に掲載されたピーターセン氏らの先行研究では、ワシントン大学セントルイス校とFoundation for NIH Biomarkers Consortiumのデータを基に「p-tau217クロック」モデルを構築した。このモデルは、1回の血液検査から、その人のp-tau217が上昇し始めた年齢を推定し、症状が現れるおおよその時期を予測する。p-tau217が60歳で上昇した人は約20年後、80歳で上昇した人は約11年後に症状が現れる可能性があると推定された。
■現時点で検査ができないこと
ロンドンでこのテーマについて発言した専門家は、共通する注意点を挙げた。無症状者でp-tau217が陽性だったとしても、現時点では、その結果に対応する明確な臨床上の行動指針がないという点である。
認知機能障害のない人を対象とするアルツハイマー病の血液バイオマーカー検査は、現在、臨床使用を承認されていない。アルツハイマー病診断の規制枠組みは、認知症状、または少なくとも軽度認知障害がある人を中心に構築されている。この集団では、FDAが承認した2つの抗アミロイド治療薬が利用できるため、早期診断が明確な治療上の利益につながり得る。
米国では、2025年5月、富士レビオ・ダイアグノスティックスが製造する「Lumipulse G pTau217/β-Amyloid 1-42 Plasma Ratio」が、症状のある55歳以上の成人を対象とする初のアルツハイマー病診断用血液検査としてFDAの認可を受けた。2025年12月には、ロシュの「Elecsys pTau181」が、プライマリケアでアルツハイマー病病理を除外する目的の検査として認可された。いずれも、症状が現れる前のスクリーニングを目的とした認可ではない。
2026年初めには、比率が誤って高くなり、過剰な陽性または判定保留が生じたとの報告を受け、FDAがルミパルスの特定の試薬ロットに関するクラスIIリコール情報を掲載した。認可された検査であっても、継続的な品質管理が必要であることを示す事例である。
制度上の障壁もある。米国のメディケアは現在、症状出現前のスクリーニングを目的とするアルツハイマー病血液検査をカバーしていない。連邦法では、メディケアが予防サービスをカバーできるのは、議会が個別に認めた場合か、米国予防医学専門委員会(USPSTF)が推奨した場合に限られる。症状が重くなる前のバイオマーカー検査をメディケアの対象にできるようにする「アルツハイマー病スクリーニング・予防法案(ASAP法案)」は、2026年半ば時点で米議会に係属している。
■検査に関係する人はどれほど多いのか
研究が急がれる背景には、世界的な疾病負担がある。現在、世界では約5,500万人がアルツハイマー病の影響を受けており、高齢化に伴って2030年には7,800万人に達すると予測されている。米国では現在、700万人を超える人がアルツハイマー病とともに暮らしており、2050年には約1,300万人に近づくと見込まれている。米国におけるアルツハイマー病関連の年間医療・長期介護費用は、2026年に4,000億ドル(約64兆8,000億円、1ドル=162円換算)を超えると予測されている。
アルツハイマー病協会が引用した調査によると、米国人の約5人に4人は、症状が現れる前にアルツハイマー病であるかどうかを知りたいと回答した。症状出現前の検査に対する需要は存在する。一方で不足しているのは、認可された臨床経路、保険適用、そして最も重要な点として、無症状の段階で陽性となった人に利益をもたらすことが証明された疾患修飾治療である。
現在、アミロイド値が上昇している認知機能障害のない成人を対象にレカネマブを検証する「AHEAD 3-45」試験や、血漿p-tau217で参加者をスクリーニングするイーライリリーのドナネマブ試験「TRAILBLAZER-ALZ 3」など、複数の予防試験がこの証拠の構築を目指している。
■現在利用できる検査と臨床上の留意点
現在、症状のある患者に対する臨床使用がFDAに認可されている血液検査は2つある。専門医療向けとして2025年5月に認可された富士レビオの「Lumipulse G pTau217/β-Amyloid 1-42 Plasma Ratio」と、プライマリケアでの除外目的として2025年12月に認可されたロシュの「Elecsys pTau181」である。いずれも健康な人のスクリーニング用ではない。アルツハイマー病協会が2025年7月に発表した臨床診療ガイドラインでは、アルツハイマー病が疑われる人の診断手順の一部として、専門医療の場で血液バイオマーカーを使用することを推奨している。
研究者らは、p-tau217の結果を臨床像全体と併せて解釈する必要があるとも警告している。年齢、腎機能、APOE ε4遺伝子型、人種・民族的背景は、いずれもバイオマーカー値に影響する可能性があり、単一の結果を解釈する際に考慮しなければならない。アルツハイマー病協会のガイドラインも、血液検査の結果を単独で使用せず、臨床評価や、必要に応じた確認検査と統合する必要があると強調している。
ハッケンサック大学医療センターの記憶障害・脳健康センター共同ディレクター、マニシャ・パルレカル氏は、新たに登場しつつある検査について、「認知機能が健康な人のアルツハイマー病素因を1回の血液検査で検出できることには、大きな可能性がある」と述べた。一方、無症状の成人に臨床導入するには、規制の明確化に加え、その集団に利益があると証明された有効な治療法が必要だと付け加えた。
■イーライリリーのAAICプログラムと今後の治療
AAIC 2026におけるイーライリリーのp-tau217診断研究は、同社の治療研究と併せて位置づけられた。バーナム博士の発表と同じ日には、新規研究を扱うセッションで、イーライリリーのFDA承認済み抗アミロイド抗体薬「Kisunla(ドナネマブazbt)」に関する新たな臨床データが発表された。これには、TRAILBLAZER-ALZ 6試験の新たな知見と、調整された用量漸増法による安全性を扱ったTRAILBLAZER-ALZ 2試験の長期延長データが含まれた。
イーライリリーのポスター発表では、「血漿p-tau217高値を予測するリスクアルゴリズム」も取り上げられた。採血を指示する前の段階で、誰を検査対象とすべきかを判断する予測モデルを同社が開発している可能性を示す内容である。
抗アミロイド抗体レカネマブ(製品名レケンビ)が50カ国以上で承認されているエーザイは、AAIC 2026で50件を超える抄録を発表した。治療時の投与を簡略化できる可能性がある皮下投与製剤に関する新たな証拠や、別の治療標的となる抗タウ抗体「etalanetug」の初期データなどが含まれた。
AAIC 2026において、症状出現前の高精度な血液検査と、成熟しつつある疾患修飾治療が同時に示されたことは、この分野が20年以上にわたり目指してきた方向を反映している。症状が現れる前に疾患を検出する手段と、まさにその段階で最も効果を発揮する可能性がある治療を組み合わせるという方向である。
■無症状でも今すぐ検査を受けられるか
米国では、通常の臨床経路を通じて検査を受けることはできない。現在認可されているアルツハイマー病血液検査の対象は、すでに認知機能低下の兆候または症状がある成人に限られる。その集団であっても、認可された検査の結果だけでアルツハイマー病と診断することはできず、臨床評価やその他の検査と組み合わせる必要がある。
認知機能が健康な成人がp-tau217検査を受けられる現在の手段は、臨床研究への参加である。TRAILBLAZER-ALZ 3やAHEAD 3-45など、複数の大規模予防試験が、リスクの高い参加者を特定するためにp-tau217スクリーニングを利用している。こうした情報に基づいて今すぐ行動したいと考える健康な成人にとって、試験への参加は具体的な選択肢の一つとなる。
イーライリリー、アルツハイマー病協会、研究コミュニティーは、今回の知見を、将来、専門的な画像検査に代わる、拡張性と利用しやすさを備えた選択肢につながる可能性を支える研究上の節目として慎重に位置づけている。これは、科学的な可能性と、承認を経た臨床導入との間に隔たりがあることを認めた表現である。
その隔たりは、研究成果を否定するものではない。強力な診断手段と有効な治療法は別のものである。症状出現前の血液検査から最も大きな利益を得られるのは、陽性結果の後に明確な次の手段が用意される患者であるという、この分野がこれまでの経験から学んできた現実を反映している。
■注目ポイントQ&A
●症状が全くない状態でも、血液検査でアルツハイマー病を検出できますか?
研究では、「p-tau217」と呼ばれる血液バイオマーカーによって、記憶や認知機能の症状が現れる何年、場合によっては何十年も前から、脳内のアルツハイマー病に関連するタンパク質変化を捉えられる可能性が示されています。イーライリリーはAAIC 2026で、p-tau217検査が、症状のない成人でもアミロイドPET検査に匹敵する強いルールイン性能を示したと報告しました。ただし、アルツハイマー病の血液検査がFDAに認可されているのは、すでに認知機能低下の兆候がある人に対してのみです。健康な無症状者の検査は標準的な臨床診療にはなっておらず、現在は臨床研究に限られます。
●p-tau217とはどのような物質で、従来の検査と何が違うのですか?
p-tau217は、タウタンパク質の特定部位であるスレオニン217が異常にリン酸化されたものです。この変化は、アルツハイマー病の特徴であるアミロイドプラークが脳内に蓄積することで引き起こされます。過剰にリン酸化されたタウの断片は脳脊髄液を経て血液中に移行するため、通常の採血で測定できます。記憶検査やMRIが、最終的に生じる認知機能や脳構造の変化を調べるのに対し、p-tau217検査はアルツハイマー病の基礎にある生物学的変化を測定します。核医学施設を必要とするアミロイドPET検査と異なり、標準的な検査施設の設備で、より低コストに処理できる可能性もあります。
●血液中のp-tau217が高いのに症状がない場合、どうすればよいですか?
無症状者に対するアルツハイマー病血液検査は一般的な臨床使用を認可されておらず、標準的な対応方針も確立されていません。単一のバイオマーカー結果は、年齢、APOE ε4などの遺伝的要因、腎機能、臨床像全体と併せて解釈する必要があります。無症状者の陽性結果は、将来必ずアルツハイマー病を発症することを意味しません。また、真に無症状の人に利益があると証明されたFDA承認済み治療法もまだありません。現時点で考えられる具体的な対応は、神経内科医に研究の現状を相談し、p-tau217で高リスクの参加者を特定するアルツハイマー病予防試験への参加について尋ねることです。
●アルツハイマー病の血液検査に米国のメディケアは適用されますか?
メディケアは、FDAの認可条件に該当する症状のある患者に対し、認可済みのアルツハイマー病血液検査をカバーしています。一方、症状が現れる前のスクリーニングを目的とする血液検査は、現在カバーしていません。症状が重くなる前のバイオマーカー検査をメディケアの対象にできるようにするASAP法案は、2026年半ば時点で米議会に係属しており、成立していません。
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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