物言うファンドと真正面から対峙する:あすか製薬HD株と、どう立ち向かうか

2025年7月30日 09:11

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 あすか製薬HD(4886、東証プライム市場)の事業内容を、前2025年3月期決算(2.1%増収、18.0%営業減益、15円増配55円配)から紐解いてみる。「毎年の薬価改定・医療費抑制」は医薬品業界に共通した、今や定め(?)故、脇に置く。

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 『医薬品事業』: 内科・産婦人科・泌尿器科が3本柱。

 <内科>: 甲状腺ホルモン剤チラージン(前年比3・2%増収)、難吸収性リファマイシン系抗菌剤リフキシマ(10・1%増収)が好調。

 <産婦人科>: 22年6月販売開始の月経困難症治療薬ドロエチ(22.5%増)が大幅な売り上げ増。

 <泌尿器科>: マイクロカプセル型徐放性製剤が(9.6%減収)。

 結果、「売上高1.1%、営業利益17.0%減益」。

 『アニマルヘルス事業』: 肥料添加物が増収に転じ、かつ動物医薬品が順調。「8.7%増収53.7%営業増益」。

 『その他事業』: 医療機器などの事業。45.8%増収も1億2500万円損失。

 24年3月期は「3.9%増収、27.3%営業増益、24円増配40円配当」。そして今26年3月期は「16.9%の増収(750億円)、27.5%の営業増益(68億円)、55円配」計画。

 手元の四季報は【急改善】の見出しをつけているが、前期決算に際しあすか製薬HDでは「2022年3月期にスタートした中計で26年3月期に、売上高700億円/営業利益率8%を掲げており」としている。

 今期が計画通りの着地なら「予定通り(順調な)推移」と捉えるべきだろう。ベトナム製薬の子会社化に見て取れるように、海外戦略も着実な歩みを示している点も注目に値する。また「資本コストや株主対応を意識した経営」を公にし「業績連動型利益配分方式への変更」を掲げ、「配当性向30%目安」としている。

 内包されている課題に対しあすか製薬HDは、こう語る。

 「ドロエチは年内に後発品が市場に生まれてくるが、参入を想定した計画を立てており上振れ余地もある」。

 「(ダルトン・インベストメンツ、など物言う株主が20.5%近い株式を保有していることに関し)提示される懸案に応じ、遣り取りは行っていく」。対して武田薬品/ゼリア新薬など「密な関係」とされる企業の持株については「武田薬品は商品の流通面で良きパートナー」とする。

 特化型商品の展開が主要な要因と捉えることができるが、中長期の株価動向は堅調。

 本稿作成中の株価は2400円台前半(予想税引き後配当利回り2%余)、上場(21年4月)後の修正済み株価パフォーマンスは60%水準。「優良健康法人2025」で「ホワイト500」に選出されている企業の投資にどう向き合うか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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