JR東日本、英国でのデジタル自販機ビジネスを拡大 ロンドン含む13都市へ

2022年6月1日 07:27

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英マンチェスターに設置された自動販売機(画像:JR東日本の発表資料より)

英マンチェスターに設置された自動販売機(画像:JR東日本の発表資料より)[写真拡大]

  • 自動販売機の展開エリアのイメージ(画像:JR東日本の発表資料より)
  • 展開する自動販売機のイメージ(画像:JR東日本の発表資料より)

 JR東日本は5月31日、英国でのデジタル自動販売機ビジネスを事業化し、設置エリアを拡大すると明らかにした。2019年以降、英国で実施してきたトライアル結果を踏まえ、ロンドンを含む13の主要都市に設置エリアを拡げる。設置は、鉄道や自動車の駐車場などの交通拠点を中心に行う。まずは50台規模で設置を行い、自販機による物販に加え、生活情報の配信や広告サービスなどを提供していくという。

【こちらも】JR東日本と三井物産、英国で旅客鉄道事業を開始 2026年まで運営権

 2019年7月のトライアルでは、JR東日本が運営に参画しているウェストミッドランズ旅客鉄道の鉄道駅にデジタル自販機を設置。2駅に計3台という規模から開始した。タッチ式のデジタルディスプレイに飲料や菓子類の画像を表示して販売し、支払いはクレジットカードやQRコードによる完全キャッシュレス。併せて、ディスプレイ上部には鉄道の運行状況を表示、タッチメニューでは路線図や周辺情報の確認も可能だ。

 鉄道駅での利用動向を受け、2020年11月には、タイムズパーキングなどの駐車場サービスを展開するパーク24の英グループ会社、NATIONAL CAR PARKS(NCP)と提携。ロンドン市内の4カ所の駐車場に1台ずつ設置してトライアルを行っている。

 駐車場のトライアルでは、ディスプレイ上部の表示は、施設周辺の道路混雑や事故情報とし、タッチメニューでは施設周辺地図を表示。NCPの専用アプリと連携した会員限定サービスや割引などで、利用促進の取組みも行っている。

 こうした流れの中で今回、JR東日本は英国でのデジタル自販機ビジネスの拡大を決定。自販機の物販サービスには、まとめ買いができる機能を設け、遠隔管理システムによってリアルタイムでの在庫や機体不具合の確認なども可能にした。

 情報配信では、各設置エリアの天気や交通情報など身近な情報を提供。ティスプレイに掲載されるサイネージ広告では今後、エリア周辺店舗のイベント情報などの掲載も検討しているという。

 JR東日本がウェストミッドランズ旅客鉄道の運営に参画したのは2017年12月。三井物産、オランダ国鉄の100%子会社であるアベリオUKと共同で、旅客サービス事業を運営している。鉄道路線長は899キロメートルで、駅は約170、乗客は年間約7,360万人という(2007年11月~約10年間の状況)。

 他方、NCPは1931年創業の老舗で、ロンドンなどの都市部や空港、駅などで駐車場を運営。駐車場シェアは英国内で約3割を占めるという。

 鉄道や駐車場といった交通拠点を足がかりとし、JR東日本は英国内にデジタル自販機設置を順次拡大していく方針。また英国での自販機ビジネスをきっかけに、今後は世界を舞台にライフスタイルの充実化につながるような事業開発を目指していくという。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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