東洋紡、成長分野の重点強化で売上高3750億円、営業利益300億円を目指す

2019年8月25日 18:17

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 東洋紡は19日、欧州の軟包装分野における循環型経済実現を推進するコンソーシアム「CEFLEX」に参加すると発表した。

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 「CEFLEX」は、欧州での使用済み軟包装に関して、回収・分別・リサイクルするためのインフラを、2025年までに構築することを目標に掲げる。

 東洋紡では、以前から軟包装分野において、食品の消費期限延長に貢献する高いバリア性能を有する高機能なフィルムから、廃棄物の減量に貢献する環境に配慮したフィルムまで、さまざまな包装用途製品を手掛けており、リサイクル樹脂の活用にも早くから取り組んできた。今回の参加を通じ、回収システムなどの情報や動向を把握しながら、環境にやさしい技術や製品の開発に注力していく。

 東洋紡は、1882年に渋沢栄一が日本初の民間大規模紡績会社「大阪紡績」を設立したのに始まる。1914年に「三重紡績」と合併し「東洋紡績株式会社」となり、2012年の創業130年を機に商号を「東洋紡株式会社」へ変更した。

 創業以来幅広い分野で多数の技術を提供し続け、現在ではフィルム、自動車用資材、環境関連素材、バイオ・医薬など、多くの高機能製品を提供する高機能製品メーカーへと発展してきた東洋紡の動きを見ていこう。

■前期(2019年3月期)実績と今期見通し

 前期売上高は3,367億円(前年比2%増)、営業利益は前年よりも22億円減の217億円(同9%減)であった。

 営業利益減少の要因としては、前年に比べて国産ナフサの高騰(1kl 4万2000円->4万9000円)など原燃料の上昇により45億円、研究開発費や物流費の増加と不動産事業の不振で9億円の減益となった。一方で売上の増加と値上げにより33億円の増益を確保した。

 今期は、売上高3,500億円(同4%増)、営業利益は2018年9月の敦賀事業所火災の影響、外部環境の不透明さ、拡大投資の費用先行もあり、220億円(同1%増)を見込んでいる。

■中期経営計画(2019年3月期~2022年3月期)による成長戦略

 2022年3月期に売上高3,750億円(対前期比11%増)、営業利益300億円(同38%増)を目指して、フィルム&コーティング、モビリティ、ヘルス&ウエルネス事業を重点分野とする次の成長戦略を推進する。

●1. 成長分野への経営資源集中と各事業に適した事業運営

 ・工業用フィルムの「コスモシャイン SRF」は、液晶テレビ用途で40%のシェア確保。

 ・工業用フィルムのセラコン用離型フィルムは、スマホ、タブレット、車載用ハイエンド品向けで、30%シェア確保。

 ・2019年10月帝人のフィルム子会社買収により、高機能フィルムの開発、海外生産体制を強化。

 ・事業別の評価基準(KPI)導入により、メリハリのある、重点的な事業運営。

●2.新商品、新事業開発の強化

 ・電子ペーパーディスプレーの基盤など用の高耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス」は、新工場稼働により100億円事業へ育成。

 ・フードロスと環境負荷を低減させる透明蒸着フィルム「エコシアール」は、インドネシアで合弁生産会社を稼働させ、米社と販売契約を締結し、海外展開加速。

 ・欧州基盤のベンチャーファンドへ参加して、オープンイノベーションを推進。

●3.安全防災の取り組みによる事業基盤の強化

 ・2018年9月の敦賀事業所での火災事故により前期138億円の特別損失計上を教訓として、第三者防災診断実施、全工場で防災活動の強化。

 渋沢栄一の「順理則裕」(理にしたがえば、すなわちゆたかなり)の精神で、重点分野の成長戦略により、社会に貢献する価値創りを目指す東洋紡の動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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