スターツ出版、今年は過去最高決算を予想 書籍・コミックの発行、「オズモール」等を展開

2021年11月29日 11:23

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記事提供元:ログミーファイナンス

「総合生活文化企業」スターツグループの中の立ち位置

菊地修一氏(以下、菊地):スターツ出版の菊地でございます。どうぞよろしくお願いいたします。北海道生まれの北海道育ちで、趣味はアルパインクライミングです。新卒でリクルートに入り、20年間働きました。現在、スターツ出版で社長18年目です。

「感動プロデュース企業へ」をビジョンとする当社の事業内容および今後の事業展開について、ご説明させていただきたいと思います。

まず、私どもはスターツの一角ですが、スターツグループは「総合生活文化企業」で企業グループを形成しています。不動産業が核にはなるのですが、スライドの図のようにさまざまな事業を展開しており、弊社はその中でも文化部門を担当している位置付けだとお考えください。ビジョンは「感動プロデュース企業へ」です。

スターツ出版の事業領域

菊地:スターツ出版の事業領域は大きくわけて2つあります。1つ目は、出版社ですので、書籍を手掛ける書籍コンテンツ事業です。2つ目はメディアソリューション事業で、雑誌や「オズモール」というWebサイトを通じて、さまざまな事業を展開しています。

その中でも、「オズモール」の送客手数料ビジネスであるプレミアム予約事業、および雑誌やサイト、いろいろなイベントを使ったマーケットソリューション事業も展開しています。これが主な事業です。

過去5ヶ年の業績推移と今期予想

菊地:過去5年間の業績推移と今期予想です。スライドのグラフをご覧いただいてもわかるとおり、今期は過去最高の決算を予想しているということで、先般、上方修正しました。5年前からきれいな右肩上がりであり、昨年だけコロナ禍で一瞬大きく沈みましたが、今期に関しては再び復活し、順調に事業を拡大しています。

2021年 第3四半期決算

菊地:先般、第3四半期の決算を発表しましたが、売上高は前年同期比132.8パーセントの増収、営業利益は前年同期比6.5億円の増加です。コロナ禍前の2019年比でも、売上は109.1パーセント、営業利益は139.6パーセントで成長しています。

セグメントごとの経営成績

菊地:セグメントごとの経営成績です。メディアソリューション事業は「おでかけ支援」の領域のため、長引く緊急事態宣言の影響を受けて非常に大きく低迷しました。一方で、書籍コンテンツ事業は巣ごもり需要をカバーしているため、大きく伸長しています。

四半期/売上高推移

菊地:四半期の売上高推移を見てもわかるとおり、昨年の第2四半期、すなわち4月、5月、6月が緊急事態宣言で大きく落ちましたが、その後復活しました。昨年の年末は「Gotoトラベル」と「Goto イート」があったため、おでかけ需要も非常に旺盛になりました。

今年は、7月、8月、9月は緊急事態宣言の中でしたが、第1四半期・第2四半期・第3四半期と、足元はまたお客さまもだいぶ戻ってきています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):前期の「Gotoトラベル」と「Goto イート」により、足元では売上が好調ということですが、「Gotoトラベル」と「Goto イート」のうち、どちらのほうが売上の押し上げ効果があったのか教えてください。

また、その一方、コロナ禍での落ち込みは緊急事態宣言による自粛の影響だったと思うのですが、レストランとトラベルの悪影響がほとんどと考えてよいでしょうか? 

菊地:「Goto」に関しては、政府からの補助金額が非常に大きい「Gotoトラベル」が、「Goto イート」よりも大きく回復しました。さらに、「Gotoトラベル」「Goto イート」以外でも、全体的にテレワークが非常に推奨されたことで、都心の就労人口がかなり落ちました。

したがって、ビューティも含め、マーケティングソリューションビジネスでは、おでかけ需要を促進する販売促進の広告やイベントもほぼストップしたため、書籍事業以外は大きく痛手を受けたのが実情です。

四半期/営業損益推移

菊地:営業損益も売上に連動し、昨年第2四半期と第3四半期は大きく赤字を取りましたが、第4四半期に大きく復調しました。今年の第1四半期、第2四半期、第3四半期と堅調に利益を積み上げているところです。

貸借対照表

菊地:貸借対照表です。自己資本比率は81.5パーセントと無借金経営で、極めて健全な財務状況であるのではないかと思っています。利益剰余金も36億円を超えており、今後に関しては、現預金の活かし方に十分な余地があると感じています。

このコロナ禍の中、昨年の4月から5月くらいに、仮にこの状況があと2年から3年続き、売上がほとんど出なかったとしても、これだけの利益剰余金があれば、社員に給与をきちんと支払うこともできますし、会社を潰すことはまったくないと考えていました。この2年、まったく不安のない経営を行うことができています。

坂本:先ほどお話しいただいた高い自己資本比率は、確かにそうだと思っています。新型コロナウイルスが今後どうなるかは誰も予測不可能ですが、「2年分は確実にOKだ」「会社は潰すことはない」というお話でした。足元では、ワクチンや経口薬も出てきているため、このあたりもなんとかなるかと思っています。

「Gotoトラベル」と「Goto イート」も、また来年にもう1回あるということで、ある程度のキャッシュ・フローも期待できるかと思っているのですが、M&Aはお考えでしょうか? 御社は出版とレストランなどを含めた予約の送客ビジネスの2本立てですが、もしM&Aをするとしたら、どの部分に力を入れたいのか教えていただけたらと思います。

菊地:M&Aに関しては、十分な資金が積み上がってきているため、前向きに検討したいと考えています。ただし、「安易には考えない」という考え方で、リスクも大きいわけですので、きちんと弊社の実力に見合ったかたちで考えていきたいと思います。

原価・販管費、社員数推移

菊地:原価・販管費、社員数推移です。2021年は9月までの数字ですが、ほぼこの3年間、原価と販管費に関してはキープして抑えており、社員数に関してもほぼ同じ人数をキープしているところです。

特徴的なのが、弊社は女性社員が68パーセントと、約3分の2以上が女性社員で構成されています。20代の若い女性社員が多いのですが、30代・40代の働くママ社員や、子どもができて、育休・産休から戻ってきて働く女性社員も非常に多くなっています。

坂本:こちらでおうかがいしたいのが「コロナ禍時に、営業から書籍編集に人員シフト」というところです。書籍関係の営業の方をシフトしたのか、レストラン・トラベルにも書籍編集ができる方がいらっしゃるのか、どのようなかたちの人員のシフトをしたのか教えていただけたらと思います。

菊地:去年の4月から5月の段階で、おでかけ需要は相当厳しいと判断しました。そのため、「オズモール」やマーケティングソリューションで働いている若手の営業社員を、今のうちから書籍の編集に異動させようということで、編集の経験がまったくない方を全部で10名ほど移動させました。

教育体制などが比較的整っており、弊社は出版社ですので、基本的には出版で編集を担当したい新卒社員も多くいらっしゃいます。

坂本:そのようにして入ってきた方が営業にいるということですか?

菊地:最初から編集を担当するのは駄目でして、まずは営業経験を積ませていくのが、当社のスタイルです。

坂本:なるほど。

菊地:営業で2年から3年の経験を積んだ者を編集に異動させています。編集職も実は営業的な要素が非常に強いのです。半年後くらいには、どの社員も売れるコンテンツを編集できるようになっているのが今の実態です。

坂本:すごく勉強になりました。

飯村美樹氏(以下、飯村):「言われてみれば」というところでしたね。

坂本:ジョブローテーションとしてもともとあったものの、スピードを少し変えたということですね。

配当政策に関して

菊地:配当政策です。まず剰余金の配当ですが、過去10年間で見てみると、純利益に関しては多少のでこぼこがあり、今年の予測としては過去最高の純利益が見込めます。

1株当たりの配当額は、10年前が25円、その後30円、3年前から35円で、今回に関しては期初予想より業績が堅調のため、3円増額しています。加えて、来年が40年ということもあり、創立40年記念配当2円実施で40円としています。業績の変動に関わらず、安定配当を実施しています。

さらに、株主優待を新設しました。出版社ですので、弊社のよりすぐりの書籍を贈呈するということで、保有期間が3年未満の方に3冊、3年以上の方には5冊をプレゼントすることを発表しています。

坂本:配当政策についておうかがいします。増配しながら安定配当をしているということですが、コロナ禍でも黒字を維持できたことと、先ほどからお話しいただいている厚い自己資本を勘案すると、実際、配当性向をある程度定めて配当を出してもよいのではないかと思います。

財務は毀損しないのは当然ですので、よいと思うのですが、今後も安定配当を継続するのか、それともある程度自己資本が整ったため、利益に応じた配当、またはある程度下限を決めて利益に応じた配当にするのか、イメージを教えていただければと思います。

菊地:基本的には、今後も業績の拡大に応じて、順次配当を上げていきたいとは考えています。ただし、基本は安定配当ということで、業績の浮き沈みに関係なく、株主と長くお付き合いしたいと考えています。

坂本:それもあって、株主優待も自社の本を贈呈ということになっているのですね。まだこれからだと思うのですが、毎回どのような本をプレゼントするかは、社内で決めていくかたちですか?

菊地:各編集部の今年イチオシのベストセラー作品をお届けしたいと思っています。

坂本:それは読むほうにとってもよいですね。他社などを見ると、本が送られてきて、「これって在庫じゃないの?」ということがたまにあります。

菊地:そのようなことはしませんのでご安心ください。

坂本:あえて「おすすめを」と謳っているところがすごくよいと思いました。あまり買わない人や見ない人も、「こんなことをしているんだ」というのがわかるとよいですね。

菊地:編集部から厳選されたものですが、最終的には社長が判断して、「これは絶対、株主のみなさまに喜んでいただけるだろう」という本のみをお届けしたいと思います。

坂本:先ほど、オープニングの後に少し時間が空いていたのですが、社長と「漫画でも読もうかな。僕は漫画を読むのも仕事だからね」というお話をしました。やはりお好きなのですか? 

菊地:今まで女性向けばかりだったのですが、今年からは男性向けのコミックと文芸をスタートします。実は来週、男性向けのコミックをスタートすることになっています。

坂本:そうなのですか。チェックしたいと思います。

菊地:よろしくお願いします。

SDGsへの取り組み 1,

菊地:昨今のトレンドとして、SDGsへの取り組みを2つご説明します。まず、「オズモール」からの発信です。SDGsにはとりわけ力を入れており、一般の女性の方々に向けてわかりやすくSDGsへの理解・認知を促し、さらに企業との橋渡し役として事業化の機会を創出するということで、コンテンツを毎週のように展開しています。最近はこれをもとに、大手企業から「一緒にしませんか」ということで、ビジネスにもなってきています。

SDGsへの取り組み 2,

菊地:取り組みの2番目としては、出版社ですので、相当な量の紙の本を刷っています。とどのつまり、森林を伐採して木材を作り、紙の本を作っているわけです。きちんと読者に届く本であればよいですが、返品になると一部は古紙になるものの、裁断処分になるものもあります。

弊社としては、できるだけ返品を抑制しようということで、数年前から実売・店頭在庫を厚めにしており、現在は返品率が28.6パーセントとなっています。一時は56パーセントまで上がっていましたが、今は返品が相当少なくなっている状況です。

飯村:返品率の低下は、SDGsへの貢献はもちろんですが、収益への貢献もありますよね?

菊地:おっしゃるとおりです。

飯村:返品率を下げるのはすごく難しそうに思うのですが、そのあたりはどのような施策を行っているのでしょうか?

菊地:今のご指摘のとおり、返品があればあるほど収益は悪化するわけです。きちんと実売率を上げる、つまり返品を下げるのが大命題ですが、そのためには、初版の部数をどれだけきめ細かくコントロールできるかです。

つまり、今は月間で25点から、多い時には30点の新作を発刊しているのですが、1作品1作品について、発売前に商品を吟味して部数設定を行っています。

現場ではかなりきめ細かくマーケティングを行っており、「これは売れるから2万部いこう」「これは厳しそうだから8,000部にとどめておこう」というのを、毎回検証を重ねながら精度を上げています。また、発売した初月から、日販のPOSデータで売れ行きの最終予測がどんどん見えているため、その数値を追うことで、その後の重版の計画もきめ細かく対応しています。

大昔はまるっきり丼勘定で「いけいけ」「まだいけるぞ」というかたちで進め、その後に戻ってくるというような痛い目を繰り返したこともありました。ここ数年はかなりきめ細かく行っています。

坂本:確かに、抑えすぎると売れた時にロスしてしまうから、そこが嫌だという業界的なものになっていますよね。

菊地:多少の勢いも必要ですが、今はかなりきめ細かくマーケティングしています。

飯村:そこに手間をかけることで、返品率は下げられるのですか?

菊地:おっしゃるとおりです。

坂本:僕も本を6冊、7冊書いているのですが、同じ出版社で1万部出たのに、次の初版で「6,000部でお願いします」と言われ、「ええっ。ここはシビアだな」というようなこともありしました。

菊地:確度が上がっていると思います。

投稿サイトを起点に、紙とデジタルの循環で作家と読者を拡大

菊地:それぞれの事業のご説明をします。まずは、主力になっている書籍コンテンツ事業です。弊社の書籍事業は他社の出版社と少し違い、もともと有名な作家を抱えている出版社ではありません。作家はほぼいない状態でした。

自分たちで作家を集めなければいけないため、小説投稿サイトを自社で開発して、自社で運営しています。現在は「野いちご」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」という3サイトを運営しています。

ここに、ブログを書くようにどんどん書き込んでくるのですが、中には文才のある方がいらっしゃいます。そのような方々を当社の編集部が見極めて、「作家になりませんか?」とお声をかけることで、今までの10年で約500名以上の作家がこのサイトから生まれています。

最初に紙の書籍、つまり文庫本を作るのですが、文庫本もかなりきめ細かくレーベルを分けています。それを電子書籍化して、なおかつ売れ筋のよいものはコミカライズします。電子コミックで「これはよいぞ」というものは、最終的には紙のコミックにします。

最初に何気なくブログのように入ってきた電子コンテンツが、二重・三重・四重の輪をくぐって、最終的には紙のコミックになっているのが現在の状況です。紙とデジタルの循環で、作家と読者を拡大しているのが、弊社の出版モデルです。

読者ターゲットを細分化し、マーケティングを徹底

菊地:さらに、読者ターゲットをかなり細分化して、マーケティングを徹底しています。小学生・中学生・高校生・大学生・大人の女性に分け、しかもそのターゲットの中でも「このような感覚を持つ人たちにはこのレーベルがよい」というかたちにしています。

現在「野いちごジュニア文庫」から9レーベル、それにプラスしてデジタルでも5レーベル、全部で14レーベルを展開しています。各レーベルごとに最低でも2冊から、多い時には5冊の本を発刊する方法を取っています。

市場ニーズに即した商品の投入と、新レーベル創刊で成長

菊地:スライドのグラフようなかたちで、2017年第1四半期に2.6億円だった事業が、現在は7.3億円と3倍に成長しています。出版業界は、おそらく17年から18年間くらいずっと右肩下がりの業界です。ここ最近はデジタルで多少盛り返しているところはあるのですが、紙はずっと下がり基調です。その中で逆張りで、この5年に関しては非常に急成長を遂げています。

坂本:去年はコロナ禍で、在宅で本を読もうという人がいて、そこもある程度乗っているかたちでしょうか?

菊地:そこは多少加速されました。テレワークとおうち時間が長くなったことで、本を読もうと、自宅の近くにある本屋に行って本を買う方、あるいは携帯で本を読む方が非常に増えたと思います。

日本では、文字の文化がなくなるわけではなく、今後コロナ禍が落ち着いたとしても、一回「本を読むってよいことだな」と思った方々がきちんと自分の趣味として、あるいは「これは大切な価値観だ」ということで、増え続けてくるのではないかと予測しています。

伸びる、女性向け電子書籍・電子コミック

菊地​​:さらに、スライドに「伸びる、女性向け電子書籍・電子コミック」と書いていますが、現在、紙の売上と電子の売上が肩を並べるほどになりました。5年前と比べると、電子の売上が非常に急成長しています。特に、2017年からスタートした電子コミックが、非常に大きく売上を牽引しています。

坂本:2020年頃から電子書籍の伸びがかなり著しいのは、コロナ禍もあったかもしれませんが、媒体を含めてちょうどシフトの時期だったこともあるかもしれません。ハードウェアがけっこうよくなってきて、見やすいというのもあるかもしれないと思います。

紙も実際に伸びているということですが、紙の伸びに関しては、先ほどお話しいただいた細かく分けているレーベルがどんどん増えていることが寄与しているのか、それとも純粋に御社のファンが増えた結果なのでしょうか?

もう1点、男性向けの週刊誌・月刊誌は、けっこういろいろな出版社でチャレンジされていて、ビッグネームしか続かないということで、僕も読んでいる途中で「終わっちゃったよ」「移籍してくれたっていいんだけど」ということが繰り返されてきました。力を入れているポイントがあれば教えてください。

菊地:今のお話のとおり、明らかに固定ファンが増えていると実感しています。私どもはたまに書店に行って、どのような方が当社の本を買ってくださるのかをじっと見ることもあるのですが、例えば「ベリーズ文庫」というシリーズは、毎月5冊発刊していますが、発刊日に新発売の5冊をまとめて買う方が非常に多いです。

坂本:もうレーベルのファンがいらっしゃるのですね。

菊地:はい。おそらく、毎月「ベリーズ文庫」を買うことが癖になってしまっているのだと思います。とても中毒性の高い作品であるため、そのような固定読者が非常に増えています。

また、今はデジタルの時代ですが、昨年のコロナ禍で、デジタル対応をせずに紙のみの小学生向けシリーズ「野いちごジュニア文庫」を出しました。これは大手3社が大昔から専有している独占マーケットですが、子どもは紙の本しか買えないため、あえて紙のみで投入したところ、非常に売れ行きが好調でした。

他社のレーベルは緑や黄色ですが、こちらのシリーズはピンクです。私も書店で、小学校3年生、4年生くらいの女の子たちがピンクのところにしっかり集まって本を読んでいる光景を間近で見て、「これは受けるな」と感じました。実際に毎月の売上部数が非常に伸びています。

このようなかたちで、毎月コンスタントにマーケティングをしながら、よいコンテンツを作ることで、確実にファンが増えている実感を持っています。

初の「男性向け」コミックレーベルを創刊

菊地:続いて、男性誌についてご説明します。今まで私どものサービスは女性向けばかりだったため、このコロナ禍に初の男性向けコミックレーベルを、電子コミックと紙コミックで創刊しました。

実は10月の初月売上が電子上のみで500万円を記録しました。この「comicグラスト」については、担当しているメンバー自体は入社2年目から5年目ほどの若手の新卒社員たちです。今、彼らが本当に「某大手少年◯◯を抜かしてやる」というくらいの勢いで、強烈な情熱と熱意でものづくりをしています。来週このコミックも発売されますが、非常に売れ筋で、初速がよい感触を得ています。

現場スタッフのモチベーションも極めて高く、よい漫画家も獲得できているため、来年以降も増員して発刊部数を増やしていく予定です。

坂本:絵を見る限り、かなり女性が好みそうな部分もあり、最近の少年誌にも意外と女性ファンが多いのではと思っています。ここがうまくいけば単行本も売れますから、よいビジネスですよね。

菊地:そのとおりです。今後は、電子コミックと紙コミック、また紙の文芸も同時発売する戦略を取っていきます。

書籍コンテンツ事業の今後の展開

菊地:お伝えしてきたように、この書籍コンテンツ事業に関しては、男性マーケットへの参入とコミック事業の拡充、さらに来期以降は新規ジャンルへ次々と参入し、ゆくゆくは総合出版社を目指す考えです。

OZのプレミアム予約とは?

菊地:次に、メディアソリューション事業のプレミアム予約サービスについてご説明します。「OZ」のプレミアム予約は、厳選された施設・店舗への女性向けオンライン予約サービスであり、「オズモール」は今年25周年を迎えます。

「Yahoo!」が立ち上がった時にスタートした老舗サイトであり、一出版社が展開しているという点では、25年間本当によくがんばっていると思います。現在、会員数は370万人で、レストラン、トラベル、ビューティ、エンターテインメントの各分野で、首都圏を中心に厳選したお店のみを掲載しています。

予約数と掲載施設・店舗数の推移

菊地:こちらは予約数と掲載店舗数です。棒グラフが掲載店舗数で、昨年は若干落ちたものの、今は復調して増えています。予約数は昨年ぐんと落ち、2019年から比べればまだまだというところではありますが、来年は復調してくるのではないかと見ています。

女性に嬉しい、OZオリジナルの独自性を追求

菊地:さらに他社との違いとしては、女性に嬉しい「OZ」オリジナルの独自性を追求しており、「OZ」限定の、ディズニープリンセスとコラボレーションしたヘアサロンプランや、ワーナー・ブラザーズの『トムとジェリー』とコラボレーションしたアフタヌーンティー、「おひとり様貸切Day」などのユニークな企画を連発しているのが特徴です。

デジタルマーケティング力の強化で、ファンを拡大

​​菊地:さらに、ここ数年でデジタルマーケティング力の強化を図っています。これは通常のIT企業なら当然取り組んでいる手法ですが、弊社は出版社としても専門のチームを作り、全社的にこのようなデジタルマーケティングに取り組んでいきます。

SEO・SNSでユーザーを引っ張ってくる、UI・UXで利便性を高める、F1・F2化、CRMでユーザーをファン化していくという一連の流れを強化している最中です。

プレミアム予約事業の今後の展開

菊地:プレミアム予約事業の今後の展開については、デジタルマーケティング力を上げながら、オリジナルの「独自性」を磨いていきます。「OZらしいユーザー満足度の追求」「利用ユーザー数(=ファン)の拡大」また、現在の5,600施設から、3年で1万施設へ「厳選施設・厳選店舗の拡大」を考えています。

3年から4年前、関西圏にも事務所を出し、大阪、京都、神戸、そして今は名古屋にも展開を始めている最中です。

ブランドを生かした、マーケットソリューションビジネス

菊地:最後にマーケットソリューション事業です。こちらの「オズマガジン」は、大変長く継続している老舗雑誌ですが、東京で10万部発行しているフリーマガジン「メトロミニッツ」も、来年20年を迎えます。雑誌ではありますが、首都圏ではこのブランドが非常に強く、今こちらを核としたソリューションビジネスを展開しています。

再開発の加速する、東京エリアマーケティング

菊地:現在、東京では再開発が加速しています。「オズマガジン」や「メトロミニッツ」は、東京圏では非常に長く続いている地域密着メディアでもあるため、実は、三井不動産、三菱地所、森ビルなどの大手デベロッパーが開発する商業施設と非常に相性がよいブランドです。それら商業施設のオープニングに向けたPRや集客で、弊社のメディアを大変よくご利用いただけるケースも多いです。

大型商業施設とのコラボレーションで、東京と地方エリアを繋ぐ

菊地:こちらは、今、三菱地所が日本最大級規模で建設を検討している「TOKYO TORCH(東京トーチ)」です。ここの広場を利用して、地方自治体の産物を提供していこうと考えています。「メトロミニッツ」が媒体になり、新たな街の賑わいを演出するようなソリューションビジネスも展開しています。

「東京女子部」OZユーザー代表によるインフルエンサー組織

菊地:また、昔からのメディアにとらわれず、昨今は「東京女子部」のようなSNSのインフルエンサー組織を作っています。こちらには現在600人ほどのレポーターがいますが、来年には1,000人規模に増やす予定です。

「オズモール」の370万人の会員のトップユーザーを「体験レポーター」と称して、さまざまな街のグルメや地方の旅、あるいは都心商業施設を取材し、SNSで拡散してプロモーションを行うことをビジネスにしています。

ビューティ領域へのチャレンジ

菊地:さらに、今期からは新たにビューティ領域にもチャレンジし、ビューティ系・コスメ系キーワードで検索上位を獲得しました。新たにコスメ系の大手企業にもコンサル提案ができるようになってきたと思います。

グループとのシナジーを高める、アエルデとSCR

菊地:スターツグループとのシナジーを高める「アエルデ」は、創業から長く続いている地域情報誌です。こちらと、販促ツールの制作部署であるSCR(スターツ・クリリエイティブ・ルーム)で、スターツグループの各企業の営業をサポートする制作物受託なども推進しています。

マーケットソリューション事業の今後の展開

菊地:マーケットソリューション事業の今後の展開は、「メディアブランドをベースに、デジタルマーケティング力で、ソリューションの幅を広げる。」をテーマにしています。

エリアマーケット事業として、東京再開発エリアと全国の地方自治体とをつなげる地域密着コンテンツで賑わいを創出し、東京と地方エリアを繋いでヒト・モノの交流推進を図るビジネスを展開しています。

さらに、「ビューティ領域へチャレンジ」「サステナブル社会に向けた啓蒙と貢献」を行っていきたいと考えています。

今後の予定

菊地:今後の予定として、2022年2月に発表予定の中期経営計画を現在策定しています。株式の流動性対策では、個人株主を増やすため、今回のようなIR説明会を随時実施していきます。さらに、11月1日には会社ホームページをリニューアルしました。

そこで私のトップメッセージを3ヶ月に1回以上発信し、SDGs関連の情報なども随時更新する予定です。非財務情報開示の充実で、できるだけスターツ出版を世に知っていただき、個人株主を増やしていく施策を考えています。

感動プロデュース企業へ。

菊地:お伝えしてきたように、スターツ出版株式会社は「感動プロデュース企業へ。」、スターツは「人が、心が、すべて。」の共通理念で経営している企業グループです。

質疑応答:「オズモール」の売上の内訳について

坂本:まず「オズモール」の部分をじっくりお聞かせいただきたいと思います。資料の22ページでは、店舗数的にレストランが多いと思うのですが、「オズモール」の売上の内訳を教えてください。

菊地:売上は店舗数とほぼニアリーイコールで、レストランが半分以上、ビューティサロンが3割、トラベルが2割です。多少単価が違うため、トラベルの売上はもう少し大きくなりますが、5対3対2となっています。

質疑応答:レストランの課金体系について

坂本:レストランについてはどのような課金体系になっているのでしょうか? 大手予約サイトのようにある程度の営業スタッフを抱えて、店舗とのリレーションを大切にする展開をしているのでしょうか? 少数精鋭でエリアも絞っているのはわかっていますが、どのようなリレーション営業をされているのか教えていただきたいと思います。

菊地:大手の予約サイトとの差別化を図るため、店舗は厳選しています。もともと「オズマガジン」が起点であったため、「オズマガジン」で取材してもおかしくない店舗という意味合いで、厳選店舗のみにしています。そのため、営業担当は20名しかいません。

ビジネスモデルも、掲載料をいただくシステムでは営業社員がたくさんいなければもたないのですが、すべて手数料ビジネスです。送客した売上に応じての課金ということで、店舗にとってはノーリスクのため、店舗数がそこまで落ち込んでおらず、むしろ増えている状況です。

坂本:確かに、ホテルや高級店がかなり「オズモール」に集まっており、営業もしやすいのかと思っていました。

菊地:おっしゃるとおりです。今のような厳しい状況では、固定費の各社はやはり苦しいと思います。

質疑応答:地方大都市のレストラン展開について

坂本:関東圏・関西圏・中京圏の一部以外の、地方の大都市のレストラン展開はあるのでしょうか?

菊地:いずれは札幌・九州にも出たいとは思っていますが、まだまだ首都圏および関西圏、名古屋圏でも、この3年間で今の倍以上までは厳選店舗として拡大できると思っているため、その次からの展開になると思います。

質疑応答:ビューティ予約サイトの特徴について

坂本:ビューティ部門については伸びているということですが、ライバルサイトがかなり多いと思います。御社サイトの特徴があれば教えてください。

菊地:何度も言いますように、やはり厳選していることで外れのないお店選びができる点です。また、店舗にとってみれば、固定費ではなく送客に応じた課金であるため、経営を圧迫することがありません。

オリコンによる年間のサロン予約サイト満足度調査ランキングでは、30代と40代の部で1位になっています。規模の論理では、もうまったく勝てないことはわかっていますが、きめ細かいサービスと満足度で、スイートスポットに絞ったサービスを継続しています。

坂本:送客手数料のみであれば、逆に「うちも掲載してください」というビューティサロンやレストランも多いのではと思います。

菊地:そのとおりです。

坂本:やはりそのあたりの厳選もされているのですよね?

菊地:もちろんです。お問い合わせは大変多いのですが、営業担当がきちんと伺って、「ごめんなさい」「ここは申し訳ございません」というところも相当あります。そのような部分で高い品質を維持しています。

坂本:要するにプレミアム感を大切にしているということですね。

菊地:おっしゃるとおりです。やはり出版社はブランド重視です。ブランドが毀損すると、メディアはもちません。

坂本:レストランではかなり会員数を増やされたので、そこで回っていくということでしょうか?

菊地:おっしゃるとおりです。

質疑応答:今後のビジネスの展開イメージについて

坂本:現在はビューティ、レストラン、ホテルを展開されていますが、それ以外に「こういうのが実はいけるんじゃないか」という今後の展開イメージはありますか?

菊地:規模はまだかなり小さいのですが、エンタメ予約を扱っています。コンサート、オーケストラ、お芝居、落語などのエンターテインメントは、今はコロナ禍で本当に厳しい状況にあり、各社苦労されていると思います。

ここに対する送客というのは、そのようなシーンで、「じゃあその後ですてきなレストランでお食事もしましょう」「お芝居を見に行く前に髪もきれいにしましょう」「ちょっとお洋服もきれいにしましょう」など、人間の生活を豊かにする領域だと考えます。

そのような分野は「オズマガジン」のようなメディアとも非常に相性がよいため、今後もさらに力を入れていきたいと思っています。

飯村:ストーリー仕立てでセットにしていただけるということですね。

菊地:おっしゃるとおりです。丸一日シンデレラになってもらうプランなどもよいですね。

飯村:私もサイトを拝見していて、やはり「品のよいサイトだから、ここなら信頼できる」という印象があります。

坂本:僕も実は「女性がメインターゲット」と言いながらもレストランをよく使います。

菊地:ありがとうございます。

質疑応答:サイトのマーケティング手法について

坂本:先ほどご説明された「サイトには30代、40代からの支持が多い」という点について、個人投資家の方から、「年齢層のボリュームは女性中心だと思いますが、どのようなマーケティングをされているのか教えてください」とのご質問をいただいています。

菊地:やはり30代、40代の女性が一番消費性向が高く、「OZ」には特に親和性が高いと感じています。今年は特に驚いているのですが、最近興味深かったのが、「1人アフタヌーンティー」や「1人焼き肉」の予約プランが非常に売れていることです。

「1人アフタヌーンティー」の貸切予約が何度も入り、貸切のお1人さまだけですべて埋め尽くすようなイメージです。せっかく1人で来ているのに、隣でカップルにいちゃいちゃされたら嫌ですよね。そのため、1人予約が驚くほど増えています。

飯村:とてもよくわかります。需要はあります。

質疑応答:電子コミックと紙コミックの利益率について

坂本:続いて、出版のほうのご質問です。電子と紙はどちらが利益率が高いのかということと、構造を教えていただけたらと思います。

菊地:当然ながら電子は返本もありませんし、流通コストもかからず利益率が高いのですが、実は紙も意外と侮れません。最初のコストはすべて初版でリクープしているため、重版がかかるとほとんどお金を刷っているような状態になり、利益率は非常に上がっていきます。

坂本:確かに、僕も4年前に出した本で重版がかかり、とてもありがたく感じましたが、そのような仕組みだったのかと思います。出版社にとっては電子のほうが印税が高くなり、マージンが取れているのだろうと思いますが、最初に重版を除いて考えた場合、マージン率はやはり電子のほうが高いのでしょうか?

菊地:それはまちまちですね。形態によってもいろいろ変わってきます。

坂本:それは、例えば雑誌と漫画ではだいぶ変わるということですか?

菊地:おっしゃるとおりです。とにかく売れるもの、消費者に支持されるものさえ作れば、自ずと利益も上がる構造だと思います。

飯村:だから電子コミックで評判のよかったものを紙でも、ということですね。

菊地:おっしゃるとおりです。

質疑応答:紙の需要について

飯村:やはり、これから伸びるというよりは、利益率が、というところでしょうか? 「電子コミックで評判のよいものを紙コミックにするそうですが、紙の需要はやはり高いのですか?」というご質問をいただいています。

菊地:需要も高い上に、実は作家が一番喜ぶのです。私どものコンテンツの源泉は、もちろん弊社の社員である編集者ですが、コンテンツァーは作家あるいは漫画家です。電子は売れれば当然会社は嬉しいのですが、何部売ってもどこかに行って見えなくなってしまいます。

作っている作家や漫画家にとっては、紙の本なら一生残りますし、自分の友だちや親戚、縁者に自分の描いた作品を渡せますから、やはり紙というのは嬉しいものなのだと思います。

その嬉しいという気持ちが、「次にもっとよい作品をスターツ出版で書くよ」という話につながるため、作家や漫画家をどんどん私どものファンにしていくには、紙で作ることが絶対的なポイントになってきます。

飯村:やはり紙は1つステージが違いますし、「だから御社でやりたい」という作家が増えるのはプラスになりますよね。

菊地:おっしゃるとおりです。

坂本:「このレーベルで書きたい」というモチベーションの話ですね。

菊地:おっしゃるとおりです。しかも、紙の本が売れないということは絶対にあり得ません。きちんとよいものを作れば、小学生でも紙の本を買ってくれるということが私どももわかったため、紙もデジタルもどんどん併用していくべきだと思っています。

坂本:確かに、自分の本が書店にあったら嬉しいですよね。

飯村:「レーベルのネーミングセンスが絶妙ですね」「甘いロマンス小説がイメージできるような『ベリー』『野いちご』など、このレーベル名で判断して、読者が自然に集まってくれる部分もありそうですね」とのコメントもいただいています。

菊地:まさにそのとおりです。全国の書店にとっても棚が作りやすいですよね。しかも、すべて同じ色合いで毎月増えていくため、読者の方も書店で見つけやすいと思います。

飯村:書店のように目が滑ってしまう中で、「あ、ピンク色」と気付けるのは大きいですね。

菊地:そのとおりです。

坂本:書店数が減っていても、やはり接点はまだまだありますね。実はそのあたりの質問が多かったのですが、ここはご理解いただけたらと思います。

流動性対策に関しては、株主優待や今日のようなIRで、かなり御社の事業内容を知っていただいた方もいらっしゃると思います。実際僕も利用していますが、「オズモール」の価格体系や、これだけプレミアムにしているこだわりなどは、なかなか興味深いと感じました。

アフターコロナもかなり期待できるのではないかと思いますし、出版部分の本当にわからないところを大変勉強させていただきました。

質疑応答:「オズモール」でのラインナップ拡充について

坂本:「『オズモール』で、例えばお中元・お歳暮など、コロナ後を見据えたラインナップの拡充計画、また、プレミアムな自分へのご褒美や贈り物があれば」というご提案をいただいています。

菊地:ぜひ参考にさせていただきます。今、クリスマスケーキやおせちのお持ち帰り予約をして、ホテルに行き、そのままお持ち帰りするサービスを展開しています。

坂本:それはもともとの掲載先がオプションプランとして展開しているのですよね?

菊地:そのとおりです。

坂本:それは確かによいですね。

飯村:お出掛けのお助けというか、お土産などもそうですね。

坂本:お土産はかなり悩みますから、頼んでおいて持って行けるとよいですね。

飯村:私もそうなのですが、毎回「50代」「男性」「仕事」「プレゼント」などと検索して、出てきた物から選んでいるため、そのようなサービスがあればありがたいと思います。

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