小野社長は強気姿勢崩さず、中計も上方修正 信越ポリマーとどう向き合うか

2025年12月9日 13:40

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 信越ポリマー(7970、東証プライム)。信越化学系。半導体ウェハの容器が主。車載用タイムスイッチ・OA機器用部品。

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 11月17日、『中期経営計画更新に関するお知らせ』と題するニュースリリースを目にしたのが覗き込んでみようと考えたキッカケだった。至2030年3月期の中計を具体的には「売上高1500億円、経常利益200億円」に引き上げるというものである。

 加えて興味を覚えたのは、前提となる米ドルレートを25年3月期実績1ドル:151・6円のところ、1ドル:140円と、円高としている点だった。

 業態柄、経済情勢に影響を受ける。21年3月期は「4.2%減収、6.9%営業減益」となった。決算資料は「新型コロナウィルス感染症拡大の影響による半導体業界や電子部品業界向けの落ち込みは殆どなかったが、自動車関連分野の需要低迷で、全体として・・・」と説明している。

 がその後は総じて堅調。前3月期までの推移は「20.5%増収、34.8%増益」-「16.9%増収、31.0%増益」-「3.6%減収、13.3%減益」-「5.9%増収、20.1%増益」。配当も20円配から52円配に積み重ねられている。そして今3月期は「2.6%増収(1135億円)、4.7%増益(139億円)、8円増配60円配」計画。第2四半期実績はそれぞれ計画比5割を超えている。

 今期第2四半期の決算説明会で小野義昭社長は、今後の見通しについて「中計の折り返しである当中間期を機に、23年5月に発表した中計の更新を行った。AI関連以外の停滞感が見られるが・・・いずれかの時点で半導体デバイスの需要が好転・・・EV販売に関する各国の政索転換により足元で減速感が見られるがバッテリーの性能向上で将来的には本格普及に至ると見ている」と、前向きな姿勢を公にした。経過を見守りたいと思うが・・・

 株主還元策では引き続き前向きな姿勢を示している。更新した中計でも「配当性向50%~」としており、また10月24日~10月31日には「23万3100株/4億4300万円弱」の自己株取得を行っている。

 本稿作成時点の株価は1900円台トビ台。予想税引き後配当利回り2.5%余水準。全体相場の下落の中で1246円(4月7日)まで水準を下げたが、10月23日には1995円まで買い直され目下は押し目揉み合い場面。

 「半導体は産業のコメ」と言われて久しいが、2016年初値で買い現在まで保有していると修正済み株価パフォーマンスは2.9倍。この限りでは「資産形成株」と捉えることができるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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