Netflixと東宝が初タッグ、ヨン・サンホ脚本のSFドラマ『ガス人間』が配信開始

2026年7月3日 23:16

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記事提供元:Tech Times

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Netflixと東宝が初めてタッグを組んだ全8話のSFドラマシリーズ『ガス人間』が、2026年7月2日(木)午後4時(日本時間)より世界一斉配信された。本作は、映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』で知られる韓国のヨン・サンホが脚本・製作総指揮を務め、映画『ガンニバル』の片山慎三が監督を担当。東宝が1960年に制作した特撮カルト映画『ガス人間第一号』を現代的な視点で大胆にリブートした作品として注目を集めている。

■予告された連続殺人:1960年版から2026年版への変貌

物語は、環境エネルギーの専門家である佐野教授(モーリー・ロバートソン)が、テレビの生放送中に突如爆発するという衝撃的なシーンから始まる。その後、都内の報道機関に「ガス人間」と名乗る若い男からのビデオメッセージが届く。モデルの内田雅楽(Uta)が俳優デビュー作として演じるこのガス人間は、教授の死は始まりにすぎず、今後も計画的に殺人を実行すると予告する。

この事件の捜査に挑むのは、停職処分中の刑事・岡本(小栗旬)と記者の京子(蒼井優)。さらに、ライブ配信を行う兄妹のカホ(広瀬すず)とフジタ(林遣都)、そして何かを隠し持つ元ヤクザの企業社長(竹野内豊)らが複雑に絡み合っていく。

本田猪三郎監督が手掛けた1960年のオリジナル版『ガス人間第一号』では、マッドサイエンティストの実験によってガス人間となった図書館員の水野が、愛する舞踊家のために銀行強盗を繰り返すという、近松門左衛門の心中物に通ずる悲恋の物語として描かれていた。特撮の神様である円谷英二は、ワイヤーやドライアイスの煙、光学合成を駆使してガス人間の表現を生み出し、この技術は後の『ウルトラQ』や『ウルトラマン』へと受け継がれた。

一方、2026年版のリブートでは、ガス人間を「社会的弱者を利用し、使い捨てにした秘密プロジェクト」の犠牲者として再定義している。これまでも『新感染』のゾンビパニックにおける階級闘争や、『地獄が呼んでいる』におけるイデオロギー装置など、組織が人間を消費していく構図を描いてきたヨン・サンホは、本作でもその手腕を発揮している。ここでは、モンスターそのものではなく、モンスターを生み出した社会システムこそが真の恐怖として描かれる。

■「ガス化」の科学:細胞生物学の最前線「LLPS」との関連性

人間が気体になるという設定は、単なる荒唐無稽なファンタジーではない。現在の科学では説明できないスケールではあるものの、細胞生物学の最前線である「液―液相分離(Liquid-Liquid Phase Separation:LLPS)」という実際の現象から着想を得ている。

生体細胞は、日常的な機能としてマイクロスケールでの制御された相転移を行っている。タンパク質や核酸が自発的に分離し、膜を持たない構造体(ストレス顆粒など)を形成するこの現象は、水と油が分離する物理現象と同じ原理であり、がんやALS(筋萎縮性側索硬化症)、アルツハイマー病との関連性について『Nature』や『Science』、『Cell』などの主要科学誌で活発に研究されている。

ただし、これを体重約70キログラムの人間スケールで実現するとなると、現在の科学では不可能な障壁が存在する。標準的な熱力学条件下で人体を気化させるには、水分の気化熱だけで約9万5000キロジュールの膨大なエネルギーが必要となり、タンパク質や脂質を気化させるにはさらに高い温度が必要となるため、実際には気化する前に熱分解してしまう。さらに困難なのは「再構成(元の姿に戻ること)」であり、37兆個に及ぶ細胞の正確な位置や遺伝情報を、拡散した気体から完全に復元することはエントロピーの法則に反する。本作では、標準的な生化学を超えた分子間結合や、構造情報を気体全体に分散して保持するホログラムのような架空のメカニズムが前提となっている。

■『ゴジラ-1.0』の白組が魅せるVFXと、史上初の東京駅前封鎖

この「ガス化」の映像表現を担当したのは、映画『ゴジラ-1.0』(2023年)で第96回アカデミー賞視覚効果賞を受賞した「白組」だ。同作でオスカー像を手にした高橋正紀がVFXスーパーバイザーを務め、伝統的な特撮の精神を受け継ぎながら、現代のCGIと実写を融合させたハイクオリティな映像を作り上げた。

本作の制作規模は日本のテレビドラマとしては異例であり、1000箇所以上の候補地から選ばれた約120箇所でのロケ、約8ヶ月に及ぶ本編撮影が行われた。特に歴史的な快挙となったのは、経済産業省や内閣府との1年半にわたる交渉の末に実現した、史上初となる「東京駅前エリアの完全封鎖」による撮影だ。この場所で、警察、メディア、裏社会、そしてライブ配信者たちの思惑が衝突する総力戦のクライマックスが描かれる。

■ヨン・サンホ監督が継承する「変身人間」の系譜

東宝の「変身人間シリーズ」(『美女と液体人間』『電送人間』『ガス人間第一号』)は、広島・長崎の原爆投下や1954年の第五福竜丸の被爆といった、核への恐怖や科学技術への不安という時代背景から生まれた。2026年版の『ガス人間』は、この系譜を受け継ぎつつ、現代の「監視資本主義」や「使い捨てにされる個人」というテーマへとアップデートしている。

共同脚本には、ヨン・サンホ監督と『寄生獣 -ザ・グレイ-』(2024年)でもタッグを組んだリュ・ヨンジェが参加し、韓国のジャンルストーリーテリングの感性を日本のIPに注入した。さらに、限界集落での暴力を生々しく描いた『ガンニバル』の片山慎三監督が、人間ドラマとスペクタクルな恐怖を絶妙なバランスでまとめ上げている。海外の先行レビュー(South China Morning PostやJoBloなど)でも、1960年のオリジナル版が持っていたエモーショナルな要素を継承しつつ、現代的なスリラーとして昇華させた点が高く評価されている。

■注目ポイントQ&A

●Netflixでの配信開始日と話数は?

全8話の『ガス人間』は、2026年7月2日(木)午後4時(日本時間)より、Netflixにて世界一斉に全話一挙配信されました。

●映画『新感染』とストーリー上のつながりはありますか?

ありません。『新感染』のヨン・サンホ監督が脚本と製作総指揮を務めていますが、ストーリーは完全に独立した東宝の1960年版映画『ガス人間第一号』のリブート作品です。

●ガス人間の能力は科学的に可能ですか?

現実の熱力学や物理法則では、人間の体を気化させて元に戻すことは不可能です。ただし、細胞生物学における「液―液相分離(LLPS)」という実在の現象から着想を得ており、完全なファンタジーではなく科学的な知見に基づいた設定が取り入れられています。

●1960年のオリジナル映画を事前に観ておく必要はありますか?

その必要はありません。2026年版は完全な再構築(リブート)作品として作られており、予備知識がなくても一から楽しめる独立したストーリーとなっています。

元記事: Human Vapor Hits Netflix Tomorrow: Train to Busan Writer Revives Toho’s Sci-Fi

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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