東芝、セパレータレスのリチウムイオン二次電池開発 車載用などに展開

2018年6月5日 07:07

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電極上にナノファイバー膜を直接形成(図:東芝の発表資料より)

電極上にナノファイバー膜を直接形成(図:東芝の発表資料より)[写真拡大]

 東芝は4日、リチウムイオン二次電池の絶縁体として一般的に使用されるセパレータを用いない、新構造のリチウムイオン二次電池を開発したと発表した。

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 リチウムイオン二次電池のコスト低減と高容量化は日々進化するが、ブレークスルーが必要だ。東芝は電極材料の表面を樹脂製の極薄ナノファイバー膜で覆ったSkin-Coated Electrode(SCdE)を用いて、電極間の距離を極限まで近づけることで入出力と容量を同時に高めた。結果として、セパレータを用いずに、絶縁体のコストを約半分まで抑制。リチウムイオン二次電池SCiBに、この新構造を適用し、入出力性能、容量が1.2倍になることを確認した。

 詳細は、東京開催の国際ナノファイバーシンポジウム2018で、7日に発表する。

●SCdEの特長

 SCdEの製造には、ナノファイバー膜形成技術のひとつであるエレクトロスピニング技術(ES技術)を応用するという。原料である高分子溶液に高電圧を加えて紡糸すると、常温での紡糸が可能でかつ高耐熱性、高腐食耐性といった特徴を持つ幅広い材料からナノファイバー不織布を形成できる。これが、セパレータの代替となる。

 数十ナノメートル(1億分の1メートル)の繊維径制御で、耐熱性や絶縁性といった材料由来の特性を保持しながら、電解液中のイオンが通りやすい構造を形成。これが、正極と負極を絶縁するために必要であったセパレータを用いない構造になる。リチウムイオン電池の低コスト化の可能性を秘めた構造だ。

 極薄ナノファイバー膜を構造に組み込んだSCdEを用いると、エネルギー密度を維持しつつ、電極間の高いイオン伝導性により内部抵抗を低く抑えられる。

●リチウムイオン電池(東芝、SCiBへのSCdE適用)のテクノロジー

 東芝のリチウムイオン電池SCiBに、SCdEを適用。SCiBの1,800ワットから2,200ワットへの出力性能の向上を達成。電極塗工技術と合わせることで更なる入出力性能の向上を見込む。

 加えて、入出力性能の向上は、寒冷地での使用が可能になるほか、鉛電池の代替の可能性も見込めるという。

 試作電池は、充放電を8,000回繰り返しても95%以上の電池容量が維持されることを実証。高入出力・高容量化とSCiBの特長である長寿命を合わせて実現した。

 車載用、定置向けのリチウムイオン二次電池に展開し、2019年度の実用化を目指す。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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