大相撲 豊山と朝乃山 若きライバルの争い

2018年3月16日 23:36

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 大相撲大阪場所は中盤戦に差し掛かり、連日土俵上は激しさを増している。

 大関陣には既に土がつき波乱含みの展開をみせている中、番付下位では2年前の同じ大阪の地で初土俵を踏み、現在は共に幕内定着を狙う2人の力士がライバルとして凌ぎを削っている。西前頭11枚目の豊山と同13枚目の朝乃山だ。

 両力士とも相手を圧倒する体格を擁し今場所でも存在感を示しつつ、主役の座に躍り出んとばかりにスケールの大きな相撲をみせている。

■迷いのない押し相撲の豊山

 186㎝、183㎏、新潟県出身の豊山は初土俵から僅か5場所で十両昇進を決めるなど、デビューから規格外の強さを発揮し続けた。その後も新十両で2桁の勝ち星を挙げ優勝争いも繰り広げるも、新入幕以降は苦戦が続き、幕内で負け越しての十両陥落、1場所での再入幕を繰り返した。3度目の幕内挑戦となった先場所ではようやく9勝6敗と勝ち越しを果たすと、今場所でも自身の取り口である突き押しは相手の脅威となっている。

 4日目の石浦との一番では冷静さと力強さをみせた内容で勝ち星を得ている。動き回ろうとする相手に対し、距離をとらせず圧力をかけ続け、最後は体重を活かしての押し出し。苦手といわれた小兵への対応が見て取れる一番となった。

■朝乃山は強さと巧さを持ち、実績でも一歩リードか

 一方の朝乃山は富山県出身、189㎝、167㎏。今場所が幕内5場所目ながら、ここまで既に2度の勝ち越しを経験している。特に新入幕となった昨年の9月場所では10勝5敗の好成績を納め、終盤まで優勝争いにも加わる活躍をみせている。その体格を前面に押し出し、右四つに組んでの寄りに絶対的な自信を持ちながら、巧さも併せ持つ。

 同じく大柄な体格の錦木との取り組みとなった5日目、立ち合いに強く当たられた後、左四つに組まれながら土俵際まで押し込まれると、倒れこみながら左の腕を返し逆転のすくい投げを決める。自らの形に持ち込めなくとも最後まで技を出し切る、引き出しの多さが窺える相撲巧者ぶりだった。

 高校時代からその存在を認めながら、時を同じくしてプロでの道を歩み始めた両力士。取り口は違えども、己のスタイルを貫きながら、少しずつ変化がみられるのも成長を遂げている証であるだろう。直接対決も含め、出世レースはより激しさを増していくはずだ。今後、相撲界を盛り上げていく存在になるであろう2人の大型力士から目が離せない。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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