割安航空券予約サイト:アドベンチャー、旅工房M&Aの意図

2025年5月13日 08:32

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 アドベンチャー(6030、東証グロース市場)。割安航空券チケットの予約サイト「スカイチケット」を運営。ホテル予約サイトも併営。

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 今回、アドベンチャーを覗いて見ようと思ったキッカケは二つ。遠因は2023年10月に、同業の旅工房(6548、東証グロース市場)の第三者割当増資を引き受け完全子会社化したこと。一つは好転基調を示している収益動向。

 旅工房に惹かれたのは、独特なビジネスモデルだった。海外旅行を軸に旅行エリアごとに、旅のよろず相談役:コンシェルジュが配置されていた。担当エリアに関しては済み済みまで精通しており、「行って帰ってくるまで」の全てが直接の遣り取りで決められていった。コンシェルジュ出身だという女性広報担当との間で、「夢のような仮想旅行」を楽しんだ。

 が時の経過/日本経済の衰退とともに、収益は奈落の底へ落ち込んでいった。今もって、赤字状態を脱せずにいる。

 そんな旅工房がアドベンチャーの完全子会社に、という報に接しピンとくるものを感じた。アドベンチャーとて「旅」関連の事業主。2021年6月期はコロナ渦に晒され、「大幅な減収・営業減益」に晒された。

 がその後も「69.9%増収、41.9%増益」「11.8%増収、46.6%減益」と波はありながらも、今期は計画に「4.5%~16.1%増収、35.3%~93.9%増収」と幅を持たせながらも第2四半期は「前年同期比21.8%の増収、37.9%増益」と、右肩上がりの収益状況を示している。

 かつ第2四半期に発信された「今後の見通し」では、こう発信している。「ツアー需要の高まり/旅行需要の回復に伴い、コンシューマー事業の収益の大幅改善が認められ・・・」。

 実はアドベンチャーでは旅工房の完全子会社化と同時に、アヤベックスの完全子会社化も実施している。外国人訪日旅行客に対する観光事業で実績を残している存在だ。並行し23年11月にはシンガポール子会社、24年9月には米国子会社も設立している。

 要するに事業の範囲を「海外、訪日外国人」にまで広げ、基盤の強化を図ろうという流れに取り組もうという姿勢と読み取れる。

 四季報は今6月期の営業利益を独自に3億5000万円増額、来期についても35億円(21%増益)と見込み「増配も」としている。

 本稿作成中の時価は3800円台終盤。年初来高値4195円(2月14日)から4月7日安値(2690円)まで下落した後の、戻し場面。M&Aが吉と出るか否か、見定めたい・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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