室温で3Dプリント可能な疑似固体リチウムイオン電池を開発 東北大

2021年11月14日 07:23

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3Dプリントで造形した疑似固体リチウムイオン電池の模式図と3Dプリントの様子。(画像: 東北大学の発表資料より)

3Dプリントで造形した疑似固体リチウムイオン電池の模式図と3Dプリントの様子。(画像: 東北大学の発表資料より)[写真拡大]

 リチウムイオン電池は、高エネルギーな蓄電デバイスとして幅広く普及しており、様々なニーズに応じた製造技術が求められている。例えば、ウェアラブルデバイスや医療用機器においては、ポリマーなどの熱に弱い基盤上での製造も必要となる。そのような基板上でのリチウムイオン電池の製造には3Dプリンターが注目されてきたが、室温での作製は困難とされてきた。だが東北大学の研究グループは11日、光造形を用いることで室温での作製を可能にしたと発表した。

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 リチウムイオン電池の中でも特に注目されてきたのが、燃えにくく安全性の高い疑似固体電解質を用いた電池である。一般的なリチウムイオン電池は、電解質として有機溶媒を用いるため発火のリスクを持つが、固体の電解質であればそのリスクも小さくなる。研究グループは、それまで研究を進めてきたゲル状の疑似固体粉末からなる電解質に着目した。

 上記のような材料を基板上などにプリントして電池とするためには、3Dプリントの技術が必要となる。だが従来の3Dプリントによるリチウムイオン電池の作製においては、熱をかけることによる成形が必須であり、熱に弱い基盤の場合には応用できなかった。

 そこで今回の研究では、電解質や正負極材料のインクに紫外線硬化樹脂を混ぜることで、光造形による3Dプリントが試みられた。開発された電解質インク材料はリチウムイオン伝導性も高いため、スムーズな充放電を行うことができる。また、光造形方式を取ることによって室温での3Dプリントが可能となり、熱に弱い基盤上でも問題なく作製ができるようになった。作製された電池は100回以上の安定な充放電動作が実証されている。

 このような室温で製造可能な3Dプリント電池は、生体適合性マイクロ電池やフレキシブルデバイスへと応用が期待される。また、今回の技術は様々な正負極材料からなる電池作製へと応用が可能なため、次世代二次電池の実現にもつながる可能性がある。

 今回の研究成果は10日付の「Dalton Transaction」誌のオンライン版に掲載されている。

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