年初来高値ゾーンも値幅妙味に? フランスベッドは「他を蹴散らしてでも」の社質に変身できるか

2025年12月3日 13:50

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 フランスベッドHD(7840、東証プライム市場)。ベッドなど介護・医療用品の製販・レンタルに注力している。

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 手元の会社四季報:業績欄の見出しは【着実】。まさに言いえて妙。2021年3月期から前25年3月期の業績推移は、以下の通り。「売上高:前期並み、30.2%営業増益」-「3.7%増収、20.7%増益」-「7.6%増収、14.3%増益」-「0.9%増収、2.3%増益」-「2.3%増収、2.3%増益」。

 今3月期計画は「2.8%増収(623億円)、1.1%増益(47億5000万円)」。21年3月期の配当30円が今期予想で41円。確かに着実、である。至27年3月期の中計も「売上高650億円、営業利益54億2000万円」。24年3月期比「9.9%増収、18.2%増益」。

 が、本稿を書くに当たって覗いた資料には一抹の「?」を覚えた。

 国連では2050年の65歳以上のグローバル人口を、16億人と推定(全人口の約16%を占める)。「医療・介護用ベッド市場は、右肩上がりの推移」としている。

 対して矢野経済研究所では「23年度の福祉・介護用品(9分野)の国内市場は前年度比7.9%増:3623億9000万円、大人用紙おむつの急増が引き金」とした上で、「中長期的には横這い」と見通している。その理由を「介護保険制度のもと、支出には抑制がかかる」としている。介護保険金支出には「歯止めを」という傾向は確かに強まっている。

 競争状況が・・・というわけだが、フランスベッドHDの上半期はおおおうにして「スロースターター」。今3月期も上半期は「前年同期比売上高横這い、2%余の増益」と、担当アナリストからは「社の体質が首をもたげるのか、同業他社を蹴散らしてというのがもどかしい」とする見方が聞かれる。

 1983年に日本初の療養ベッドレンタル、で立ち上がった。1949年に車両シートの製造に着手。1955年には日本の住宅事情を考えた「分割ベッド(昼はソファ/夜はベッドの二刀流)」と、「日本初」に輝きを持っている。

 今後を考える時、アナリスト達は「(矢野経済研究所が指摘するように横這い成長が強いられる以上は)戦略の再構築が不可欠」とする。

 前記の中計では介護・医療事業で「M&A」戦略を打ち出している・・・

 フランスベッドHDの株価は1300円台前半。3月に1358円をつけた後、全体相場の下落を受け年初来安値1110円(4月)まで急落後、徐々に切り返し11月26日1360円後の高値ゾーン。が、値幅妙味に乏しいのが実態。対応するなら読者諸氏のご判断で・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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