【編集長の視点】松田産業は過去最高純益へ増額修正、貴金属高騰で通期見通しを強化

2025年11月14日 08:31

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■業績上方修正・増配見直して押し目買い交錯

 松田産業<7456>(東証プライム)は、前日13日に15円安の4385円と変わらずも含め5営業日ぶりに反落して引けた。同社株は、今年11月4日に上方修正した今2026年3月期第2四半期(2025年4月~9月期、2Q)累計決算を発表したが、米国の政府機関閉鎖解除で米経済の下ぶれリスクなどの不透明材料が解消し、逆にニューヨーク商品取引所の金先物価格の安全資産買いが後退するケースも想定されるとして利益確定売りに押された。ただ、この日の取引時間中の安値4305円からは小戻して引けており、今期2Q累計業績と同時に3月期通期業績を上方修正し配当も増配したことを見直し押し目買いも交錯した。

■貴金属相場高騰で販売価格が上昇し3期ぶりの過去最高純益の更新幅を拡大

 同社の今3月期通期業績は、期初予想より売り上げを600億円、営業利益と経常利益を19億円、純利益を15億円それぞれ引き上げ、売り上げ5500億円(前期比17.3%増)、営業利益154億円(同21.5%増)、経常利益162億円(同19.8%増)、純利益115億円(同21.6%増)と続伸を見込み、純利益は、2023年3月期の過去最高(96億9600万円)を3期ぶりに更新する更新幅を拡大させる。電子デバイス分野の生産状況が緩やかに回復し、宝飾分野では買取市場を中心に好調に推移し貴金属相場の高騰で販売価格が上昇したことが要因となった。ただ貴金属相場の下半期の動向は、不透明として下半期業績は期初予想を据え置き、2Q累計業績の上方修正分だけを通期業績に上乗せするだけにとどめた。今期通期の国内金小売価格は、期初に1グラム=1万3540円と想定しており、足元では店頭価格は2万3000円台で高値推移しているだけに業績再上ぶれ期待も高まってくる。

 配当は、株主資本配当率(DOE)1.5%以上を目安とする配当政策に従って増配し、期初予想の年間90円(前期実績75円)を100円に引き上げ、8期連続の増配の増配幅を拡大させる。

■金先物価格の動向を織り込む三角保ち合いからPER9倍の割安修正に再発進

 株価は、前期業績の上方修正や増配、今期業績の過去最高純益更新予想、連続増配などへの高値反応は一過性にとどまったが、昨年10月に米国のニューヨーク商品取引所の金先物価格が一時、1トロイオンス=4314.7ドルと史上最高値を更新したことを手掛かりに下値を切り上げ、上場来高値4555円まで買い進まれた。この金先物価格は、その後高値調整入りとなり同社株も4030円と4000円台を試す調整が続き、25日線を出没する三角保ち合いを続けてきた。今回の業績上方修正では、PERは9.8倍と割安となるだけに目先の金先物価格の動向を織り込む三角保ち合いを続け、いずれ上場来高値奪回に再発進しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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