名鉄と密接、好パフォーマンスな矢作建設工業株との取り組み方

2025年7月8日 08:57

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 矢作建設工業(1870、東証プライム市場)。名古屋エリアの建築業大手。民間建築主体。発行済み株式の19%近くを保有する筆頭株主:名鉄と密接。

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 1949年設立。人間で言えば。後期高齢者組。が矢作建設は未だ「元気いっぱい」。至2026年3月期の中計に、それは読み取れる。「投資額約300億円」「配当性向30%以上」を掲げ、「売上高1300億円(21年3月期比22%増収)、営業利益100億円(36%増益)」を標榜している。老いて・・・失礼、ますます盛ん。

 前期までの4期間を振り返っても22年3月期こそ、コロナ禍の影響で「12.7%減収、16.2%営業減益」を余儀なくされたが以降はこんな展開。「19.4%増収、16.9%営業増益/7.8%増収、31.9%増益/17.4%増収、9.0%減益」。21年3月期に34円だった配当は連続増配80円配に至っている。

 そして今3月期は「19.4%の増収(1680億円)、15.5%の営業増益(100億円)、10円増配90円配」計画。予想通りに着地すれば前記の中計に対し「売上を380億円方上回り、営業利益は計画通り」となる。

 矢作建設に着目したキッカケは、週刊不動産経営という専門週刊紙の記者が書いた記事を読んだことだった。100%子会社に矢作ビル&ライフがある。愛知県を中心にビル・マンション・商業ビル・教育施設など建物の総合管理/リニューアル・リノベションン・耐震補強などの改修工事を手掛けている。

 読んだ記事は来年9月頃に完成を予定している、保有する矢作豊田ビル(名古屋市)のリニューアル工事に関するものだった。詳細は省くが外装(外観)が大きく変わる、という件。

 外観をどうするのかは、「社内投票」で決められるという。リニューアルに関わったプロジェクトチームのスタッフは、投票にはノータッチ。外観候補を3つ提示するだけ。社内の若手や女性スタッフ、全社員の3分の1が「これがいい」と投票。結果、最多投票数を得た外観候補が「当選⇔実装」される。矢作建設工業グループの建設/管理の原点を覗き見た感じを得た。

 矢作建設の株価は、本稿作成時点で1700円台前半。予想税引き後配当利回り4.15%。PBR1.08倍と1株当たり純資産を、しっかりと上回っている。4月安値:1170円から買い直され7月高値:1800円をつけ、高値ゾーンで揉み合う展開。過去9年余の修正済み株価パフォーマンスは2倍強。株式分割や自社株消却などの株主還元策の継続策が見て取れる。中長期保有の姿勢が肝要か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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